はしがき

 2004年4月1日、ついに実現した、司法制度改革の一つの柱である法科大学院がスタートし、約5500名がその入学を果たした。彼らはきっと将来の法曹の姿を夢にみながら、勉学に励むことだろう。
 そんなとき、君たちを最大の販売ターゲットとして、『いま、法曹界がおもしろい!』というおもしろい本が完成した。この本を企画したのは昨年(2003年)10月。私の決断も早いが、出版社の決断も早い。即オーケー。すぐに大雑把な枠組みは完成した。しかし残念ながら、@昨年12月5日に実施した愛媛大学での3回目の集中講義をまとめた『実況中継 まちづくりの法と政策パートV』の執筆と、A昨年4〜11月までの映画評論本『シネマルームV』の原稿整理のため、本書の作業は中断。しかし、この両者が一段落した2月初旬から本書の原稿作成を開始した。

 多少色あせた感があるが、2001年4月にスタートした小泉改革の一つの「売り」はスピード。また、司法制度改革で求められているテーマの一つも、裁判の迅速化法案やオウム事件判決に象徴される「スピード」。このように何事もスピードが大切。30年間、スピードの大切さを痛感し続けてきた私の原稿書きは早い。そのうえ、途中で執筆者に吉岡寛子弁護士と嶋津淳子事務局長を加えたことが幸いし、ある部分では私は、この二人の執筆者の「ケツを叩く」だけの役割となった。その結果、たちまち2月末には9割以上の原稿が完成した。後は序章の作成や細かいチェック作業をやり、3月上旬、すべての原稿を出版社に送付することができた。
 本書は、今年6月には市販されているはず。時はちょうど司法試験の真っ最中。そしてまた来年のロー・スクールに向けての適性試験の試験日(6月13日)と重なった時期だ。そんな時期に本書が出版できたことを私は大変うれしく思っている。「合格体験記」のような本は数多く出版されているが、法曹界を目指す人たちに対して、法曹界のおもしろさをさまざまな視点や切り口から解説した本は少ない。本書はこれを私たち3人の視点で示したものだ。ぜひ、本書を手にとって読んでもらい、『いま、法曹界がおもしろい!』ことを実感してもらいたい。そして司法試験や適性試験合格をめざすバネにしてもらいたい。法曹界は君たちが入ってくるのを待っているのだから。
                           
 弁護士 坂 和 章 平



 「今日からはお堅い法律の話ばかりの日々だ!」と気合いを入れて昨年10月に就職した坂和総合法律事務所で私を待っていたのは、「お堅い」法律の話に加えて、本の執筆だった。
 ついこの間まで現役だった司法修習生の生活を振り返って文章化する作業は楽しく、懐かしく、「お堅い」法律仕事の合間の息抜きとなった。こんなグッド・チャンスに恵まれたのは、56期の新米弁護士の中で私くらいだろう。
 弁護士登録から約半年が経過した今も、新しいことづくし、勉強づくしの毎日。失敗も、無駄も多いので、ヘコむこともしばしば。そんな新米弁護士の私が「弁護士はおもしろいよ」と強調しても全然説得力はないだろう。そして私自身も、まだ「だから弁護士はおもしろい!」と感動する機会に出会っていない。
 でも、修習生活が楽しかったこと、修習を通して関わった法曹界が「おもしろい」世界であることは自信をもって断言できる。
 本書を読んで、少しでも多くの人たちに、法曹界の扉を叩いてみようと思ってもらえるとうれしい。
                            弁護士 吉 岡 寛 子



ひょんなことから、一事務職員である私に、本屋さんに並ぶ本の原稿の一部を書くという名誉が与えられた。これは、1987年9月から2004年3月まで16年と6カ月、坂和弁護士の下で笑ったり、泣いたり、怒ったり、怒鳴ったり、そしてまた「くそっ!」と思いながら、仕事を続けてきたことの一つの結果だ。いつも陰で私から、ボス弁の悪口を聞かされている坂和総合法律事務所のOBやOGからは、「うそつき!」と罵られるかもしれない。しかし、まがりなりにも読者の皆様に読んでもらえる文章が書けるようになったのは、長年の坂和弁護士の指導の賜であることは間違いない。また「事務局長、事務局長」とうるさいくらい(?)に頼りにしてもらえるのは、大変ありがたいことだと感謝している。
 最近、事務職員の面接の場面でも、大学の法学部の通信講座を受けたり、司法書士や行政書士の勉強をしている人によく出会う。このように法曹界をめざす人は確実に増えている。しかしいくら難関の司法試験でも、これに合格しただけでバラ色の法曹人生を歩めるわけではない。また、無事弁護士バッジを胸につけても、就職した事務所のボス弁は坂和弁護士のようにこわいかもしれないし、私のようなイジワル(?)事務職員がいるかもしれない。また依頼者も十人十色。そんな人たちと対峙するためには、机の前に座ってする勉強だけではなく、いろいろな社会経験が必要。
 本書で私は、大学卒業後16年6カ月の「青春時代」を過ごした坂和総合法律事務所で、私がいろいろな壁にぶつかりながら経験したことや考えてきたことを書いたつもり。これらの私の体験が法曹界をめざす読者の皆様のバラ色の法曹人生のために、少しでも参考になればこんなうれしいことはない。
                                       事務局長 嶋 津 淳 子