洋17-7 (ショートコメント)

「若者のすべて デジタル完全修復版」
    

                  2017(平成29)年1月14日鑑賞<シネ・リーブル梅田>

監督:ルキーノ・ヴィスコンティ
ロッコ・パロンディ(パロンディ家三男)/アラン・ドロン
シモーネ・パロンディ(パロンディ家次男)/レナート・サルヴァトーリ
ナディア(娼婦)/アニー・ジラルド
ロザリア・パロンディ(パロンディ家の兄弟たちの母親)/カティナ・パクシヌー
モリーニ(シモーネをチェッリのジムに引き抜いた男)/ロジェ・アナン
チェッリ(有名ボクシングジムのマネージャ)/パオロ・ストッパ
ルイーザ(ロッコの勤め先のクリーニング店の女主人)/シュジー・ドレール
ジネッタ(長男ヴィンチェンツォの婚約者)/クラウディア・カルディナーレ
フランカ(四男チーロの婚約者)/アレッサンドラ・パナーロ
ヴィンチェンツォ・パロンディ(パロンディ家長男)/スピロス・フォーカス
チーロ・パランディ(パロンディ家四男。アルファロメオの技師)/マックス・カルティエ
イーヴォ(シモーネのチンピラ仲間)/コラード・パーニ
ルーカ・パランディ(パランディ家五男(末っ子))/ロッコ・ヴィドラッツィ
クリーニング店の店員/アドリアーナ・アスティ
ニーノ・ロッシ(チンピラ)/ニーノ・カステルヌオーヴォ
1960年・イタリア、フランス映画・179分
配給/アーク・フィルムズ、スターキャット

◆今般、「ルキーノ・ヴィスコンティ 生誕110年 没後40年メモリアル―イタリア・ネオレアリズモの軌跡―」と題して、『若者のすべて デジタル完全修復版』(60年)、『郵便配達は二度ベルを鳴らす デジタル修復版』(42年)、『揺れる大地 デジタル修復版』(48年)の3本がシネ・リーブル梅田で公開されることになったのは嬉しい限り。
 『若者のすべて』の「デジタル完全修復版」たる本作は179分の大作だが、私は1960年に公開された当時にリアルタイムでは観ていない。アラン・ドロンを一躍世界的大スターにした『太陽がいっぱい』(60年)と同じ1960年の公開だが、『太陽がいっぱい』で彼が演じたトム・リプレーと本作で彼が演じたパロンディ家の三男ロッコ・パロンディは全く異質の対照的な人物像だ。

◆私はルキーノ・ヴィスコンティ監督作品について、近時『ベニスに死す』(71年)(『シネマルーム27』202頁参照)と『山猫 4K 修復版』(63年)(『シネマルーム38』未掲載)を鑑賞したが、『ルートヴィヒ』(72年)は見逃している。『郵便配達は二度ベルを鳴らす デジタル修復版』と『揺れる大地 デジタル修復版』は必ず観るつもりだが、本作の評論を書くのはかなりしんどい。なぜなら、今回の鑑賞を機に『ルキノ・ヴィスコンティの肖像』(2016年、キネマ旬報社刊)と今回のパンフレットとして作成された『ルキーノ・ヴィスコンティ 生誕110年 没後40年メモリアル―イタリア・ネオレアリズモの軌跡―』の2冊を購入したが、それらを参照しながら本作の評論を本格的に書けば、膨大な量になりそうだから。そのため本作は当然星5つだが、本作の評論はショートコメントでお茶を濁す程度でご勘弁を・・・。

◆本作冒頭では、父親を亡くし母親のロザリア・パロンディ(カティナ・パクシヌー)に連れられてイタリア南部の貧しい農村ルカーニア(現:バジリカータ)から、長男のヴィンチェンツォ・パロンディ(スピロス・フォーカス)を頼って、北部の大都市ミラノに移住してきた5人兄弟の姿が描かれる。ヴィンチェンツォには美しい婚約者ジネッタがいたが、ロザリアとジネッタの家族は対立。ミラノでの貧しい生活を余儀なくされる中、次男のシモーネ・パロンディ(レナート・サルヴァトーリ)と三男のロッコ・パロンディ(アラン・ドロン)はボクシングの途に進むことに。
 そんな導入部を見ると、本作のヒロインはクラウディア・カルディナーレ演じるジネッタかと思ったが、そうではなく、その直後に登場する売春婦のナディア(アニー・ジラルド)が、本作全般のストーリーの軸となるヒロインとして登場する。当初はシモーネからホレられたナディアとシモーネの物語が展開するが、シモーネが次第に悪の世界に入り、悪事を重ねていくようになると、さてナディアは?そしてロッコは・・・?

◆本作でいわば「善人代表」として登場する三男ロッコの人物像は、ドストエフスキーの『白痴』に登場するムイシュキン公爵との関連で論じられている。そうすると、逆に本作に「悪人代表」として登場する次男シモーネの人物像は、誰との関連で論じられているの?
 ロッコととことん対立しながらいつもロッコからの救済を得ていたシモーネだが、本作ラストに見るシモーネによるナディアの殺害は実にひどい。そのため、本作はナディアの返り血を浴びたシモーネを抱きしめながらロッコが号泣する結末で終わるが、さてあなたはそんな結末をどう解釈?膨大な量にのぼる本作の評論を勉強しながら、自分流のしっかりした「若者のすべて」論を確立したい。
                                   2017(平成29)年1月18日記