日17-35 (ショートコメント)

「牝猫たち」
    

               2017(平成29)年3月11日鑑賞<シネ・リーブル梅田>

監督・脚本:白石和彌
雅子(池袋の風俗店「極楽若奥様」の風俗嬢)/井端珠里
結依(雅子の同僚、1児のシングルマザー)/真上さつき
里枝(雅子の同僚、主婦)/美知枝
野中(池袋の風俗店「極楽若奥様」の店長)/音尾琢真
髙田(引きこもりの男)/郭智博
谷口(お笑い芸人、結依の客)/村田秀亮(とろサーモン)
SMクラブのマダム/白川和子
2016年・日本映画・84分
配給/日活

◆私は再起動された「日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」の第1作『ジムノペディに乱れる』(16年)を観て、2作目以降は「もういいか?」と思ったが、『哭声/コクソン』(16年)と一緒に観る時間があったためあえて本作を鑑賞。『凶悪』(13年)(『シネマルーム31』195頁参照)を観て、若松孝二監督の薫陶を受けたという白石和彌監督の手腕に拍手したがさて本作は?
 今ドキの「牝猫」とは風俗嬢のことを言うようだが、本作に登場する3人の「牝猫たち」の生態は?イントロダクションには「“いま”という時代を生き抜く力強さに、心打たれる群像ドラマ」と書かれているがさて・・・?

◆本作に登場する3人の「牝猫」たちは、池袋の風俗店「極楽若奥様」で働く3人のデリヘル嬢。①家がなくネットカフェを転々としているホームレスの雅子(井端珠里)、②まだ若いが1児のシングルマザーの結依(真上さつき)、③主婦にもかかわらず風俗嬢をしている里枝(美知枝)たちの「人物像」や「生態」は良く描かれている。また①雅子のなじみの客となる引きこもりの男・髙田(郭智博)、②結依の客となるお笑い芸人・谷口(村田秀亮))③里枝のなじみの客である、妻に先立たれた孤独な老人・金田という3人の顧客の「人物像」もそれなりによく描かれている。さらに、風俗店「極楽若奥様」の店長・野中(音尾琢真)もそれなりの熱演で、風俗店の経営がいかに大変かよくわかる。しかし、日活ロマンポルノとしての出来ばえは・・・?

◆私はガラケーしか使っていないので、スマホを駆使して風俗情報をテキパキと入手することも、その取捨選択をしてうまく注文を出すこともできないが、今ドキの若い男たちは・・・?「牝猫たち」が生きていけるのは「極楽若奥様」のような風俗店にスマホで「注文」を入れる多くの客がいるためだが、本作は「牝猫たち」とその顧客、そしてそれを繋ぐ風俗店の関係をうまく描き出しているから、大いに参考になる。
 しかし「日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」はそんな社会問題提起(?)を狙ったものではなく、女優たちのセックスシーンを売りにするプロジェクトでは?その点から見ると、本作のレベル(興奮度?)は低いと言わざるをえないが、さてその原因は?それは人さまざまだろうが、私のそんな結論自体に多くの人が一致するのでは・・・?
                                  2017(平成29)年3月15日記