坂和的中国電影大観3
  
 (SHOW-HEYシネマルーム34)
が出版されました!
                     (2014(平成26)年12月15日出版)

                                
◆『SHOW-HEYシネマルーム34』は、①『坂和的中国電影大観』(『シネマルーム5』)、②『坂和的中国電影大観2』(『シネマルーム17』)に続く『坂和的中国電影大観3』として出版しました。つまり、①『坂和的中国電影大観』(『シネマルーム5』)には66本、②『坂和的中国電影大観2』(『シネマルーム17』)には83本の中国映画を収録しましたが、その後も中国映画鑑賞が増え続けたため、今般、『シネマルーム18~32』に収録した中国映画90本を、『坂和的中国電影大観3』にまとめて出版したわけです。
 したがって、映画1本1本の評論内容には変化はありませんが、その90本の中国映画を新たな「目次立て」をして出版した『坂和的中国電影大観3』は、それなりの体系書(?)になったものと自負しています。また、新たな画像やDVDのジャケットの画を追加したため、より読みやすくなったはずです。さらに、『坂和的中国電影大観3』たる本書では、本書の目次に続いて、参考資料として『坂和的中国電影大観』全66本と、『坂和的中国電影大観2』全83本の目次を掲げました。これによって私が鑑賞し評論した全239本のラインナップが統合されることになりますので、是非これを、あの中国映画、この中国映画のタイトル検索に活用して下さい。

◆1974年4月の弁護士登録から丸40年を経過した私は、2013年12月に『がんばったで!40年ナニワのオッチャン弁護士 評論・コラム集』を出版しました。これは新聞や雑誌に掲載された私の評論やコラムをまとめたもので、文芸社から05年8月に出版した『がんばったで31年!ナニワのオッチャン弁護士 評論・コラム集』に続く評論・コラム集です。同書は、本来弁護士としての40年間の活動を集大成したものですが、映画評論家との二足のわらじをはく弁護士としての活動を続ける中で、私の中国関連の活動や人脈が大きく広がりました。
その結果、神戸国際大学の毛丹青教授の世話によって、2011年7月には中国初のノーベル文学賞作家・莫言との対談が実現したため、同書ではそれを巻頭特集「莫言さんノーベル文学賞おめでとう(『事務所だより』から)」としてまとめました。これは大きな価値のある共同作業であったため、『坂和的中国電影大観3』では、それをそっくりそのまま巻頭特集(1)として転載しました。これを読めば、中国や中国文学そして中国映画に対する私の関心の強さがより明確になるはずです。さらに、巻頭特集(2)として2ページだけですが、2007年10月10日に実施した北京電影学院での特別講義の報告を掲載しました。

◆『坂和的中国電影大観2』の表紙写真は、私が2007年10月10日に北京電影学院で「坂和的中国電影論」と題した集中講義を実施した時のものでした。それから7年後、その「延長」として、2014年7月30日には北京電影学院美術学部の劉旭光(リュウ・シューグアン)教授、刘晓清(リュウ・シャオシン)副教授、霍廷霄(フオ・ティンシャオ)教授(張藝謀(チャン・イーモウ)監督の映画で美術デザインを担当)たちが来阪し、私の事務所と自宅を訪問してくれました。彼らとの対談は有益なものでしたが、そこでのトピックスはその後の夕食会、カラオケ大会を通じてハラを割った話しが盛り上がる中、「北京電影学院聯合作業卒業制作プロジェクト坂和章平賞」の設置が決まったことです。
さらに、その後9月6日の東京での劉教授の娘さんで、北京電影学院を卒業した後、早稲田大学に留学し、2014年秋に卒業した劉茜懿(リュウ・チェンイ)さんを中心とした食事会の中では、彼女が初監督作品としてチャレンジしている映画『鑑真に尋ねよ』への500万円の出資も決まりました。中国式は日本式と異なり、何ゴトも意思決定がこのようにスピーディーなのです。

◆さらに、毛丹青教授の従妹で、関西学院大学に留学後、日本人男性・岡崎健太さんと結婚した恵恵(フィー・フィー)が乳がんによって逝去した物語が『恵恵 日中の海を越えた愛』(文藝春秋・14年6月)として出版されて大ヒットし、NHKのTV「ニュースウオッチ9」でも取り上げられました。
そんな流れの中、これを原作とする映画が、香港最強のプロデューサーである江志強(ビル・コン)氏によって製作されることが決定し、現在私も毛丹青教授たちスタッフの末端の1人として協力しています。こちらは数億円の製作費をかけた壮大なもので、2015年の公開が大いに期待されています。

◆このように、私と中国、そして私と中国の小説や中国映画との繋がりがますます広がり強固になっていく中で、今般『坂和的中国電影大観3』を出版できたことはうれしい限りです。2001年8月13日の小泉純一郎元総理の靖国神社参拝や2012年9月11日の野田佳彦前総理による尖閣諸島の国有化以降、日中関係は最悪の状態になっていますが、映画や文化・芸術を通じた交流は、政治・経済・軍事とは全く別個に進めていくべきは当然です。
その意味では、日本文化に熱狂する中国の若者をターゲットに、毛丹青教授が主筆として11年1月から中国で出版を続けている雑誌『知日』が掲げている「反日こそチャンス!」というコンセプトを、私は断固支持しています。

◆『坂和的中国電影大観3』たる本書に収録した90本の中国映画は全9章に分類しました。第1章と第2章は中国特有の歴史大作です。まず、第1章では孔子の時代から三国志の時代を楽しみ、かつ勉強してください。とりわけ『三国志』は中国映画の宝庫ですから、大ヒットした『レッドクリフPartⅠ(赤壁)』、『レッドクリフPartⅡ(赤壁 決戦天下)』だけでなく、さまざまな『三国志』をお楽しみ下さい。
次に、第2章では清朝末期から日中戦争そして文化大革命の時代をしっかり学びつつ楽しんでもらいたいものです。『戦場のレクイエム(集結號)』や『金陵十三釵』は鑑賞すること自体がしんどい映画ですが、そこはしっかりと。また、『白毛女』や『五人の娘』のような映画は文化大革命の時代なればこそのものですが、その意外な楽しさにビックリするはずです。第3章では中国特有の武侠映画や、徐克(ツイ・ハーク)監督独特の世界観、周星馳(チャウ・シンチー)監督の「ありえねー」世界観を楽しんでください。周星馳監督の最新作『西遊記~はじまりのはじまり~(西游 降魔篇)』は、とにかくバカバカしさと楽しさでいっぱいです。
逆に第4章では日本人の大好きな「初恋の来た道」路線に沿った「これぞ中国映画!」の良さを確認し、かつ雲南省版「大催涙映画」ではとにかく涙をいっぱい流して下さい。そして第5章では社会問題提起作として、賈樟柯(ジャ・ジャンクー)、王兵(ワン・ビン)、婁燁(ロウ・イエ)、蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)という4人の監督の問題提起作を、第6章では老人ホーム問題、土地立退き問題、臓器移植問題等々、個別の論点ごとに中国映画が放つ問題意識をしっかり受けとめ、勉強して下さい。

◆他方、映画は勉強であると同時にエンタメです。したがって、とにかく楽しまなければ時間のムダになってしまいます。そこでお楽しみの第1は、第7章の「恋愛映画あれこれ」です。ラブストーリーは西欧映画の方が先輩ですが、中国(本土)にも、台湾にも、香港にも、そして日本を結ぶ線上にも若者たちの瑞々しい恋模様は展開しています。日本や韓国の恋愛モノとは一味も二味も違う、中、台、香のそれをしっかり味わって下さい。
また、西欧映画には刑事モノ、犯罪モノの傑作がたくさんありますが、香港、台湾はもちろん、「法治国家」を目指す中国にも、その傑作はたくさんあります。第8章にはバラエティ豊かな中台香の刑事モノ、犯罪モノをまとめましたので、そのスリルや「男の美学」を存分に味わってください。また、成龍(ジャッキー・チェン)は60歳にして今なおアクション俳優として君臨しています(?)ので、その方面がお好きな方はそれをお楽しみ下さい。
そして最後の第9章には、アントニオ猪木の異種格闘技、いやいや、そうではなく、少林寺、詠春拳、八卦拳、八極拳など中国特有の格闘技と格闘家の映画を収録しました。少林寺拳法だけではなく、イップ・マン(葉問)の名前を知れば、あなたも中国格闘技の専門家顔ができるというものです。

◆本書に収録した中国映画の最新作は、北京電影学院を卒業後、「四大名旦(中国四大女優)」の1人として女優業で大活躍している趙薇(ヴィッキー・チャオ)が、北京電影学院の監督科(大学院)に再入学し、卒業制作映画として初監督した『So Young~過ぎ去りし青春に捧ぐ~(致我們終將逝去的青春)」』(13年)です。
80年代の張藝謀、陳凱歌(チェン・カイコー)、田壮壮(ティエン・チュアンチュアン)、霍建起(フォ・ジェンチイ)という中国「第五世代」監督から、張元(チャン・ユアン)、婁燁、賈樟柯、陸川(ルー・チューアン)、姜文(チアン・ウェン)などの「第六世代」監督を経て、今や中国では『致我們終將逝去的青春』の原作小説を書いた辛夷塢(シン・イーウー)や『小時代』の郭敬明(グオ・ジンミン)など、「后80(バーリンホウ)」、「后90(ジョウリンホウ)」に大人気の作家や監督の時代に入っています。「昔の中国映画は良かった。しかし、今は・・・。」などと言わず、「后80」、「后90」の若者たちの新しい感性にも触れ、それをしっかり吸収してほしいものです。

◆そんな時代状況下、2016年5月公開予定の劉茜懿さんの初監督作品『鑑真に尋ねよ』への期待も込めて、『坂和的中国電影大観3』(『シネマルーム34』)を皆様にお届けします。同書が日本人はもとより多くの中国人にも読まれ、少しでも日中の文化交流、芸術交流のお役に立てることを願っています。
                                                 以  上