洋16-41 (ショートコメント)

「スイートハート・チョコレート(甜心巧克力/Sweet Heart Chocolate)」
                           

                  2016(平成28)年4月3日鑑賞<シネ・リーブル梅田>

監督:篠原哲雄
リンユエ/林志玲(リン・チーリン)
木場総一郎(守の先輩、養護学校経営)/池内博之
星野守(レスキュー隊員)/福地祐介
/山本圭
/陳廷嘉(チェン・ティンジャー)
2012年・中国、日本合作映画・105分
配給/アークエンタテインメント

◆本作は『地下鉄(メトロ)に乗って』(06年)(『シネマルーム12』45頁参照)等で有名な篠原哲雄監督作品。そして、『レッドクリフPartⅠ(赤壁)』(08年)(『シネマルーム21』34頁参照)で、姉の大喬と共に「江東の二喬」と呼ばれた絶世の美女、周瑜の妻、小喬を演じた林志玲(リン・チーリン)が主演。しかも、本作は2012年第25回東京国際映画祭「アジアの風」部門で上映され、ゆうばり国際映画祭ファンタスティック映画祭2013のクロージング作品、そしてお蔵出し映画祭2014のグランプリ受賞作と聞き、「こりゃ必見!」と思って鑑賞したが・・・。

◆「爆買い」が2015ユーキャン新語・流行語大賞を受賞したが、北海道(全体)が中国人大人気の観光地になったのは、馮小剛(フォン・シャオガン)監督の『狙った恋の落とし方。(非誠勿擾/If You Are the One)』(08年)が大ヒットしたことの貢献度が大きい。その中でも夕張は、とりわけ中国人旅行者の人気が沸騰した観光地だ。
 もっとも、本作のヒロイン、リンユエ(林志玲(リン・チーリン))は上海から夕張にやってきた留学生で絵を勉強しているそうだが、そもそも夕張に絵を勉強するような大学があるの?観光なら夕張はいいところだが、本気で絵を勉強するため日本に留学するのなら、やはり東京か大阪の芸大、美大クラスに行かなければ・・・。
 本作のストーリー展開を見ていると、『スイートハート・チョコレート(甜心巧克力/Sweet Heart Chocolate)』というタイトルそのままに、とにかく甘い甘い恋愛劇。リンユエが描いている絵も少しは登場してくるが、ストーリーのメインはチョコレートづくりと星野守(福地祐介)、木場総一郎(池内博之)という2人の男性とリンユエとの恋愛模様になっているから、あまりにも現実感に乏しいが・・・。

◆リンユエと守の出会いは、リンユエがスキー場のゲレンデで絵を描いているところに、レスキュー隊員である守が暴走(?)してきたため。本来なら、ここから損害賠償の争いが始まるところだが、本作では逆にそれがきっかけとなって2人は急接近していくことに・・・。そりゃ守はいい男だけど、日本に留学して絵の勉強をしているのなら、守との交際や守が大好きなチョコレートづくりに精を出すのではなく、もっと真面目に絵の勉強をしなくちゃ・・・。
 また、守が最も信頼する先輩で、一足先にリンユエのことを知っていた総一郎が、リンユエに好意を寄せていることをリンユエはよく知っているはずだから、この3人の男女の関係は如何に?「三角関係」というドロドロした言葉は不適切だが、3人とも子供じゃないんだから3人が「いい関係」を維持していくためには、そこらあたりの関係をきちんと整理する必要があるのでは?

◆総一郎は半分ボランティア的に養護学校の経営をしていたが、なかなかリンユエに対して恋心を打ち明けられない、その面では優柔不断な男。その間に新たに守が急速にリンユエと接近していったから、さて総一郎はこのままでいいの・・・?
 そんな中、ゲレンデを嵐が襲い、子供たちと一緒にいたリンユエたちの救助に向かった守が不幸にも命を落としてしまう悲劇が・・・。ちなみに、このシークエンスでは、守はホントにプロのレスキュー隊員なの?という疑問が湧いてくるほど救助のやり方が雑なところが気になったが・・・。それはともかく、守の死亡はもちろん悲劇だが、そうなれば結果的に総一郎とリンユエとの仲がしっかり固まっていくのでは・・・?
 一方ではそんな期待(?)も芽生えたが、さて本作のストーリー展開は・・・?

◆美しい風景の夕張と上海を舞台に、美しいリンユエをヒロインにした三角関係のラブストーリーは、チョコレートを軸としているだけにとにかく甘い。というより、甘ったるくて、呆れてしまうほどだ。ちなみに、『キネマ旬報』4月下旬号の「REVIEW 鑑賞ガイド」における、上島春彦、北川れい子、モルモット吉田、3氏の採点も星1つ、2つ、2つと軒並み低い。また、そこでの文句(?)もほぼ私と同じ内容だ。
 そんな本作が、なぜお蔵出し映画祭2014グランプリに輝くことができたの?ひょっとして、この手の映画祭の審査は権威ある各種映画祭の審査以上にいい加減なのかも・・・?
                                  2016(平成28)年4月5日記