洋16-77 (ショートコメント)

「スノーホワイト 氷の王国」
 

              2016(平成28)年5月28日鑑賞<TOHOシネマズ西宮OS>

監督:セドリック・ニコラス=トロイヤン
エリック(「氷の王国」の戦士)/クリス・ヘムズワース
ラヴェンナ(邪悪な女王、フレイヤの姉)/シャーリーズ・セロン
フレイヤ(ラヴェンナの妹、「氷の王国」の女王)/エミリー・ブラント
サラ(「氷の王国」の女戦士)/ジェシカ・チャステイン
2016年・アメリカ映画・114分
配給/東宝東和

◆ハリウッド・ビューティーの代表、シャーリーズ・セロンを華麗に(?)邪悪な女王ラヴェンナ役に変身させ、若く美しい娘、スノーホワイト(白雪姫)の敵役に設定した前作『スノーホワイト』(12年)(『シネマルーム29』156頁参照)が好評だったため、その続編がつくられることに。
 今回、類まれなる美貌と邪悪な魔力で世界を闇で支配した姉・ラヴェンナ女王との間で、奇妙な信頼と確執を持つ妹・フレイヤ役に起用されたのは、近時演技派として急成長しているエミリー・ブラント。そんな2人が本作では、ダブル・ヒロインならぬ、ダブル・ヴィランを!

本作のストーリーの特徴は、姉と対立して「氷の王国」を建国したフレイヤが強大な軍事力に固執し、そのため征服した国の子供たちを強力な戦士に育て上げるという、今はやり(?)の「イスラム国」(IS)のような設定にしたこと。したがって、導入部では子供たちを鍛えあげる訓練風景が描かれるが、突如時代が流れ、エリック(クリス・ヘムズワース)とサラ(ジェシカ・チャステイン)がすばらしい戦士として登場することに。
 こんな美男美女なら互いに恋に落ちても仕方ないが、フレイヤの教えはただ一つ、シンプルで、絶対に愛や恋はダメだということ。そんな奇妙な設定のため、恋に落ちたエリックとサラは、ある日城内からの脱出をはかったが、その計画は何でもお見通しのフレイヤの知れるところとなったため、あえなく挫折。しかし、シャーリーズ・セロンやエミリー・ブラント、ジェシカ・チャステイン、という著名なハリウッド・ビューティーを起用しているのに、そんなつまらないストーリーでいいの?

中盤のストーリーはエリックを中心に展開するが、そこではドワーフが登場する奇妙なサブストーリーもある。しかし、本作のメインはあくまでエリックとサラの恋愛劇・・・。ところが、サラが死んだものと考えてフレイヤのもとを逃げ出したエリックを、幽閉生活から脱出したサラが追っかけていくシークエンスが登場してくると、当初は固い信頼関係で結ばれていたエリックとサラの心が少しずつズレている展開が見られるので、そんなサブストーリーにも注目。
 しかし、そもそもエリックもサラも「氷の王国」の支配者たるフレイヤに服従するの?それとも敵対するの?また、敵対するにしても、単に逃げるだけ?それともフレイヤ退治のために決起するの?そこらあたりがなかなかハッキリしないうえ、2人の恋模様の展開もグレー状態だから、ついイライラ・・・。

死んでいたはずのサラが生き延びていた。それが中盤のストーリーを形成するなら、死んでいたはずのラヴェンナも生き延びていた。そのため、本作ラストのクライマックスでは、生き延びていたラヴェンナとフレイヤとの対決も含めて、ラヴェンナとフレイヤ、エリックとサラという4人の主役が総登場して争うから、それに注目!
 もっとも、力関係からすればラヴェンナとフライヤが圧倒的に強く、エリックとサラの力ではそれに太刀打ちできないのは自明のこと。そこで、今はフレイヤの忠実な戦士になっている子供だった時代の仲間たちが総決起すれば局面を変えることができるが、さて彼らの決起はあるの?ないの?

◆ダブル・ヒロインならぬダブル・ヴィランの美しい衣装。全編を通じて貫かれる圧倒的な映像美。たしかにそういう点は評価するし、ハリウッド・ビューティーのシャーリーズ・セロン、エミリー・ブラント、ジェシカ・チャステインという三大女優の登場をはじめとするハリウッド・スターたちの結集もすばらしい。しかし、所詮ストーリーがこの程度の薄っぺらさではダメ。
 私のそんな評価を反映するかのように映画館の中はガラガラだったが、それでも「スノーホワイト」をテーマにした第3弾はあるのだろうか?
                                 2016(平成28)年5月31日記