SHOW-HEYシネマルーム33
  
     2014年下半期お薦め50作
が出版されました!
                     (2014(平成26)年12月10日出版)
    
                             
◆『シネマルーム33』は2014年5月1日から10月17日までに観た洋画65本、邦画17本、計82本の映画から、2014年下半期おすすめ50作を選び、まとめたものです。
 なお、2008年6月に出版した『坂和的中国電影大観2』(=『シネマルーム17』)以降に鑑賞した中国映画が計90本に上ったため、『シネマルーム34』を『坂和的中国電影大観3』として『シネマルーム33』と同時出版しました。そのため、2014年5月1日以降に観た中国映画、『南風』『罪の手ざわり(天注定)』『収容病棟(瘋愛)』『ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪(狄仁杰之神都龙王)』『So Young~過ぎ去りし青春に捧ぐ~(致我們終將逝去的青春)』『西遊記~はじまりのはじまり~(西游 降魔篇)』の6本は『坂和的中国電影大観3』に収録しました。

◆世界情勢が混迷度を深め、人間たちの不安が広がる中、人間の生き方はどうあるべきかをより深く考えざるをえなくなっています。そんな情勢を反映して、近時は、人間とは?家族とは?親子、夫婦、兄弟とは?を根源的に問う映画が増え、人間のこんな生き方、あんな生き方を興味深く描き出す映画が増えています。そのため、『シネマルーム33』は圧倒的にそのテーマが多くなりました。

◆「世界は広い!こんな生き方、あんな生き方!」と題した第1章で取り上げた、『リスボンに誘われて』『グランド・ブタペスト・ホテル』『100歳の華麗なる冒険』『リアリティのダンス』『NO』は、いずれもそのタイトルを聞いただけでは何の映画かわからない、いわゆる「名画座」系の映画ですが、私の採点はすべて星5つ。時代背景、監督の制作意図、その問題提起の内容等々をしっかり勉強しながら鑑賞すれば、楽しさも知識も倍増することまちがいなしです。
また、「内向き志向」の弊害が顕著な昨今の日本では、インド経済の活況に驚くだけでなく、『マダム・イン・ニューヨーク』と『めぐり逢わせのお弁当』から、インド女性の外向きの生き方に注目して下さい。さらに、私の大好きなニコール・キッドマンの『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』と『レイルウェイ 運命の旅路』を鑑賞して、女性の果たすべき社会的役割について再認識してもらいたいものです。

◆2014年の夏は、8月20日の広島県広島市北部の土砂災害をはじめ、日本列島はたび重なる台風による被害を受け、さらに9月27日には御嶽山の噴火被害も受けました。そのため、弁護士としての私は平成25年に成立した「大規模災害からの復興に関する法律」(復興法)や、「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法」(国土強靭化法)、「首都直下地震対策特別措置法」(首都直下法)、「南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」(南海トラフ法)の「解説本」の執筆に明け暮れました。しかし、映画評論家としての私は、東日本大震災や北海道南西沖地震と向き合って、人間がどう生きるかをテーマにした『あいときぼうのまち』と『私の男』に注目です。とりわけ、モスクワ国際映画祭で最優秀作品賞と最優秀男優賞を受賞した『私の男』は、浅野忠信の名演だけではなく、私の大好きな二階堂ふみの素晴らしい演技にも注目して下さい(ちなみに、NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」における茶々は適役とは思えませんが)。
さらに、河瀬直美監督流の「死生観」をわかりやすく示した『2つ目の窓』をパヴェウ・パヴリコフスキ監督の問題提起作『イーダ』と対比しながら、榊英夫監督の『捨てがたき人々』をラース・フォン・トリアー監督の超問題作『ニンフォマニアック Vol.1/Vol.2』と対比しながら観れば、より興味深いはずです。また、『サード・パーソン』や『とらわれて夏』では、想定外の非日常的な状況下で、人間はいかなる生き方ができるのかをじっくり味わいたいものです。

◆さらに、第3章では、『ぼくたちの家族』と『ある過去の行方』で家族の悩みや家族のドロドロ感をしっかり味わうとともに、男の生き方のアレコレのパターンをしっかり確認して下さい。まず、チョー真面目型の『春を背負って』と、チョー不真面目型の『ジゴロ・イン・ニューヨーク』を。次にプロ意識のあり方を考えさせてくれる『テロ、ライブ』と『フライト・ゲーム』は、誰にでもわかりやすく面白いものです。
他方、こんな体験は決してしたくありませんが、つくりものの映画なればこその体験として、「もし娘を誘拐され、殺されたら」という設定で『プリズナーズ』と『ソウォン/願い』を。さらに、あなたがプロの男ならこんな復讐もありかなという視点で、『オールド・ボーイ』と『サボタージュ』を楽しんで下さい。

◆父(母)と息子(娘)の絆や確執をテーマにした名作は昔からたくさんありますが、『シネマルーム33』では、第4章で『グレート デイズ! 夢に挑んだ父と子』(父と息子)、『渇き。』(父と娘)、『私の、息子』(母と息子)、『マルタのことづけ』(母と4人の娘)という名作をラインナップしました。
兄弟の確執を描いた『マイ・ブラザー 哀しみの銃弾』『チング 永遠の絆』と共に、楽しさあり、温かさあり、さらにどぎつさありのストーリーから浮かび上がる絆や確執をしっかり学びたいものです。

◆『SHOW―HEY シネマルーム』の特徴は、歴史もの、戦争もの、そして社会問題作、法廷モノのラインナップが充実していることです。しかし、『シネマルーム33』は人間とは?を問いかける映画が多くなった反面、それが少なくなりました。2015年1月30日には、「モーゼ」をテーマとしたリドリー・スコット監督の大作『エクソダス:神と王』が公開されますが、本書の第5章には「聖書もの」の先輩となる(?)『ノア 約束の舟』と、ペルシャ戦争のサラミスの海戦を取り上げた『300<スリーハンドレッド>~帝国の進撃~』を収録しました。さらに、1941年12月8日(日本時間)の真珠湾奇襲攻撃による「日米開戦」直前の排日気運が強まる中、カナダのバンクーバーで日系2世の野球チーム「バンクーバー朝日」がどんな快挙を成し遂げたか、そんな歴史をしっかり学んで下さい。次に、第一次世界大戦の「塹壕戦」の中で生まれた奇跡を感動的に歌い上げた『戦場のアリア』と、ナチス・ドイツの残忍さを描いた『シャトーブリアンからの手紙』については、是非対比しながら鑑賞して下さい。そして、定番の南北分断の悲劇についても、予算の少ない中で『ボーン』シリーズを目指した『サスペクト』と、キム・ギドク監督らしいユーモアたっぷり(?)の『レッド・ファミリー』を対比して下さい。
そうそう、革命や暗殺という視点で見れば、『猿の惑星 新世紀(ライジング)』と『シュトルム・ウント・ドランクッ』にも共通点があるかもしれません。

◆何といっても、映画はエンタメ。そこで、第6章では最初に2014年のハリウッド最大の娯楽作で、東宝シネマズの劇場では1年間にわたって吠え続けてきた最新版『GODZILLA』と、日本版の元祖ゴジラたる『ゴジラ(1954)』を並べました。渡辺謙の熱演は見応えはあったものの、やっぱりあなたも(?)私も、昔の方が好き・・・?最近は、将棋の世界でもプロ棋士がコンピューター将棋ponanzaに敗北する等、人工知能の進歩には著しいものがあります。その結果、近未来に出来の映画として描かれたのが、『トランセンデンス』と『her 世界でひとつの彼女』ですが、やっぱり女は生身の方がいい。そんなことが言えるのも、ここしばらくかも知れませんが・・・。
さらに、映画では「一人二役」の『複製された男』がありなら、逆に「二人一役」があってもいいのでは。そんなケッタイなチャレンジが、『怪しい彼女』でしたが、バカバカしいと思っていたら意外に・・・。そして、『シネマルーム33』のラストを飾るのは、周防正行監督の『舞妓はレディ』とクリント・イーストウッド監督の『ジャージー・ボーイズ』というエンタメ色豊かなミュージカル映画です。『ジャージー・ボーイズ』の評論が全8頁になったのは、やはり見応えがあったから。「ザ・フォー・シーズンズ」というグループ名や「シェリー」という名曲を知らない世代でも、きっと楽しくかつ有意義に鑑賞できるはずです。
                                                 以  上