SHOW-HEYシネマルーム27
  
     2011年下半期お薦め50作』が出版されました!
                      (2011(平成23)年12月25日出版)
    
                          
◆前回『シネマルーム26』の出版は、2011年3月11日に発生した東日本大震災から4カ月後の出版でしたが、今回『シネマルーム27』の出版は2001年9月11日に発生した世界同時多発テロからちょうど10年後となりました。また、中国映画の大作『1911』を持ち出すまでもなく、2011年10月10日は清朝を打倒した辛亥革命から100周年という記念すべき年になりました。さらに、今年は政党政治の崩壊とともに強まっていった軍国主義の流れの中、瀋陽(旧奉天)で発生した1931年9月18日の柳条湖事件からちょうど80周年の年にあたります。そんな記念すべき年にふさわしく、『シネマルーム27』には、「第5章 2001年の9・11からちょうど10年」を考える『フェア・ゲーム』や『ゴーストライター』などの問題作や、『1911』、『シャンハイ』などの「歴史大作」(第3章)でいっぱいです。99歳になった新藤兼人監督最後の傑作『一枚のハガキ』や、中国第五世代監督胡玫(フー・メイ)が2500年前の春秋時代の中国を描き出した『孔子の教え』などとともに、まずはしっかり楽しみつつ学びたいものです。

◆社会主義に対する優位が確立していたかにみえた資本主義社会も、ウォール街で始まり、瞬く間に西欧先進資本主義国に広まった若者たちの「反ウォール街デモ」を見ていると、その基準が脆弱なことがわかります。そんな中、総理大臣のクビを1年毎にとっ替えてきた日本は、「政権交代」が裏目に出たこともあって、その衰退が加速しています。三洋電機やレナウンの買収劇を見ていると、10~20年後の日本は、きっと中華人民共和国の日本自治州に・・・?そんな不安の中で見直されるのが「家族の絆」です。そこで、『シネマルーム27』「第1章 家族」にはそんな名作を集めました。米(『水曜日のエミリア』、『ツリー・オブ・ライフ』、『スリーデイズ』)、英(『家族の庭』)、仏(『この愛のために撃て』)、中(『我らが愛にゆれる時(左右/IN LOVE WE TRUST)』)というそれぞれの国、それぞれの時代、それぞれの現場で見る家族の絆を確認して下さい。

◆混迷した時代になればなるほど男の生きザマが問われます。また自立した女性、強い女性が世界中に増殖している今、女だってその生きザマが問われるのは当然です。そんな時代状況を受けて「第2章 男の生きザマ 女の生きザマ」には秀作が結集しました。野球(『マネーボール』)、探偵(『探偵はBARにいる』)、情報部員(『アジョシ』)など職業も様々なら、復讐(『ファースター 怒りの銃弾』)、人間変革(『新少林寺(新少林寺/SHAOLIN)』)など生きザマを決める動機も様々です。日本の多くの草食系男子たちは、こんな映画からあらためて己の生きザマを検証してみる必要があるはずです。他方、1人で世界を放浪する中国娘(『中国娘(中國姑娘/SHE,A CHINESE)』)にも、ミズーリ州の田舎町でひたむきに生きるアメリカ娘(『ウィンターズ・ボーン』)にもそれぞれ驚かされましたが、それに対してAKB48ブームに湧く平和で豊かなニッポン国の女子たちの生きザマは?さらに『ハウスメイド』や『第7鉱区(SECTOR 7)』にみる韓国女性のパワーには、KARAや少女時代に代表されるK-POPのパワーと同じように驚かされましたが、これに対抗するヤマトナデシコのパワーは?

◆人間には「家族の絆」が大切ですが、同時に人間の営みには愛と報復そして争いがつきものです。そこで第6章では、①愛のかたちあれこれ(『カメリア(時にあらがう3つの物語)』、『軽蔑』、『モールス』)、②報復のかたちあれこれ(『未来を生きる君たちへ』、『ドリーム・ホーム』、『デンデラ』)を検討するとともに、③何ともステキで楽しい法廷劇『ステキな金縛り』、何とも重々しい法廷劇『再生の朝に -ある裁判官の選択-(透析Judge)』を対比しながら、法廷あれこれを勉強してください。

◆中国との交流が10年を超え、近時その濃さがますます深まっている私は、昨今の日本の若者たちの「内向き志向」を真剣に憂えています。広く現在の世界に目を向けるとともに世界の歴史を学ぶことは、島国に生きる日本人にとって不可欠です。その意味で戦後66年間ノー天気なまま平和を享受してきた私たちは『ペーパーバード 幸せは翼にのって』、『黄色い星の子供たち』『ミケランジェロの暗号』などの名作から、あの時代ナチス・ドイツがスペインでフランスでそしてイタリアでユダヤ人に対していかなる行動をとっていたのかをあらためて考える必要があります。また日本人には遠い遠い世界ですが、①イラクでのあるクルド人の生き方を『バビロンの陽光』から、②南米ペルーのアンデスで起きたある悲劇を『悲しみのミルク』から、③ドイツのある深い森で起きた不思議な現象を『蜂蜜』から、それぞれ学ぶ必要があります。

◆私は1949年生まれの団塊世代ですが、弁護士という自由な職業であるためまだまだ現役を続けています。しかし同級生たちの多くは既に定年退職し、第2の人生に向かっています。そこで第7章にはそんな人たちにふさわしい(?)名作をラインナップしました。『ベニスに死す』、『天国の日々』、『風吹く良き日』というイタリア、アメリカ、韓国の名作にあらためて酔うとともに、「余命数カ月宣告」を受けた時の心構えとして(?)、『ビューティフル』、『海洋天堂』が示す問題提起をしっかり受け止めて下さい。さらに個性派アウトロー俳優原田芳雄を、『ツィゴイネルワイゼン』での若き日の姿と『大鹿村騒動記』での円熟した姿を対比しながら偲んで下さい。さあ、今回もこんなに充実した『シネマルーム27』をタップリとお楽しみ下さい。
                                                   以上