SHOW-HEYシネマルーム29
  
     2012年下半期お薦め50作』が出版されました!
                      (2012(平成24)年12月15日出版)
    
                          
◆『シネマルーム29』は、2012年5月1日から10月30日までに観た洋画53本、邦画11本、計64本の映画から2012年下半期お薦め50作を選びまとめたものです(『金陵十三釵』は2月に鑑賞)。2012年4月のミャンマー連邦議会補欠選挙でアウンサンスーチー氏が当選するとともに、彼女が率いるNLD(国民民主連盟)が圧勝したことによってミャンマーの民主化が急激に進み、日本からの投資熱も急速に高まっています。「決められない民主主義」地獄にはまり込んだ日本では、吹けば飛ぶような存在の政治家がほとんどですが、軍事政権による15年間もの「自宅軟禁」を闘い抜いた彼女の今後のリーダーシップに期待!やはり人間には第1章に収録した『キリマンジャロの雪』『ウェイバック』『幸せへのキセキ』『屋根裏部屋のマリアたち』『そして友よ、静かに死ね』のような「信念、変革、友情、希望」が不可欠です。2012年は世界的に指導者交代の年になりましたが、3月に再び大統領に返り咲いたロシアのプーチンは?5月に新大統領となったフランスのオランドは?11月にアメリカの大統領に再選されたオバマは?また胡錦濤に代わる新たな共産党総書記として中国を率いていく習近平は?そして、お隣の韓国は?第1章の『The Lady』の評論を読み、そんなことをしっかり考えたいものです。

◆2012年後半は「近いうち解散」が流行語大賞に選ばれるかもしれないほど、消費増税法案をめぐる野田総理と谷垣自民党総裁(当時)との「密談」が国民的話題となりました。しかし人を欺すなら、第2章の『夢売るふたり』や『カラスの親指』からしっかり人間を学ばなくちゃ。解散権は総理大臣の「専権」だから、「死んだふり解散」も「嘘つき解散」もOK。それなら言葉による欺しのような「近いうち解散」だってOKでは?「泣いた女がバカなのか、だました男が悪いのか・・・」はかつて西田佐知子が歌って大ヒットした『東京ブルース』の歌詞ですが、ひょっとして一番だらしないのは民主主義の主人公たる日本国民かもしれません。第2章に収録した上記2作にみる「欺し」や、『ワン・デイ』『テイク・ディス・ワルツ』にみる「恋」を通じて、日本の政治家はもとより国民自身もしっかり「人間」を学ぶ必要があります。また、『スリーピング タイト』や『推理作家ポー』のようなウラ話(秘話)からは、縦横無尽の想像力をかきたててほしいものです。

◆昨年7月26日に事務所と有馬温泉で対談した、「アジアでもっともノーベル文学賞に近い作家」莫言さんが、今年10月現実にノーベル文学賞を受賞しました。これは私にとって今年最大のニュースですが、8月16日~24日の上海・合肥・南京・上海旅行の際に見学した「侵華日軍南京大虐殺遇難同胞紀念館」も衝撃でした。陸川監督の『南京!南京!』(09年)やドイツ・フランス・中国合作映画で香川照之も出演した『ジョン・ラーベ』(09年)は南京事件を真正面から題材とした映画ですが、張藝謀(チャン・イーモウ)監督は2011年になぜ『金陵十三釵』を監督したのでしょうか?野田総理による9月11日の尖閣諸島「国有化宣言」によって日中関係が最悪状態となっている今、改めて「南京事件」をはじめとして日中間で大きく相違する歴史認識問題に踏み込む必要があります。中国語の独学が3年半となり、今では字幕なしでも中国映画のあらすじがわかるようになった(?)私としては、今後も日中友好のための活動を続けたいと決意を新たにしています。
 第3章に収録した『ブラック・ブレッド』『かぞくのくに』『オロ』からは「こんな国のこんな現実を!」、『11・25自決の日』『金陵十三釵』『外事警察』からは「日本はこれでいいのか!」を考えてください。さらに第4章に収録した『ネイビーシールズ』『高地戦』『のぼうの城』からは「こんな戦争も、あんな戦争も!」、そして『ソハの地下水道』『アンネの追憶』『あの日 あの時 愛の記憶』からは「ナチスの悲劇を忘れずに!!」という坂和流の問題提起をしっかり受け止めてほしいものです。

◆映画評論家を目指し、『シネマルーム』の出版等を始めてから12年目の今年、やっと私に新作DVDの解説記事の執筆依頼の仕事が舞い込みました。それが『リンカーン弁護士』です。日本では司法制度改革路線に沿って設置された法科大学院と弁護士増員が引き起こした問題点が顕著になっていますが、さてアメリカでは?高級車リンカーンを移動する法律事務所としているチョイ悪弁護士の生態(?)と秘匿特権を、20名の被告人、76件の容疑を裁いたアメリカマフィア最大の法廷ドラマ『コネクション』と共にしっかり学び楽しんでほしいものです。また第5章では、韓国で08年から施行された「国民参与裁判制度」の下で、韓国発の本格的法廷サスペンスとして作られた『依頼人』も必見です。

◆健さんこと高倉健205本目の映画『あなたへ』は静かな人気を集めましたが、観客は老人ばっかり!『わが母の記』もそうでした。歌の世界ではAKB48などの若手アイドルグループが古参歌手に代わって世間を席巻していますが、政治や映画の世界はまだまだ老人天国のようです。大胆な本音と辛辣な皮肉をスクリーンいっぱいに展開した第6章のフランス映画『最強のふたり』の大ヒットは痛快でしたが、日本の老人問題は深刻です。『トータル・リコール』『プロメテウス』『ハンガー・ゲーム』『大阪のうさぎたち』で描かれた、あまり来てほしくない近未来の予測と共に現実的な政策づくりを模索しなければ。

◆今年のお正月はそんなラインナップの意味を考えながら、またAKB48の総選挙ではなく、衆議院議員の総選挙に国民一人一人が参加し、「決められる民主主義」を実践する国にするための方策を考えながら、『シネマルーム29』を楽しみましょう。
                                                   以上