SHOW-HEYシネマルーム28
  
     2012年上半期お薦め50作』が出版されました!
                      (2012(平成24)年7月15日出版)
    
                          
◆すべての原発が稼動を停止したわがニッポン国で2012年の夏は全国的に節電が要請される中、関西地区では15%とされているためさまざまな対策が必要です。やしきたかじんの『そこまで言って委員会』では、勝谷誠彦氏が「甲子園の高校野球の中継をやめればいい」と発言していましたが、その真意は?その賛否は?
 電気料金も昼間の需要ピーク時をバカ高にし、朝夕は安くするという体系に変わりそうですから、夕涼みしながら『シネマルーム』の読書に、というのも一案です。『シネマルーム28』は、2011年11月1日から2012年4月30日までに観た洋画64本、邦画14本、計78本の映画から2012年上半期お勧め50作を選びまとめたものです。

◆上半期はいつもアカデミー賞の話題がてんこ盛りですが、第84回アカデミー賞は名作・名優が勢ぞろいしたため、圧巻です。『アーティスト』も『ヒューゴの不思議な発明』も映画愛に満ちた名作ですが、僅差ながら結果的には大きく明暗を分けてしまいました。3Dの大作が話題を呼ぶ中、こんな「逆転の発想」を大切にしたいものです。サッチャーを演じたメリル・ストリープの主演女優賞は確実視されていましたが、微妙な英語の発音まで判別できた人はどれくらい?また、助演男優賞を超ベテランのクリストファー・プラマーとマックス・フォン・シドーが争いましたが、彼らの『サウンド・オブ・ミュージック』(65年)と『偉大な生涯の物語』(65年)を知っている人はどれくらい?
 今回のノミネート作品は日本での公開が早かったため、それぞれ鑑賞直後に書いた評論の中で受賞の可能性にも触れていますので、私の鑑賞眼のレベル(確かさ?)にも注目しながら本文を読んでいただければ幸いです。

◆2012年5月現在、世界最大の経済問題はギリシャ問題、そして最大の政治的・軍事的問題はイランの核開発問題です。北朝鮮をめぐる六カ国協議(北朝鮮、韓国、中国、ロシア、米国、日本)とは異なり、イランと協議中の六カ国は国連常任理事国(米、英、露、中、仏)にドイツを加えたものですが、ウラン濃縮の停止は容易ではありません。もしイスラエルがイランを空襲でもすれば、大変なことです。
 そんなイランが実はインドと同じく映画大国であることは意外に知られていませんが、『別離』を観ればそれは一目瞭然です。また『灼熱の魂』を観れば中東問題の根の深さがわかる一方、『デビルズ・ダブル』を観れば今でも「武田信玄の世界」があることに驚くはずです。観ているだけで胸が痛くなる中国映画『無言歌』を含めて内向きニッポン人とならず、映画を通じて広く世界に目を向けたいものです。

◆読売新聞が土曜日毎に特集している「昭和時代」は、『三丁目の夕日』シリーズが大ヒットした日本では必読。昨年12月には「昭和史検定」まで実施されました。昭和の時代から歴史や戦争を考えれば、ローマ時代(『第九軍団のワシ』)、三国時代(『三国志英傑伝 関羽』)、唐の時代(『王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件』)、第1次世界大戦(『戦火の馬』)等への興味も増すはずです。逆に目を未来に転ずると、『はやぶさ』のような夢のある話もあれば、『メランコリア』『テイク・シェルター』のような人類滅亡の予測も・・・。

◆2012年は世界的な選挙の年。そして、政権交代、指導者交代の年です。仏・露の大統領交代に続くギリシャの国会議員選挙の再実施には驚きですが、民主主義の発祥地でこんなことになろうとは。「決められない民主主義」が続く日本も困ったものですが、ギリシャが独・仏を軸とするユーロ圏から離脱すれば大変です。
 11月の米大統領選挙と10月の中国共産党の指導部交代が後半最大の焦点ですが、『スーパー・チューズデー』や『英雄の証明』もどきの暗躍(?)を経て、米中にどんな新トップが登場するか注目です。そこでは当然『裏切りのサーカス』のようなウラの世界ではなく、『おとなのけんか』のようなオープンな議論が要請されます。

◆フランスの大統領が国民運動連合のサルコジから社会党のオランドに交代したことによって、はじめてバレリー・トリルベレールという「事実婚」のファーストレディが登場することになりました。日本と違いフランスでは事実婚は当たり前、同性婚ですらOK(?)ですから、恋愛の形はさまざまです。一人っ子政策が続く中、経済格差とエリート崇拝が続く北京や上海では、1人娘に高学歴、高収入、高地位の男を結びつけようとする「見合い」への母親の介入が目に余りますが、日本でも自分で恋人を見つけられない草食系男子の大量出現には困ったものです。
 そう考えると『昼下がり、ローマの恋』にみるロバート・デ・ニーロの「健闘」には思わずニンマリです。また、『恋の罪』にみる殺人絡みの恋愛にはゾッとするし、『SHAME』にみるセックス依存症も困ったものです。さらに『私が、生きる肌』にみる愛する女性への執着心も度が過ぎていますが、かと言っていつまでも『人生はビギナーズ』ではダメ。やはり恋の道でもホドホドが大事なことを、映画でしっかり学ぶ必要があります。

◆『アリラン』や『ポエトリー』を観れば今ドキの若者に安易に「自分捜しの旅」と言って欲しくありません。しかし、『ヒミズ』や『ジェーン・エア』そして、『ハンター』や『ロボジー』をみれば、所詮人生は自分捜しだと痛感します。若者にとって現在の日本は最悪かもしれませんが、『運命の子』や『アニマル・キングダム』ほど悪くはないはず。『幕末太陽傳』や『種まく旅人』のように明るく前向きの人生を楽しみたいものです。さあ、今年の夏は冷房の温度を少しだけ上げて『シネマルーム28』を楽しみましょう。
                                                   以上