はしがき

 03年12月5〜8日の4日間、愛媛大学法文学部で実施した「都市法政策」の集中講義をまとめた、『実況中継 まちづくりの法と政策』パートVを今般、出版することができました。
 これはそのタイトルどおり、パートT(99年11月12〜15日講義、00年7月出版)、パートU(01年12月7日〜10日講義、02年9月出版)に続く、第3弾です。

 第1回目の集中講義の99年11月から、第3回目の03年12月までの4年間における、私にとっての大きな出来事は次のとおりです。
(1)『実況中継T』が、00年5月、日本都市計画学会の「石川賞」と
   日本不動産学会の「実務著作賞」をダブル受賞したこと、

(2)まちづくり法の分野で次の3冊の本を出版したこと。すなわち、
   @都市計画法の平成12年改正を受けて、『Q&A 改正都市計画法
  のポイント』(01年6月)、

   A都市計画法の平成14年改正を受けて、『わかりやすい都市計画法の
  手引(加除式)』(03年7月)、

   Bマンション建替え円滑化法の制定を受けて、『注解 マンション建替え
  円滑化法〔付〕改正区分所有法等の解説』(03年9月)、

(3)01年10月、坂和総合法律事務所のホームページを立ち上げ、事務所の
   本来の業務に関する情報の他、「趣味のページ」を設け、その中で映画評論
   や旅行記をとりあげ始めたこと。

(4)趣味のページの中でも特に、映画評論が楽しくなり、弁護士業務と映画評論
   家の「二足のわらじ」を目指すべく、次の3冊の本を出版したこと。
   すなわち、

   @『SHOW―HEYシネマルームT 〜二足のわらじをはきたくて』
  (02年6月)

   A『社会派熱血弁護士、映画を語る SHOW―HEYシネマルームU』
  (03年8月)

   B『社会派熱血弁護士、映画を語る SHOW―HEYシネマルームV』
  (04年3月)

(5)中国映画好きと中国旅行好きが定着し、
   @00年8月10〜14日の大連・瀋陽旅行、
   A01年8月9〜14日の西安・敦煌旅行、
   B03年11月1〜4日の北京旅行、
  による見聞を深めたこと。
 このように通常の弁護士業務の他、まちづくり関係の学習・講義・出版と、映画鑑賞・映画評論の出版が大きなウエイトを占めるようになったのです。

 愛媛大学で第2回目の集中講義を実施した01年という年は、@1951年9月8日のサンフランシスコ講和条約締結から50周年、A1941年12月8日のパールハーバーの日から60周年、B日中戦争の発端となった1931年9月18日の柳条湖事件(満州事変)から70周年という節目の年でした。
 また、99年の第1回目の集中講義から第2回目までの大きな出来事は、@00年5月の都市計画法の32年ぶりの大改正、A01年4月の小泉内閣の発足、B都市再開発の破綻、であったため、2回目の集中講義のテーマは、@小泉改革、A破綻する都市再開発、B戦後58年をテーマとしました。


 今回03年12月の第3回目の集中講義までの2年間の最大の出来事は、01年5月に発足した小泉内閣がその2年半後、03年9月の自民党総裁選挙を経て第2次小泉内閣が発足したこと、そして11月9日の衆議院議員総選挙でした。そして現在のわが国最大の論点は、経済不況の脱出とあるべき金融政策の模索の他、@イラクへの自衛隊派遣問題、A道路公団民営化問題、B自公連立政権下での年金改革問題、C地方分権における三位一体改革問題等であり、さらにD郵政民営化問題の議論にも着手されました。
 一方、「破綻する都市再開発」は、さらに深刻度を増し、阿倍野では、外資系企業撤退によって再度の事業計画の見直しを余儀なくされ、私が担当している久居市駅前では、「調停不調」の結論を受けて、再開発組合の預金凍結というものすごい事態となりました。
今回の講義で、私の言葉によるこれらの生々しい「実況中継」が、大いに学生諸君の興味と関心を呼んだことは間違いありません。
 さらに、小泉改革と都市再生は密接に結びついており、02年4月の都市再生特別措置法の制定や03年4月の六本木ヒルズのオープンなどは新たな問題を数多く提起しています。
 今回の第3回目の講義の特徴は、映画ネタが増えたことです。これは決して私の趣味や好みを学生諸君に押しつけようとしたのではなく、映画をもとに、歴史・戦争・人生・恋愛・その他各種の現実の問題を考えるための視点を学生諸君に提示することを狙ったものです。
 読者の皆様も、ぜひこのような理解で、私の映画ネタの授業を読んで下さい。

 以上のように、第1回から第2回、第2回から第3回と2年毎に大きく変わった政治・経済・社会情勢を受けて、私の「都市法政策」の講義内容も大きく変わっています。今回のパートVでは、パートT、パートUと重複する部分は可能な限りカットし、最新のテーマについて、縦横無尽に坂和流の実況中継を行いました。さあ皆様、三たび、坂和ワールドに入り、本書を楽しんで下さい。
     
            2004(平成16)年3月10日
                 弁護士 坂 和  章 平