SHOW-HEYシネマルーム32
  
     2014年上半期お薦め50作
が出版されました!
                     (2014(平成26)年7月15日出版)
    
                          
◆『シネマルーム32』は2013年10月23日から2014年4月30日までに観た洋画65本、邦画16本、計81本の映画から、2014年上半期お勧め50作を選び、まとめたものです。
第86回アカデミー賞には『アメリカン・ハッスル』が最多10部門にノミネートされましたが、レオナルド・ディカプリオ主演の『ウルフ・オブ・ウォールストリート』と共に大コケ。作品賞は『それでも夜は明ける』、監督賞は『ゼロ・グラビティ』となりました。キネマ旬報の「アカデミー賞大予想」では、細越麟太郎氏が17年目にして初の主要6部門パーフェクトを達成しましたが、彼は「自分が良質だと思っている映画を選ぶと予想が外れることがはっきりわかってきた」と発言。これは、渡辺祥子氏の「それにしても今年のアカデミー賞は、下馬評通りに行きすぎて面白味に欠けたわね」と同じ意味ですが、『ダラス・バイヤーズクラブ』でのマシュー・マコノヒーの主演男優賞、『ブルージャスミン』でのケイト・ブランシェットの主演女優賞を含めて、さて、あなたの予想の当否は?そんな野次馬根性を持って第1章に掲載した7本の評論を読み、もし映画を観ていなければDVDで鑑賞して下さい。

◆『シネマルーム32』の第1の特徴は、ロードムービーが第2章に6本も入ったことです。『グォさんの仮装大賞』『おじいちゃんの里帰り』『旅人は夢を奏でる』は、老人ホームの老人グループやちょっと変わったおじいちゃんの旅、『さよなら、アドルフ』『ある愛へと続く旅』『エヴァの告白』は、戦争の中でのあるいは移民の過酷な旅ですが、そこからさまざまな人間性や人生が見えてくるはずです。
第2の特徴は、男の生き方を考える作品が、第4章の『ラッシュ/プライドと友情』『ファントム 開戦前夜』『鑑定士と顔のない依頼人』の3本しかなかったのに対し、女の生き方を考える作品が第3章で10本も入ったことです。中でもフランスの『アデル、ブルーは熱い色』と『17歳』、日本の『麦子さんと』と『ほとりの朔子』、非情な『早熟のアイオワ』と気楽な『もらとりあむタマ子』は、今ドキの女の子の生き方を比較検討する作品として絶好です。そこで描かれている主人公たちの父親・母親の年齢(以上?)になっている私たち団塊の世代は、こんな若い世代とどう向き合えばいいのでしょうか?また、「内向き思考」が顕著な日本の若者には、『少女は自転車にのって』や『メイジーの瞳』に見る異国女子の視点、さらに、中国女性の結婚観と恋愛観を今風に表現した(?)『最後の晩餐』『パリ、ただよう花』の視点が不可欠です。

◆近時は親殺し、子殺しの事件が後を絶たず、ささくれだった世相が目につきます。また、認知症で徘徊中の91歳の老人が踏切ではねられた事故で、JR東海からの妻や子に対する損害賠償を認容した判決をどう受けとめればいいのでしょうか?そんな時代状況下、『シネマルーム32』では、家族の絆をアピールした『マラヴィータ』と『8月の家族たち』、父子の絆、夫婦の絆をアピールした『大統領の執事の涙』と『武士の献立』をしっかり味わいたいものです。また、黒木華の第64回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)受賞は大ニュースになりましたが、『小さいおうち』の時代が大変なら、『そこのみにて光輝く』にみる現代の若者も、ラストシーンこそ輝いているものの、実際に生きていくのは大変です。『危険な関係』や『危険なプロット』のようなゲーム的な恋愛にうつつを抜かせる時代は、きっといい時代なのでしょう。

◆ロシアによるクリミア半島の「編入」、そしてウクライナ政府と親ロシア派住民とのせめぎ合い(軍事衝突?)、さらには北朝鮮の相次ぐ挑発行為を見ていると、日本の平和がいかに貴重なものかがよくわかります。そんな時代なればこそ、第5章の『チスル』や『フォンターナ広場』のような恐ろしい現実を知ること、そして『人類資金』や『ハンナ・アーレント』の問題提起からしっかり学ぶことが大切です。さらに、弁護士である私の目にはかなり異論のある『ゼウスの法廷』や、今ドキのTV業界のバカバカしさを見事に皮肉った『白ゆき姫殺人事件』も必見です。

◆もっとも、所詮映画はエンタメ!深刻に考えるだけではダメ、楽しまなければソンです。第6章ではまず『スノーピアサー』に見る壮大な世界観を味わうとともに、世界を股にかけた奇想天外な『グランド・イリュージョン』の世界を楽しんで下さい。また、日本で定番の『赤穂浪士』を何とも不可思議な世界にアレンジした『47RONIN』、始皇帝暗殺や三国志の赤壁の戦いほど有名ではない『曹操暗殺~三国志外伝~』に見る仇討ちや暗殺の面白さ(?)、そして、『大脱出』『悪の法則』に見るハリウッド流エンタメの本流も楽しんで下さい。さらに、ヤクザの世界はなくならないし、各種新興宗教も手を変え品を変えて登場してきますが、それは人間が常にそれを求めているからです。そんな人間の「生態」を考えながら、『新しき世界』『ザ・イースト』を味わいたいものです。そして最後は、ウクライナ紛争が『皇帝と公爵』で描かれたような長期にわたる泥沼戦争にも、『ローン・サバイバー』のような生き残りをかけた苛酷な戦いにもならないことを願いつつ、古い戦争と新しい戦争をあらためて考えてみて下さい。

◆『シネマルーム32』のラインナップは以上のように充実しているうえ、一本一本の評論も熱いものが多く、画像も充実しています。そのため少し分厚くなってしまいましたが、大いにお楽しみ下さい。
                                                 以  上