SHOW-HEYシネマルーム31
  
     2013年下半期お薦め50作
が出版されました!
                     (2013(平成25)年12月15日出版)
    
                          
◆『シネマルーム31』は、2013年5月1日から10月22日までに観た洋画41本、邦画19本、計60本の映画から、2013年下半期お薦め50作を選びまとめたものです。引退を表明した宮崎駿監督の『風立ちぬ』は惜しくも第70回ベネチア国際映画祭での受賞を逃しましたが、大森立嗣監督の『さよなら渓谷』が第35回モスクワ 国際映画祭コンペティション部門で審査員特別賞を、是枝裕和監督の『そして父になる』が第66回カンヌ映画祭コンペティション部門で審査員賞を受賞しました。さらに、第38回トロント国際映画祭では、園子温監督の『地獄でなぜ悪い』がミッドナイト・マッドネス部門で観客賞を受賞しました。
 今期の邦画は、珍しく『少年H』『永遠の0』『終戦のエンペラー』という戦争モノの名作がラインナップされたうえ、『許されざる者』『凶悪』『利休にたずねよ』『清須会議』という骨太の作品が登場し、男の生きザマや権力闘争をアピールしました。『探偵はBARにいる2』や『真夏の方程式』では名探偵の推理を楽しむことができます。このように『シネマルーム31』では、久しぶりに邦画が元気です。

◆『シネマルーム31』には、人間とは?家族とは?父とは?母とは?をトコトン追求した名作がラインナップされました。まず、『ペーパーボーイ 真夏の引力』と『嘆きのピエタ』を『さよなら渓谷』『共喰い』と対比しながら、人間の本質についての米韓日の描き方の違いを味わって下さい。次に、父と娘の愛情を壮大な戦争の中で描いた『遥かなる勝利へ』にビックリなら、『四十九日のレシピ』に見る父娘の立ち直りも新鮮でした。『インポッシブル』に見る家族との絆も、子供の取り違え事件をテーマにした『そして父になる』に見るそれも感動的でした。

◆さらに、夫婦とは?恋とは?三角関係とは?をテーマにした作品も充実しています。まず『31年目の夫婦げんか』と『愛さえあれば』に見る夫婦のあり方を確認し味わって下さい。そして、レオナルド・ディカプリオ主演の『華麗なるギャツビー』の三角関係と瀬戸内寂聴の若き日の若い恋の体験を映画化した『夏の終り』のそれとの対比、『ローマでアモーレ』と『ニューヨーク、恋人たちの2日間』に見るローマとニューヨークでの恋の展開の相異なども比較対照してみれば、その味わいがより深くなるはずです。

◆新旧『許されざる者』に見る渡辺謙とクリント・イーストウッド演ずる主人公の生きザマには、グッと胸が熱くなるものがありますが、『コン・ティキ』や『オン・ザ・ロード』を観ると、いつの時代も「男は冒険!」だということがわかるし、『タイピスト(POPULAIRE)』や『パッション』を観ると、女だって負けず劣らずすさまじい競争の中で自己を鍛錬しながら生きていることがわかります。もっとも、『黒いスーツを着た男』『バーニー みんなが愛した殺人者』を観ると、上昇志向だけのスタンスでは、『太陽がいっぱい』(60年)のアラン・ドロンと同じような危険があることがわかる一方、『大統領の料理人』や『ブッダ・マウンテン~希望と祈りの旅(観音山/Buddha Mountain)』を観ると、一芸に秀でた熟女の生き方の巧みさを学ぶことができます。

◆米国によるイランへの軍事行動は、9月末の「米ロ合意」によって回避されましたが、オバマ大統領の「求心力」の低下は明白です。そんな中、『エンド・オブ・ホワイトハウス』や『ホワイトハウス・ダウン』を観れば、アメリカは大丈夫?そんな他人事のようなことを言っていてはダメで、尖閣諸島問題を抱える日本は、この両作はもちろん、『ワールド・ウォーZ』や『ザ・タワー 超高層ビル大火災』からは「危機管理」というキーワードで、『ベルリンファイル』や『ビトレイヤー』からは、「スパイ・裏切り者」というキーワードで多くのことを学ばなければなりません。

◆殺人事件やギャングの抗争をテーマにした映画はたくさんありますが、『シネマ31』には『L.A.ギャングストーリー』と『欲望のバージニア(LAWLESS)』という2本の懐かしい(?)ギャングものが揃いました。また、『殺人の告白』や『フローズン・グラウンド』を観れば、殺人事件の捜査がいかに大変かがわかるうえ、薬の副作用をテーマにした『サイド・エフェクト』や、記憶の中に入っていく催眠療法をテーマにした『トランス』を観れば、現代社会において精神科医が果たす役割の重要性がはっきりとわかります。

◆血しぶきが飛び散る『地獄でなぜ悪い』のどぎつさには驚かされましたが、映画は所詮エンタメ。したがって、『ローン・レンジャー』や『アイアン・フィスト』と対比しながら、これぞエンタメ!とことんエンタメ!ぶりを、十二分に味わってもらいたいものです。また、『アフター・アース』が描く世界観はそれなりにしっかりしたものですが、そこでは地球の滅亡が現実のものになっています。したがって、そんな映画を、温暖化が進む地球の未来を考えるきっかけにしたいものです。さらに、『マン・オブ・スティール』では自らの出生の秘密に悩むスーパーマンのことを親身になって考えるとともに、『アンチヴァイラル』からはセレブリティと一体になるためにそのウイルスを自分の身体に注入するという近未来の世界の異常性を確認する必要があります。
 一方では消費増税の決断が吉と出るのか凶と出るのかを心配し、他方では「アベノミクス」に期待しながら、今年のお正月はそんなラインナップをお楽しみ下さい。
                                            以  上