洋16-16

「ブラック・スキャンダル」
    

             2016(平成28)年1月31日鑑賞<大阪ステーションシティシネマ>

監督・製作:スコット・クーパー
原作:ディック・レイア、ジェラード・オニール『ブラック・スキャンダル』(角川文庫刊)
ジェームズ・“ホワイティ”・バルジャー(ウィンターヒル・ギャングのボス)/ジョニー・デップ
ジョン・コノリー(FBI捜査官)/ジョエル・エドガートン
ビリー(バルジャーの弟、マサチューセッツ州上院議員)/ベネディクト・カンバーバッチ
スティーヴン・フレミ(バルジャーの腹心)/ロリー・コクレイン
ケヴィン・ウィークス(バルジャーの部下)/ジェシー・プレモンス
ジョン・マルトラーノ(バルジャーの部下、処刑人)/W・アール・ブラウン
チャールズ・マグワイア(FBI捜査官、コノリーの上司)/ケビン・ベーコン
ジョン・モリス(FBI捜査官、コノリーの同僚)/デイビッド・ハーバー
ロバート・フィッツパトリック(FBI捜査官、コノリーの同僚)/アダム・スコット
リンジー・シル(バルジャーの恋人)/ダコタ・ジョンソン
マリアン・コノリー(コノリーの妻)/ジュリアンヌ・ニコルソン
フレッド・ワイシャック(新任連邦検事)/コリー・ストール
ブライアン・ハロラン(ウィンターヒル・ギャングの構成員)/ピーター・サースガード
デボラ・ハッセー(フレミの16歳の継娘、フレミの愛人)/ジュノー・テンプル
ジョー・カヒル(武装組織IRAの参謀長)/ビリー・メレディ
トミー・キング(競争関係にあったギャングのメンバー)/スコット・アンダーソン
ロジャー・ウィーラー(フロリダ州タンパのスポーツ会社オーナー)/デイビッド・デベック
ジョン・キャラハン(ワールド・ハイアライのCEO)/ビル・キャンプ
ジョン・マッキンタイア(武器を積んだヴァルハラ号の船員)/ブラッド・カーター
2015年・アメリカ映画・123分
配給/ワーナー・ブラザース映画

<本作はまぎれもない実話!>
 マーティン・スコセッシ監督の『ディパーテッド』(06年)は、香港フィルム・ノワール映画として大成功を収めたアンドリュー・ラウ(劉偉強)監督の『インファナル・アフェア』3部作(02年、03年)のハリウッドリメイク版だが、舞台をボストン南部に移し、①マフィアに潜入した、レオナルド・ディカプリオ扮する警察官ビリー・コスティガンと、②警察に潜入したマット・デイモン扮するマフィアの男コリン・サリバンとの友情と対決を描く面白い映画だった(『シネマルーム14』57頁参照)。しかして、スコセッシ監督がこの『ディパーテッド』の「下敷き」にした事件こそ、アイリッシュ系マフィアでアメリカ史上最凶最悪と言われる犯罪王ジェームズ・バルジャー(ジョニー・デップ)と、FBI捜査官のジョン・コノリー(ジョエル・エドガートン)との信じられない癒着=情報提供協定というアメリカ史上最悪のスキャンダルらしい。
 『ディパーテッド』は登場人物を架空の名前にしたり、脚色したりしたが、本作はディック・レイア、ジェラード・オニールの原作『ブラック・スキャンダル』をスコット・クーパー監督が可能な限り事実にもとづいて映画化したもので、本作は紛れもない実話!

<ギャングのボスがFBIの情報提供者に?そんなバカな>
 バルジャーとコノリーはアイルランド系移民が多く住むサウス・ボストン、通称サウシーと呼ばれる地区で育った幼なじみ。悪ガキに痛めつけられていたコノリーをバルジャーが救ったことによって、以降コノリーはバルジャーに対して特別な絆と忠誠心を持ったらしい。しかして本作導入部では、一方はウィンターヒル・ギャングのリーダーとなったバルジャー、他方は数年ぶりにFBI捜査官としてサウシーに戻ってきたコノリーが、久しぶりの「ご対面」!このご対面は、FBI捜査官として名を上げ出世したいコノリーが、北ボストンを支配するイタリア系マフィアであるアンジュロ・ファミリーを叩くため、幼なじみのバルジャーに対して「FBIへの情報提供者」になれと持ちかけたことによって実現したものだ。しかし、そんなことってホントにあり?
 そんな「ご対面」の「口利き」をしたのは、バルジャーの実の弟ビリー(ベネディクト・カンバーバッチ)だが、子供の頃バルジャーの庇護の下で悪さばかりしていた(?)ビリーも、今は何とマサチューセッツ州の上院議員というから恐れ入る。バルジャーとコノリーの「ご対面」は、バルジャーに対して直接連絡する方法がないコノリーが、まずビリーとの会食をセットし、そこでそんなとんでもない提案をしたことによって実現したものだ。スクリーン上では、ビリーはコノリーからのそんな提案を「ハッキリ言って迷惑だ」と拒絶していたが、「俺がFBIに戻ってきたことだけでも伝えてくれ」というコノリーの言葉を、結局ビリーはバルジャーに伝えたらしい。さらに、「2分間で話せ!」とクギをさして、コノリーの話を聞いたバルジャーは、その場では何の返答もしなかったが、結局バルジャーはアンジュロ・ファミリーを撃滅するため、FBIへの情報提供者になるという決断を下すことに。

<3人の主人公の絆、名誉、忠誠心に注目!>
 『ディパーテッド』は、互いに警察とマフィアに潜入した2人の若者が主人公だったが、本作は幼なじみのバルジャーとコノリー、それに絡むビリーの3人が主人公だ。コノリーがバルジャーを説得するために使った殺し文句は、「密告じゃない。“協定”だ。互いに利用し助け合うんだ」というもの。導入部のそんな展開を見ていると、この3人の主人公を結びつけるものは絆、名誉、忠誠心だということがよくわかる。
 ギャング映画、マフィア映画は数多いが、それは権謀術策がうずまく世界。さらに、非情で残酷なうえ、裏切りがまかり通る世界だ。しかし、本作に見る3人の主人公に限っては、決して切ることのない純粋な絆があることがよくわかる。もっとも、バルジャーがFBIへの情報提供者になることを語った部下は、腹心のスティーヴン・フレミ(ロリー・コクレイン)だけ。このフレミも、さらにボディーガード役として常にバルジャーの側に立つケヴィン・ウィークス(ジェシー・プレモンス)もバルジャーへの忠誠心にかけては絶対だった(はずだ)が、本作冒頭はこのケヴィンがFBIに対して供述を始めるところからスタートするので、アレレ・・・。
 バルジャー、コノリー、ビリーという3人の主人公の絆、名誉、忠誠心はホントに最後まで続くの?そんな視点をしっかり持って、本作のストーリー展開を追っていきたい。

<ギャングやマフィアの系列は?三国鼎立の計とは?>
 アメリカにおけるギャングやマフィアの系列は、イタリア系、アイリッシュ系、ユダヤ系等がある。その中でも特に強いのがイタリア系とアイリッシュ系だ。ちなみに、本作のパンフレットには越智道雄氏(明治大学名誉教授)の「マフィアを凌いだアイルランド系ギャングの肖像」があるので、是非それを勉強したい。
 ギャング映画の最高傑作『ゴッドファーザー』(72年)は、イタリア系マフィアの物語。それに対して、レオナルド・ディカプリオ、キャメロン・ディアス、サニエル・デイ=ルイスの3人が共演した『ギャング・オブ・ニューヨーク』(02年)は、ニューヨークを舞台としたアイリッシュ系マフィアの物語だった(『シネマルーム2』49頁参照)。しかして、本作は1970年から80年代にかけて北ボストンを支配するイタリア系マフィアのアンジュロ・ファミリーと、南ボストンを支配するアイリッシュ系マフィアのウィンターヒル・ギャングとの抗争を前提とした物語だ。
 中国の『三国志』で描かれた『三国鼎立の計』は、曹操率いる強大な魏の国に対抗するため、諸葛孔明が編み出したもの。「赤壁の戦い」(208年)は、まだ蜀の国が建国されていなかった劉備玄徳と、呉の孫権が連合して曹操に対抗した最初の大いくさだが、これを仕組んだのも孔明だ。そのことはよく知られているが、なぜ本作の評論にそんなことを書くの・・・?

<イタリア系とアイリッシュ系の抗争!FBIはいかに>
 アンジュロ・ファミリーとウィンターヒル・ギャング双方の摘発を目指しながら、なかなか証拠がつかめないためイライラしていたのが、FBIの責任者チャールズ・マグワイア(ケビン・ベーコン)。そんなマグワイアに対して、バルジャーを情報提供者とすることによってアンジュロ・ファミリーを叩くことの価値を力説したのが、それによってFBI内部での出世をあわせて目指したコノリーだ。
 マグワイアはコノリーの同僚のロバート・フィッツパトリック(アダム・スコット)と共に、当初はコノリーの提案をはねつけていたが、ロバートのもう一人の同僚ジョン・モリス(デイビッド・ハーバー)が賛成したことや、現状ではアンジュロ・ファミリー逮捕への道筋がたたないことへの焦りから、結局コノリーの提案を受け入れることに。これはまさに、魏を叩くために当面劉備と孫権が手を結んだのと同じで、アンジュロ・ファミリーを叩くため、何とバルジャーとFBIが協力し合うことになったわけだ。
 バルジャーがFBIへの情報提供者になってからもなかなか決め手となる情報はあがってこなかったが、ある日、アンジュロ・ファミリーの本部所在地や、麻薬、売春、殺人等の罪をすべて認めるアンジュロの録音テープが提供されてきたから、これはすごい情報。これにもとづいてFBIはアンジュロ・ファミリーへの一斉ガサ入れを実施し、アンジュロ・ファミリーを壊滅させることに成功したが、他方、バルジャー率いるウィンターヒル・ギャングの肥大ぶりは?

<J・デップの怪演に拍手!その冷酷さと威圧感は圧倒的>
 名優になるための第1条件は、役になりきること。ジョニー・デップはそんな条件を誰よりも満たすハリウッド俳優の1人だ。もっとも、どんな映画でもその役になり切るジョニー・デップだが、『ネバーランド』(04年)(『シネマルーム7』236頁参照)や、『チャーリーとチョコレート工場』(05年)(『シネマルーム9』112頁参照)でのジョニー・デップや、ヴァンパイアを演じた『ダーク・シャドウ』(12年)でのジョニー・デップを私はあまり好きではなく、本作のジョニー・デップの方が圧倒的に好き。
 それは、役になりきることではジョニー・デップと同じタイプのハリウッド俳優、レオナルド・ディカプリオについても、『ザ・ビーチ』(00年)、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(02年)(『シネマルーム3』93頁参照)のレオナルド・ディカプリオよりも、『ギャング・オブ・ニューヨーク』、『ブラッド・ダイヤモンド』(06年)(『シネマルーム14』116頁参照)、『レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで』(08年)(『シネマルーム22』58頁参照)、『J・エドガー』(11年)(『シネマルーム28』未掲載)、『ジャンゴ 繋がれざる者』(12年)(『シネマルーム30』41頁参照)、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13年)(『シネマルーム32』38頁参照)のレオナルド・ディカプリオの方が圧倒的に好きなのと同じだ。その理由は冷酷さ、非情さ、そして威圧感でここまで圧倒できるハリウッド俳優としては、ジョニー・デップやレオナルド・ディカプリオは際立っていると思うためだ。
 本作でバルジャーを演じるジョニー・デップの髪型は、オールバック。そして、特徴的な髪の生え際はシリコン製パーツで再現したらしい。また、パンフレットのプロダクションノートによると、本物の恐い顔に似せるため、特殊メイクの力も借りたらしい。一般的にギャングのボスにおしゃべりはおらず、寡黙だが、そのため彼らの1つ1つの言葉には重みがある。本作に見るジョニー・デップも、しゃべる言葉は少ないが、1つ1つの言葉に重みがあるうえ、相手によって、局面によってその言葉の本気度や、ひっかけ度、凄みや威圧感がそれぞれ違っているのでそれに注目!

<バルジャーの言葉を分析してみれば・・・>
 本作にみるバルジャーのセリフを私なりに分析してみれば、次のとおりだ。まず第1はコノリーやビリーそして信頼する腹心の部下フレミとの会話では、言葉は少ないが、多分本気(本音)を語っているようだ。第2は、ギャングとしての仕事上で語る言葉で、これはかなり裏のあるものが多い。現に、①競争関係にあったギャングのメンバーで、バーでバルジャーの機嫌を損ねたトミー・キング(スコット・アンダーソン)、②ワールド・ハイアライのCEOで、その賭博商売に参入したいバルジャーと関係を築いたものの、商売の邪魔になるウィーラーの殺害を人前でほのめかし、バルジャーの癪に障ってしまったジョン・キャラハン(ビル・キャンプ)、③麻薬中毒のウインターヒル・ギャング構成員で、ウィーラー殺害相談の場に居合わせ、口止め料を渡されたものの、怯えてFBIに密告してしまったブライアン・ハロラン(ピーター・サースガード)等の会話では、まともにバルジャーの言葉に合わせてしゃべっていれば、バルジャーの術中にハメられてしまうことまちがいなしだ。ちなみに、コノリーの自宅での食事会で、おいしい肉の焼き方、味付けのレシピを「家族の秘密」だと言いながら、結局軽々としゃべってしまったジョン・モリスには、バルジャーからきついしっぺ返しの言葉が見舞われたが、さてその本気度は?
 第3はバルジャーの女性に対する言葉が、一方では優しさに溢れているものの、他方では男以上に厳しいものになること。サウス・ボストンでバルジャーの評判がいいのは、地元で見せる女性に対するバルジャーの優しさのためだが、それは美女だけではなくおばあさんに対しても同じだから立派なもの。また、恋人であるリンジー・シル(ダコタ・ジョンソン)との間に生まれた一人息子ダグラスに対する愛情や教育的指導もかなり偏ったものだが、それなりに優しさに満ち溢れている。しかし、ライ症候群という急性の脳症によって突然死地に陥った息子の生命維持装置を、リンジーが「自分の手で切りたい」と叫んだことに対するバルジャーの反応はそりゃすごいものだ。さらに、コノリーとの絆が年々深まっていく中で、コノリーの自宅に招かれての食事会の席にコノリーの妻であるマリアン・コノリー(ジュリアンヌ・ニコルソン)が姿を見せなかった時、バルジャーがマリアンの部屋を訪れて「そんな態度はダメだぞ」と語りかける言葉には、思わずぞっとしてしまう。
 ちなみに、ママの作ったジュースを少しだけ残していた息子に対して、「残してはダメだ。全部飲みなさい」と命令するのは多分いい教育。しかし、学校でケンカの相手を殴ったことについて、「殴ったのは悪いことではない」「ただ、人に見られている中で殴ったのがだめなのだ」、つまり、「人に見られていないことを確認してから殴れ」という教育はいかがなもの・・・?

<「変人」が世の中を変えるのは日米共通・・・?>
 1998年7月の自民党総裁選挙に立候補した小渕恵三、小泉純一郎、梶山静六の3人について、田中真紀子が「凡人、変人、軍人」と称したのは有名なお話。さすが、最新の石原慎太郎の著書『天才』で高く評価した元総理・田中角栄の娘だけあって、皮肉たっぷりのこの表現はうまいものだった。その総裁選挙で勝利した小泉純一郎は、その後「変人」ぶりを遺憾なく発揮して郵政民営化を成し遂げ、5年半にわたる長期政権を築いたことは周知のとおりだ。
 しかして、本作後半に至って登場するのが、小泉総理と同じように贈り物は受け取らない、食事の誘いにも乗らないという「変人」ぶりを見せつける新任検事フレッド・ワイシャック(コリー・ストール)だ。万事如才のない(?)コノリーは、FBIの上司であるマグワイアは何とか説得できた(丸め込めた?)ものの、その扱いにかなり苦労していたから、新しく連邦検事として赴任してきたフレッドにちゃんと顔つなぎをし、うまく丸め込んでおこうと考えたのは当然。しかし、レッドソックスの試合のチケットも受け取らず、飲み会にも出席しようとしないばかりか、「起訴できる案件を早くもってこい!」と怒鳴られては、コノリーも打つ手なし。そこで、「これはヤバイ」「今度の検事は手ごわいぞ」とバルジャーに報告し、ビリーに対しても「今度の新任検事を何とかしてくれ」と頼みこんだが、そんなコノリーに対するバルジャーとビリーの対応は?

<新任検事の登場により局面は大きく変化!>
 自民党総裁となった小泉総理は、「自民党をぶっこわす」と宣言し、郵政民営化法案に反対する「守旧派」議員に対して公然と「刺客」を立候補させて圧勝したが、これはそれまでの金券政治的な自民党的体質、自民党的しがらみに縁がなかったためだ。それと同じように新任のフレッド検事は、それまで北ボストンのアンジュロ・ファミリーとサウス・ボストンのウィンターヒル・ギャングの摘発に邁進しながら、そのしがらみの中にどっぷりと浸かっていたFBIのマグワイアとは大違いで、何のしがらみもなかったため、やるべきことをやり、集めるべき証拠を集め、その結果じりじりとバルジャーやコノリーを追い詰めていくことに。
 日本では1月28日に安倍内閣の主要閣僚であった甘利明経済財政・再生相が大臣を辞任するというニュースが日本列島をかけめぐった。これには「仕組まれた」面があることは否定できないが、それでも、たたけば出てくる埃があったことは事実だ。今回の甘利大臣については50万、100万円、その公設秘書についても300万、500万の世界。また、かつてのロッキード事件における田中角栄元総理の受託収賄罪も5億円の世界だ。しかし、バルジャーの場合は、賄賂の額だけでもケタ違いであるうえ、麻薬、売春、殺人、組織犯罪等の犯罪の質と量はすごい。今までそれを暴き起訴することができなかったのは、まさにFBIがバルジャーを情報提供者として保護するという信じられない癒着があったためだ。しかし、今や何のしがらみもない新任検事のフレッドの手にかかれば、コノリーの逮捕は簡単なもの。すると、バルジャーの逮捕も今や時間の問題に・・・?

<バルジャーの潜伏期間は?逮捕は?刑期は?>
 『三国志』の導入部では、若き日の劉備玄徳、関羽、張飛の3人が「桃園の誓い」を結ぶシーンがハイライト。その後の苦しい戦いの連続の中で、大酒飲みの張飛は、酒が原因で意外に早く殺されてしまうが、関羽と劉備は長生きしている。もっとも、関羽は敵に後ろを見せることなく、常に戦いの中で生き延びてきたが、劉備は意外に逃げ足が早いのが特徴だ。それは、意外にも曹操も同じで、その逃げ足の速さは劉備と共通している。しかして、本作ラストでは、それと同じように、バルジャーの意外な逃げ足の早さが暗示されるのでそれに注目!
 本作ラストには、FBIの捜査の手がコノリーに回り、逮捕されるシーンが登場する。そして、それを知ったバルジャーは、いち早くトンズラを決め込み、ビリーに対して最後の別れの言葉をかけるシーンで終わる。しかして、バルジャーはその後どれ位逃げおおせたの?
 「アメリカン・ニューシネマ」の代表作である『俺たちに明日はない』(67年)は、主人公のクライド・バロウとボニー・パーカーの2人が警察に包囲され、身体中に蜂の巣のように銃弾を浴びるシーンで終わるが、バルジャーは何と16年間も逃げ延びたというからすごい。バルジャーがサンタモニカで逮捕されたのは2011年6月22日で、バルジャーはこの時81歳になっていたそうだ。本作ラストではそんなバルジャーの刑期が表示されると共に、コノリーや実弟ビリーらの罪と刑期も次々と表示されるので、それらもしっかり確認しおておきたい。
                                  2016(平成28)年2月4日記