日16-26 (ショートコメント)

「女が眠る時」
    

                  2016(平成28)年2月27日鑑賞<梅田ブルク7>

監督:ウェイン・ワン
佐原(初老の男)/ビートたけし
清水健二(小説家)/西島秀俊
美樹(佐原の恋人)/忽那汐里
清水綾(健二の妻)/小山田サユリ
居酒屋の店主/リリー・フランキー
刑事/新井浩文
/渡辺真起子
2016年・日本映画・103分
配給/東映

◆美女が眠る姿をひそかにのぞき見たいというのは、すべての男に共通する願望・・・?そこで妄想を膨らませていくと、往々にしてさて何が現実で、何が幻かがわからなくなることも・・・。川端康成の原作『眠れる美女』を映画化した作品は多く、古くは吉村公三郎監督の『眠れる美女』(68年)がある。美女の眠る姿を楽しむ男性を描いた(?)近時の映画(?)は、『アンナと過ごした4日間』(08年)(『シネマルーム23』80頁参照)、『アンジェリカの微笑み』(10年)だが、この両者は何とも幻想的な作品だった。
 もっとも、この手の映画は好き嫌いがハッキリしているから、万人が「こりゃ名作!」と言えるのは、多くの専門家が絶賛した『アンジェリカの微笑み』を除いて少ないのでは?しかして、台湾のウェイン・ワン監督がそんな「眠れる美女」の「のぞきもの」に挑戦!

◆日本では、「一発屋」の小説家は多い。しかして、他の作家の編集担当者をしている妻の清水綾(小山田サユリ)と共にリゾートホテルにいる清水健二(西島秀俊)は今、一発屋になるのか?それとも次回作が成功するのかの分かれ目にあるらしい。そんな健二と綾の目に留まったのはプールで若い女・美樹(忽那汐里)に日焼け止めを塗ってやっている初老の男・佐原(ビートたけし)の姿だ。リゾートホテルには不釣り合いなカップルがいくらでもいるが、さてこの2人の関係は?
 こりゃ、小説のネタとして面白そう。健二がそう考えたかどうかは別として、その後健二は佐原に話しかけたり、佐原の部屋をのぞいたり、更には留守中の佐原の部屋に入り込んで佐原が収集している美樹の写真を盗み見たり・・・。こりゃ明らかに犯罪行為だが、往々にして小説家は非常識で反社会的な行為に及ぶことも・・・。

◆健二が佐原に興味を持ち、更に佐原が収集している美樹の写真にまで興味を持つのは勝手だが逆に、若く美しい美樹が健二に対して興味を持ってくれるかどうかは全く別問題。ところが、宿泊4日目の「嵐の午後」では、綾と約束したレストランへ行くため乗り込んだタクシーの中に、突然美樹が乗り込んできたため、健二はあっちこっちに振り回されたうえ、自殺寸前の美樹を助けるシークエンスまで・・・。
 しかし、こんなバカな話がホントにあるの?ひょっとして、これはすべて健二の幻想、妄想・・・?すると、そんな幻想、妄想を小説にすれば大ヒットするのでは・・・?

◆本作でビートたけしが演じた佐原は、いくつかの映画におけるヤクザ役とともに、まさに彼のハマリ役。また、出番は少ないが佐原と美樹の関係を健二に対していろいろと示唆する居酒屋の店主(リリー・フランキー)も、いかにも彼のハマリ役。さらに、本来は本作の主役でありながら、チラシではビートたけしの次にクレジットされている西島秀俊の健二役も、演技派だけに見事にハマっている。このように男優3人はそれぞれの能力を十分発揮しているが、ハッキリ言って忽那汐里は露出面で出し惜しみ!
 綾を演じた小山田サユリの方は至るところでヌード姿を披露しているが、『女が眠る時』というタイトルの本作で観客が期待するのは、あくまで忽那汐里がどこまで色気シーンを見せてくれるかということだが、その点本作は・・・?この点では、実はウェイン・ワン監督自身も多少のご不満を持っているのでは・・・?
                                  2016(平成28)年3月4日記