人物交遊録          

 高嶋哲夫氏(作家)(事務所だより第13号・2009年盛夏号)

◆『0(ゼロ)からの風』の塩屋俊監督との交遊録は09年新年号で紹介した。彼は俳優と映画監督の他、アクターズクリニックの主宰者としても東京と大阪を掛け持ちして多忙な日々を送っているが、昨年12月13日にその大阪のアクターズクリニックで開かれた忘年会でお会いしたのが、『ミッドナイト イーグル』の原作者である高嶋哲夫氏。高嶋氏は1994年に『メルト・ダウン』で第1回小説現代推理新人賞を、1999年に『イントゥルーダー』で第16回サントリーミステリー大賞・読者賞をダブル受賞、そして2000年に『ミッドナイト イーグル』を世に送り出してきた。最近は『風をつかまえて』が大ヒット中。
◆塩屋監督は映画俳優らしく風貌も精悍でしゃべり方もシャープだが、私と同じ1949年生まれの高嶋氏の風貌は普通のオッチャン(失礼)。また、しゃべり方もどちらかというと朴訥系(またまた失礼?)。しかも、慶応義塾大学工学部と大学院を卒業し、日本原子力研究所研究員を経て、カリフォルニア大学に留学したという経歴だから、どちらかというと小説家ではなく学者さんのイメージ?そんな彼がなぜ小説家に?と少し不思議だが、ミステリー大賞を受賞するようなややこしい方程式みたいなものを構築したり解いたりするのは、理科系の頭の方が適しているのかも?
◆07年12月8日に観た『ミッドナイト イーグル』の総評で私は「北朝鮮の核開発問題をめぐって6カ国協議が続いている昨今、格好の映画が登場!特殊爆弾を積んだステルス爆撃機が北の上空を飛行しているとしたら?その機体が日本の某所に墜落したとしたら?日本国の危機管理体制を考え、かつその中での家族愛を考えるに絶好の素材だが、料理の仕方はイマイチ。北の工作員はこんなバカばかり?なぜ、邦画ってこんなに緊張感が欠如しているの?私は、そう思わざるをえないのだが・・・。」と書き、採点は星3つ(『シネマルーム18』107頁参照)。またその評論では疑問点として、@某国の工作員はバカばかり? A幕僚たちもバカばかり Bあんなに簡単に銃が撃てるの? Cなぜ待機しないの?なぜ攻撃しないの? D内閣総理大臣は敬礼するの? E西崎と慶子は「呼びすて」にするような仲? と書いたが、それに対する原作者の反応は?
◆忘年会では、その日観たばかりの『252 生存者あり』の評価をめぐって、面白かったという高嶋氏と、「あれはくだらなかった」と主張する私が激突。他方、12月3日に観た『感染列島』をめぐっては、彼が執筆を狙っているパンデミック系作品との関連で話が盛りあがった。高嶋氏は講演でも全国から引っ張りダコで、1年中あちこちを飛び回っているが、こんな議論のやり方をみていると、彼の講演もきっと面白いはず。
◆その後続いているメールのやりとりの中では、新作の執筆意欲も満々で、時代劇にも進出?新型インフルエンザ騒動は収まったが、秋冬に再度襲来するかもしれない「パンデミック」をテーマとした新作の準備状況は?私が予定している『映画から学ぶ裁判員』(仮題)と同様、タイムリーに出版できれば大ヒットまちがいなしだ。7月7日生まれの彼も遂に還暦。還暦を迎えた者同士、年齢を超えたパワーで互いに刺激を与え続け合いたいものだ。
      
                            「人が持つ心の闇」を描いたという、
                            高嶋氏初の警察小説
                            『追跡−警視庁鉄道警察隊−』