洋15-92 (ショートコメント)

「ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女」
    

                      2015(平成27)年7月27日鑑賞<GAGA試写室>

監督・脚本:アナ・リリ・アミリプール
少女(ゴーストタウン、バッドシティに夜ごと現れるヴァンパイアの少女)/シェイラ・ヴァンド
アラシュ(ヴァンパイアの少女と出会う孤独な青年)/アラシュ・マランディ
ホセイン(ヤク中。アラシュの父)/マーシャル・マネシュ
アッティ(娼婦)/モジャン・マーノ
サイード(ポン引き、ヤクの売人)/ドミニク・レインズ
浮浪児/ミラド・エグバリ
シャエダフ(王女)/ロメ・シャダンルー
ロカビリー(バッド・シティを徘徊するゲイの少年)/レザ・セィクソ・サファリ
ネコ/マスーカ
2014年・アメリカ映画・101分
配給/ギャガ・プラス

ヴァンパイア映画にはいい加減飽きていたが、イライジャ・ウッドの製作総指揮で、「新時代ヴァンパイア・ホラーを切り開く気鋭監督登場!」という「売り込み」を聞くと、こりゃ必見!『トワイライト~初恋~』(08年)(『シネマルーム22』未掲載)を代表とするハリウッドのヴァンパイアを見慣れた目には、イランのどこかにある架空のゴーストタウン、バッド・シティに現れる黒いチャードルを着た美しい少女(シェイラ・ヴァンド)がヴァンパイアであると知った時には大きな衝撃を受ける。
 『モールス』(10年)も、かなり変わったヴァンパイア映画だった(『シネマルーム27』174頁参照)が、本作もかなり変わったヴァンパイア映画。しかして、本作のストーリーは?

◆劇画調タッチで全編が貫かれていた『シンシティ』(05年)(『シネマルーム9』340頁参照)、『シンシティ 復讐の女神』(14年)(『シネマルーム35』115頁参照)における、貧民街や娼婦街の住人たちもケッタイなキャラの男女ばかりだった。それと同じように、本作の舞台となるバッド・シティの住人も、冒頭に登場する青年アラシュ(アラシュ・マランディ)だけはまともそうだが、①その父親でヤク中のホセイン(マーシャル・マネシュ)をはじめ、②ポン引きの若者でヤクの売人・サイード(ドミニク・レインズ)や③娼婦アッティ(モジャン・マーノ)、④バッド・シティを徘徊するゲイの少年ロカビリー(レザ・セィクソ・サファリ)、⑤浮浪児(ミラド・エグバリ)など、ケッタイな男女ばかり。最初にヴァンパイアの餌食となるのはサイードだが、さてそこに至るストーリー展開は?

◆本作の売りの第1は、映像美。プレスシートには「“ネオ・ノワール”とも称される新しいヴァンパイア・ホラーの世界を広げた本作。マカロニ・ウェスタンやグラフィックノベル、ホラー映画、イラン・ニュー・ウェイヴなどの様々なジャンルに影響を受け、人間の意識下に存在する伝説や図像など、様々なジャンルを織り交ぜた映像となった」と書かれている。たしかに、白黒を基調とした映像はすごいが、しかしそれだけでは・・・?
 
◆本作の売りの第2は、音楽。プレスシートには映画評論家で音楽ライターの小林真里氏が「映像と音楽が奇跡的融合をはたしたヴァンパイア映画の新たな金字塔」と題して音楽に焦点を当てた評論を書いているが、残念ながら本作に登場する音楽は当然ながらはじめて聞くものばかり。そのうえ、ハッキリ言ってそんなに魅力的な音楽とも思えない。私は最近購入したiPodminiに自分の好きな曲を次々と入力しているが、やっぱり自分の慣れ親しんだ曲の方が・・・。
                                  2015(平成27)年7月29日記