SHOW-HEYシネマルーム26
  
     2011年上半期お薦め50作』が出版されました!
                      (2011(平成23)年7月15日出版)
    
                          
◆2011年3月11日午後2時46分に発生した東日本大震災は、被災地はもちろん日本国の行方を左右する文字通り未曽有の大災害となりました。地震だけでも1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の規模をはるかに上回ったことに加えて、岩手県・宮城県・福島県では太平洋沿岸の広域が大規模な津波に襲
われました。そのうえ、これは天災なのか人災なの
かの議論を避けることができない、福島第1原子力
発電所の事故です。「レベル7」に引き上げられた
「フクシマ」は「チェルノブイリ」と並んで世界的に有名
となりました。私は「都市づくり」をライフワークとして
いる弁護士として、阪神・淡路大震災における復興
まちづくりに最大限の努力をしてきましたが、今回も
論文執筆等さまざまな分野でお役に立ちたいと考え
ています。

◆『シネマルーム』の出版を年間2冊とし、かつ上半期50作、下半期50作に限定したことや、最近のハリウッド映画や邦画の「ある傾向」に飽きてきたこと、さらに中国語勉強の意欲が映画鑑賞やその評論書き以上に高まってきたこと、などの理由によって最近は映画鑑賞のペースが落ちています。しかも、私の独断と偏見にもとづく採点が3点以下のものについては評論を書くエネルギーを減らすべくショートコメント方式を復活させたため、今後はひょっとして年間2冊から年間1冊にするかもしれません。しかしまあ今回は、2010年11月1日から2011年4月30日までに観た洋画59本、邦画14本、計73本の映画から、2011年上半期お薦め50作を選び、『シネマルーム26』として従来と同じスタイルで出版しましたので、お楽しみ下さい。

◆上半期の話題は、毎年2月下旬に発表されるアカデミー賞の行方です。今年の第83回アカデミー賞は『英国王のスピーチ』が作品賞、監督賞、主演男優賞、オリジナル脚本賞の4冠を受賞し、前評判の高かった『ソーシャル・ネットワーク』は脚色賞、編集賞、作曲賞だけ、『127時間』は無冠でした。他方『ブラック・スワン』でのナタリー・ポートマンの主演女優賞は本命通りですから、『キッズ・オールライト』のアネット・ベニングや『ブルーバレンタイン』のミシェル・ウィリアムズは諦めなくちゃ。また『ザ・ファイター』でのクリスチャン・ベールの助演男優賞も誰がみても本命です。助演女優賞は『ザ・ファイター』のメリッサ・レオが受賞しましたが、私は『トゥルー・グリット』の少女ヘイリー・スタインフェルドにあげたかった。そんな思いを強くしています。

◆『シネマルーム26』の第1の特徴は、映画の定番的な楽しみは第7章の『イップマン 葉問』『あしたのジョー』『完全なる報復』『ツーリスト』の4本、世界共通のエンタメである音楽映画も『ショパン 愛と哀しみの旋律』『ダンシング・チャップリン』『バーレスク』『ハーモニー 心をつなぐ歌』の4本と少ない反面、第6章の「映画に見る凶悪事件あれこれ」のラインナップがそろったことです。日米韓それぞれの想像を絶する凶悪犯が登場する『冷たい熱帯魚』『キラー・インサイド・ミー』『悪魔を見た』や、2人の凶悪女(?)を主人公にした映画『白夜行』『八日目の蟬』、さらに最後まで犯人がわからないミヒャエル・ハネケ監督の傑作『白いリボン』に注目して下さい。

◆第2の特徴は、相変わらず第2章で「愛の形あれこれ」にこだわっていることです。アメリカの『ジュリエットからの手紙』、中国の『再会の食卓』、日本の『ばかもの』を、50年後は?40年後は?10年後は?というキーワードで結びつけたのは私だけでしょう。また、『愛する人』(母と娘の愛)、『ゴースト もういちど抱きしめたい』(幽霊との愛)、『私の愛、私のそばに』(定番の難病もの)、『台北の朝、僕は恋をする』(疾走する若者の愛)に見る、「こんなこだわり、あんなこだわり」を確認するとともに、『スプリング・フィーバー』に見る男同士の異常な愛の姿(?)や、『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』『アンチクライスト』に見る、何とも異常な愛の形(?)をしっかり味わいたいものです。

◆第3の特徴は、『シネマルーム』特有の坂和流問題提起です。第3章の『デザートフラワー』『サラエボ、希望の街角』からは、こんな厳しい現実を直視する必要があることを、そして『シリアスマン』『わたしを離さないで』からは、死と直面する人間の姿をしっかり感じとってもらいたいものです。さらに今回は「戦火を考える!災害を考える!」という第4章の問題提起も重要です。現在リビアで広がっている「戦火」は、『戦火の中へ』に見る韓国でも、『戦火のナージャ』に見るソ連でも、そしてもちろん『我が闘争』に見るヒトラー・ドイツでも同じなのです。また、東日本大震災による津波によって『ヒア アフター』は上映中止となりましたが、中国映画『超強台風』にみる強烈な市長のリーダーシップは東日本大震災からの復興の参考にしたいものです。

◆第4の特徴は、第5章の「歴史に学ぶ、経営に学ぶ」という視点です。『アレクサンドリア』では本年1月にエジプトで起きた大騒乱と対比しながらエジプトの歴史を、『アメイジング・グレイス』では去る4月21日に亡くなった元キャンディーズのスーちゃんこと田中好子や「アメイジング・グレイス」で美しい高音を聴かせてくれた本田美奈子.を追悼しながら、歌のすばらしさを学びたいものです。また「忠臣蔵」のストーリーは知っていても『最後の忠臣蔵』に描かれた秘めたる物語とは?テレビで見た1969年の東大安田講堂事件の映像は知っていても、『マイ・バック・ページ』に描かれた若者がいたことは?それをこれらの映画からしっかり学びたいものです。さらに、日本では1980年代後半のバブル絶頂期における株価の日経平均は4万円前後でしたが、今は1万円前後です。東日本大震災のからの復興をめぐって財源問題がクローズアップされる今、日本の『武士の家計簿』やアメリカの『ウォールストリート』さらにフランスの『しあわせの雨傘』から、しっかりと経営のあり方を学んでほしいものです。さあ、今回も『シネマルーム26』をお楽しみ下さい。
                                                   以上