SHOW-HEYシネマルーム36
  
     2015年下半期お薦め50作
が出版されました!
                     (2015(平成27)年12月1日出版)
    
                          
◆『シネマルーム36』は2015年4月18日から2015年10月17日までに観た洋画57本、邦画20本、計77本の映画から(『ソロモンの偽証 前篇・事件』は4月12日に鑑賞しましたが、『ソロモンの偽証 後篇・裁判』と合わせて、『シネマ36』に収録)2015年下半期おすすめ50作を選び、まとめたものです。

◆戦後70年の節目の年となった2015年は近年にはめずらしく、8月15日の終戦記念日に向けて、たくさんの戦争映画が公開されました。その代表作は何といっても半藤一利の原作を原田眞人監督が映画化した『日本のいちばん長い日』です。岡本喜八監督の「67年版」は三船敏郎の存在感が圧倒的でしたが、それから48年後の2015年版では、役所広司(阿南陸相)、本木雅弘(昭和天皇)、山﨑努(鈴木貫太郎総理)が戦争終結と玉音放送に向けて三者三様の役割を演じています。他方、戦後70年特別企画として実現した『杉原千畝 スギハラチウネ』がすべての日本人必見なら、大岡昇平の原作を今あえて映画化した塚本晋也監督の『野火』も小さな上映ながら、今ドキの飽食の若者たち必見の映画です。また、戦闘シーンのない戦争映画である『この国の空』と『おかあさんの木』も必見です。国の総力を挙げた物量戦となった「あの戦争」の悲劇をしっかり胸に刻みたいものです。
他方、戦後70年は日本だけではありません。「アウシュビッツ収容所解放70年」の節目となる2015年は、あらためてヒトラーを検証するため『ヒトラー暗殺、13分の誤算』と『顔のないヒトラーたち』は必見です。また、ゲットーから逃走した当時8歳で今なお生存しているユダヤ人男性の自叙伝を原作とした『ふたつの名前を持つ少年』とアウシュビッツから生還した妻をめぐる『あの日のように抱きしめて』も必見です。

◆2015年8月の韓国では、地雷爆発で韓国兵が重傷を負った事件を契機として、北朝鮮が「準戦時状態」を発令したため、「すわ!南北の激突か!」と心配されました。しかし、両国の高官会談の結果、緊張緩和に向けた6項目の合意事項で構成する「共同報道文」が発表されたため、ヤレヤレ。『国際市場で逢いましょう』『海にかかる霧』『パイレーツ』を観れば、韓国には「こんな歴史やあんな事件」があったことがわかります。また、おぼろげに知っている「ベトナム戦争」や「チャップリン誘拐事件」は『ハート・アンド・マインズ ベトナム戦争の真実』や『チャップリンからの贈りもの』を見れば、その真実がよくわかります。他方、『サイの季節』に見る1979年のイスラム革命や、『チャイルド44 森に消えた子供たち』に見るスターリン独裁国家での誘拐事件は衝撃です。映画は所詮作りものですが、そのストーリーの中から、しっかり真実を見定めたいものです。また、今ドキの中学生の裁判は『ソロモンの偽証(前篇・事件 後篇・裁判)』で、江戸時代の離婚調停は『駆込み女と駆出し男』でしっかり勉強して下さい。

◆島倉千代子が歌った『人生いろいろ』が大ヒットし、小泉純一郎元総理も国会答弁でそのフレーズを使いましたが、『人生スイッチ』や『フレンチアルプスで起きたこと』を観ると、まさに人生いろいろ。ちょっとした運の良し悪しやちょっとした間の悪さが大きく人生を変えてしまうことを肝に銘じたいものです。世の中に多い倦怠期の中年夫婦は、是非『雪の轍』や『間奏曲はパリで』を観てお互いを反省し、『ボヴァリー夫人とパン屋』や『ギリシャに消えた嘘』を観てスリリングな展開を楽しんで下さい。他方、『私の少女』『きみはいい子』『真夜中のゆりかご』からは、子供のせっかんや虐待は絶対にダメだということをしっかり学んで下さい。

◆『シネマルーム35』では、「職業別生き方あれこれ」を第5章としました。そこで『シネマルーム36』でも、第4章に「職業別男の生き方」を設けましたので、その中で、『ターナー 光に愛を求めて』(画家として)、『グローリー ― 明日への行進 ―』(黒人解放運動のリーダーとして)、『ナイトクローラー』(パパラッチとして)、『インヒアレント・ヴァイス』(探偵として)の4作を確認して下さい。また、少子高齢化が進む日本では、じじいの生き方が大注目ですが、『龍三と七人の子分たち』と『赤い玉、』の2作から、わがままじじいの生き方二態の確認をして下さい。

◆『シネマルーム35』の第1章では、第87回アカデミー賞をテーマとして「作品賞、監督賞の行方は?」「主演男優賞はどっち?」「助演男優賞は?助演女優賞は?美術賞は?」という3点のテーマを設定し、また第3章では主演女優賞ノミネート作品としてロザムンド・パイクの『ゴーン・ガール』とフェリシティ・ジョーンズの『博士と彼女のセオリー』を収録しました。そこで、『シネマルーム36』では、第87回アカデミー賞で見事主演女優賞をゲットしたジュリアン・ムーアの『アリスのままで』の他、ノミネート作品たるリース・ウィザースプーンの『わたしに会うまでの1600キロ』と、マリオン・コティヤールの『サンドラの週末』を収録しました。認知症の広がりは今や大きな社会問題ですが、『アリスのままで』のジュリアン・ムーアに続いて、『リピーテッド』ではニコール・キッドマンも記憶障害に・・・。他方、大島優子が等身大の演技を見せた『ロマンス』からは若い女性の、そして『夏をゆく人々』からは思春期の少女の「女の生き方」を学んで下さい。

◆難しい映画ばかりが映画ではなく、やっぱり映画はアイデア!そしてエンタメ!まずは自由奔放なストーリーとアニメによる映像美の世界を構築したイスラエルのアリ・フォルマン監督の『コングレス未来学会議』と、園子温監督の『ラブ&ピース』の世界観に注目!続いて、30年ぶりにシリーズが復活した『マッドマックス 怒りのデス・ロード』とシリーズ4作目となる『ジュラシック・ワールド』のド派手な映像に注目!また、『天使が消えた街』では世間を騒がせた殺人事件をネタにあっと驚くオリジナルな構想に注目!そして、『ザ・トライブ』に見る「全員ろうあ者」、『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』に見る「車の中の一人劇」、『Mommy/マミー』に見る「アスペクト比1:1」、そして『さよなら、人類』に見る「映画は動く絵画」というそれぞれ面白いアイデアに注目!
                                            以  上