SHOW-HEYシネマルーム37
  
     2016年上半期お薦め50作
が出版されました!
                     (2016(平成28)年7月15日出版)
    
                          
◆『シネマルーム37』は2015年10月18日から2016年3月31日までに観た洋画64本、邦画19本、計83本の映画から2016年上半期おすすめ50作を選び、まとめたものです。

◆第1章は恒例のアカデミー賞特集ですが、まず目次立ての関係で、脚色賞の『マネー・ショート 華麗なる大逆転』は第5章に、外国語映画賞の『サウルの息子』は第4章に収録しました。また、鑑賞時期との関係で、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞など6冠を受賞した『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は『シネマ36』に収録しています。そして、作品賞・脚本賞の『スポットライト 世紀のスクープ』、撮影賞とともにアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥが監督賞を、レオナルド・ディカプリオが主演男優賞を受賞した『レヴェナント 蘇えりし者』、アリシア・ヴィキャンデルが助演女優賞を受賞した『リリーのすべて』の3本は、次回出版の『シネマ38』に収録する予定です。
その結果、『シネマ37』ではごく一部の収録のみとなっています。すなわち、第1章では、まず、主演女優賞を争ったブリー・ラーソンの『ROOM』とケイト・ブランシェットの『キャロル』を、そして助演男優賞を争ったマーク・ライランスの『ブリッジ・オブ・スパイ』とシルヴェスター・スタローンの『クリード チャンプを継ぐ男』を収録。続いて、作品賞、主演男優賞、脚色賞等計7部門にノミネートされた『オデッセイ』と作曲賞を受賞した『ヘイトフル・エイト』を収録しました。
さて、「白人偏重」と言われた今年の賞レースの結果の妥当性は?

◆第2章の『ザ・ウォーク』に見た「空中ウォーカー」という職業にはビックリでしたが、私にとっては「弁護士の生き方」をテーマにした佐藤浩市主演の『起終点駅 ターミナル』は必見!少し渋すぎ?ちょっとカッコ良すぎ?そんな印象もありましたが、さてあなたの評価は?
男の生き方は何ゴトも徹底した方がいい。そんな価値観の私にとって「復讐もの」の『ラスト ナイツ』と『ジョン・ウィック』、「山岳もの」の『エベレスト 3D』と『エヴェレスト 神々の山嶺』は一種のカイカン!でした。『ジョン・ウィック』を除いて、目標達成後の結末には哀れさが漂いましたが、それもやむなし!?
 権力(大統領や議員)や捜査機関(FBIや検事)にギャングや政治ゴロが裏で結託する構図は万国共通の大問題ですが、そんな視点からは『ブラック・スキャンダル』と『インサイダーズ 内部者たち』は必見!これは米国と韓国の恥部を描いたものですが、さて日本では?

◆安倍総理が提唱している「一億総活躍社会」では女性の社会進出が不可欠ですが、その視点からは、第3章の『アクトレス~女たちの舞台~』(女優)、『マイ・インターン』(女社長)は必見!また、日本は毎年芥川賞や直木賞さらには本屋大賞等の話題で盛り上がりますが、『ヴィオレット―ある作家の肖像―』『フランス組曲』にみる「激動の時代を生きた女性作家」の「作家魂」には大いに学ぶところがあります。
 近時の邦画はくだらないものが多すぎる。常々そんな不満を持っている私にとって、ワークショップから生まれた群像劇の名作、橋口亮輔監督の『恋人たち』、濱口竜介監督の『ハッピーアワー』は衝撃でした。両者とも素人俳優を起用した作品ですが、その充実度は抜群です。5時間17分の大作となった後者は大筋に入るまでは退屈でしたが、ツボにはまると一気に・・・。邦画のこんな大胆なチャレンジに今後も期待したいものです。
 山田洋次監督の『家族はつらいよ』は、とにかく軽妙。『男はつらいよ』シリーズがなくなった今、1年に一度はこんな映画で家族や人生を楽しく笑い合いたいものです。もっとも、現実が厳しいことは『ディーパンの闘い』を見れば明らかですが、『愛と悲しみのボレロ』のような「人生観」で乗り切れば・・・。
 『シネマ35』の『欲動(TAKSU)』『禁忌(sala)』に続いて、『シネマ37』には私の大好きな杉野希妃作品として『マンガ肉と僕』と『3泊4日、5時の鐘』を収録しました。作品選びに私の独断と偏見が強すぎると言われるかもしれませんが、「良いものは良い」「面白いものは面白い」を貫きたいものです。

◆世界には多くの虐殺事件があり、ナチス・ドイツによるホロコーストはその代表ですが、第4章の『サウルの息子』はそれを全く別の視点から描いた問題提起作です。『消えた声が、その名を呼ぶ』は犠牲者数100万人とも150万人とも言われる、1915年に起きたアルメニア人大虐殺事件をテーマにしたものですが、その悲劇の中からラストには大きな感動が・・・。
 世界は今、北朝鮮の独裁者・金正恩の暴君ぶりに振り回されていますが、『裁かれるは善人のみ』(ロシア)や『独裁者と小さな孫』(イラン)を観れば、独裁国家の恐さがまざまざと見えてきます。日本では学校の「いじめ」を描いた『罪の余白』が注目されましたが、世界の悲惨な現実に比べれば、いじめ問題の深刻さのレベルは・・・?
 安心安全で平和な日本と比べて社会不安の大きい中国、香港、韓国では、名物監督のピーター・チャン、キム・ギドク、アン・サンフンが、『最愛の子』『殺されたミンジュ』『見えない目撃者』を発表!ぬるま湯体質が顕著な日本と比べ、その問題提起の鋭さをしっかり噛みしめたいものです。
 「戦後70年」がキーワードになった2015年に公開された山田洋次監督の『母と暮せば』は、広島に投下された原爆の悲劇をテーマとした父と娘の物語であった黒木和雄監督の『父と暮せば』に並ぶ、長崎に投下された原爆をテーマとした母と息子の物語でした。他方、和歌山県串本町とトルコは2015年に友好125周年記念事業を主催しましたが、そのきっかけは『海難1890』が描いたエルトゥールル号遭難事件でした。歴史、とりわけ現代史を学ぶ機会が減った今、この2作は必見です。

◆映画ファンなら、誰でもスパイ映画の面白さをよく知っています。第5章には『007 スペクター』『キングスマン』『コードネーム U.N.C.L.E.』という新旧スパイ映画の傑作をラインナップしました。そのスピード感やぶっ飛びぶり、逆に「ああ懐かしい!」と思える作り方を比較対照するのも一興です。
 1980年代から30年以上一貫して都市・住宅問題をライフワークにしてきた弁護士の私にとって、『パリ3区の遺産相続人』と『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』は必見!かつて東京は世界一「地価の高い都市」でしたが、パリでは?ニューヨークでは?日本では1995年に発生した住専(住宅金融専門会社)問題、アメリカでは2007年に発生したサブプライムローン問題をきっかけに株が大暴落し、「金融不安」のパニックに陥りましたが、その原因は?その張本人は?もっとも、そんな現実の中でそれを逆に活用してたくましく生きる人種が生まれたのも事実です。そんなサバイバルゲームを、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』でしっかり学んで下さい。

◆映画はアイデア!そんな視点からは「あっ騙された!」と思える映画に出会うのはカイカン!です。第6章の『岸辺の旅』は「死者と生者の共存」というよくあるアイデア(?)ですが、ちょうど1時間経ったところであっと驚く仕掛けになっている『ピンクとグレー』のアイデアにはビックリさせられました。
 映画はエンタメ。そんな視点からは「成龍襲名40周年」作品であるジャッキー・チェン主演の『ドラゴンブレイド』は必見。また、ハーマン・メルヴィルの『白鯨』は世界文学全集の一つとして有名ですが、そこに『白鯨との闘い』のようなネタがあったとは・・・。
2016年4月以降、世界は各国の大物政治家によるタックスヘイブン(租税回避地)の利用実態とその「マネーロンダリング」ぶりを暴露した「パナマ文書」に揺れています。また、4月13日にフランスの住宅の屋根裏部屋でイタリア・バッロク絵画の天才画家として知られるカラヴァッジョの絵画が発見されたのも大きな衝撃でした。その価値は何と150億円に上るそうですが、一体誰がそんな高価な絵画をそこに隠していたのでしょうか?そんな今こそ「ナチスに奪われた美術品を奪還せよ!」をテーマにした『黄金のアデーレ 名画の帰還』『ミケランジェロ・プロジェクト』は必見です。
 2015年11月13日パリで起きたIS(イスラム過激派組織)の戦闘員によると思われる同時多発テロは世界に衝撃を与えましたが、今やテロの危険は深刻です。したがって、原発を狙った『天空の蜂』や小型核兵器を狙った『ヘリオス 赤い諜報戦』をエンタメ作と言っていいのかどうかも微妙ですが、やはり映画でのそれはエンタメとして大いに楽しみたいものです。

◆2002年6月に自費出版した『SHOW-HEYシネマルームⅠ~二足のわらじをはきたくて~』以降ずっと続いてきた『SHOW-HEYシネマルーム』の出版は、今回(2016年7月)で37冊目になりました。また、2冊目の『社会派熱血弁護士、映画を語る SHOW-HEYシネマルームⅡ』以降は、出版コードを取って書店で販売してきましたが、2009年8月出版の『シネマ22』以降は書店での販売をやめて自費出版にするとともに、上半期と下半期に分けて年2冊の「お薦め50作」のスタイルに切り替えました。それからでも、既に16冊目になっています。
 近時は、映画鑑賞直後の原稿書き→校正→ホームページへのアップがルーティーンとして定着しているため、半期ごとの「お薦め50作」の選定やその目次立て、さらに「画像提供のお願い」等の下準備がスムーズになっており、出版作業はかなり楽になっています。しかし、大変なのは、毎回の誤字、脱字のチェックや資料やデータの間違いチェックという出版に際しての再校正です。幸いわが事務所には、当代随一の「厚生大臣」ならぬ「校正大臣」たる事務員がいる上、私の妻・坂和員子の細かいチェックが入りますが、それでもなおケアレスミスを100%防ぐことはできません。
 そこで、今回出版する『シネマ37』以降はその再校正についての基本姿勢を改めて手抜き(?)し、ホームページアップ時点での校正を越える二重三重の再校正はやらないことにしました。そのため、『シネマ22』から『シネマ36』に比べ、『シネマ37』以降は「しょうもないミス」が発見されるかもしれませんが、それは『シネマルーム』が私が趣味で自費出版している本であることに免じてご容赦下さい。もちろんケアレスミスについてのご指摘は大歓迎ですので、それを発見された場合はご遠慮なく教えて下さい。

                                            以  上