洋15-80 (ショートコメント)

「ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス」
    

                2015(平成27)年6月14日鑑賞<TOHOシネマズ西宮OS>

監督:フランシス・ローレンス
カットニス・エバディーン(2回のハンガー・ゲームに出場した弓矢が得意な少女)/ジェニファー・ローレンス
ピータ・メラーク(カットニスと共に2回のハンガー・ゲームに出場)/ジョシュ・ハッチャーソン
ゲイル・ホーソーン(カットニスの幼なじみの男性)/リアム・ヘムズワース
ヘイミッチ・アバナシー(カットニスとピータの教育係)/ウディ・ハレルソン
エフィー・トリンケット(カットニスの元付添人)/エリザベス・バンクス
アルマ・コイン首相(第13地区首相)/ジュリアン・ムーア
プルターク(ハンガー・ゲームの元ゲームメイカー、コイン首相の腹心)/フィリップ・シーモア・ホフマン
ビーティー(電子・科学技術に精通し、反乱軍の戦力となる男)/ジェフリー・ライト
シーザー・フリッカーマン(パネムの人気司会者)/スタンリー・トゥッチ
スノー大統領(独裁国家パネムの最高権力者)/ドナルド・サザーランド
プロムローズ・エバディーン(カットニスの妹)/ウィロー・シールズ
フィニック・オデイル(前回ゲームの出場者。カットニスと救出されたが、政府に恋人を人質にとられた男性)/サム・クラフリン
ジョアンナ・メイソン(前回のゲームに出場し、カットニス、ピータと同盟を組んでいた男性)/ジェナ・マローン
2014年・アメリカ映画・122分
配給/KADOKAWA

「アメリカ版バトルロワイアル」と言うべき『ハンガー・ゲーム』はジェニファー・ローレンス演じる、弓を操る美少女戦士カットニス・エバディーンの魅力が最大のポイント。アメリカの近未来の国パネムで毎年開催される「ハンガー・ゲーム」という設定の面白さや、独裁国家パネムに対する「反乱」や「革命」というストーリーの壮大さにおいて、私はバンパイアの恋愛(のみ?)に焦点をあてた『トワイライト』シリーズ(08~12年)よりはずっと面白いシリーズになると考えていた(『シネマルーム29』234頁参照)。
 しかし、第1作でも「ハンガー・ゲームの基本ルールに、異議あり!」と書いた。また、第2作の『ハンガーゲーム2』(13年)でも、「ジェニファー・ローレンス扮するヒロインが革命のシンボルになっていくストーリーは本来面白いはずだが、ストーリーの深みがイマイチ。また、恋のさやあて(?)がイマイチなら、肝心のサバイバル・ゲームの迫力もイマイチ」と書いた(『シネマルーム32』未掲載)が、さて本作は?

本作は『ハンガー・ゲーム』シリーズ「最終章」(FAINAL)だが、それを「レジスタンス」と題する本作(第3作)と「レボリューション」と題する第4作に分けているところがミソ。そうなったのは、スノー大統領(ドナルド・サザーランド)が支配する独裁国家パネムに対して反旗を翻す、アルマ・コイン首相(ジュリアン・ムーア)率いる第13地区を中核とした反乱と革命を描く「FAINAL」のボリュームが大きすぎるため。
 これは、宮部みゆき原作の『ソロモンの偽証』を映画化するのに、『ソロモンの偽証 前篇・事件』(15年)と『ソロモンの偽証 後篇・裁判』(15年)に分けざるをえなかったのと同じだ。しかし、そうすると『ソロモンの偽証』でも、前篇は後篇の前提事実の紹介やハイライトとなる法廷シーンの導入部分だけとなってしまう物足りなさ感が強かったのと同じように、本作も物足りなさ感でいっぱい。それはそれで仕方ないとしても、やはり何らかの工夫が必要なのでは・・・。

第2作では、歴代優勝者が集う記念大会にカットニスと共に出場したピータ(ジョシュ・ハッチャーソン)が大活躍したが、本作での彼の立場は微妙。それは、捕らわれの身となった彼が政府のプロパガンダ番組に出演し、「戦争は無意味だ。何も変わらない」と反乱軍への自制を呼びかけたため。これはピータの真意?それとも・・・?
 本作では、カットニスの幼なじみでいつもカットニスの心の支えになっていたゲイル(リアム・ヘムズワース)が、第13地区の革命のシンボル“マネシカケス”となったカットニスと共に大活躍するので、それに注目!ヒトラー率いるナチス・ドイツはヨーゼフ・ゲッベルスを「宣伝相」に任命して大衆の鼓舞に努めたが、スノー大統領もコイン首相もそれは同じだということがよくわかる。したがって、当初カットニスが“マネシカケス”の役割を演じるのを嫌がったのは当然だが、その後彼女はなぜ積極的にその役割を果たすことになったの?カットニスを「現代のジャンヌ・ダルク」と呼んでいいのかどうかを含め、そこらあたりはしっかり検討したい。

ハリウッドを代表する名優で、『ハンガーゲーム』『ハンガーゲーム2』でも「ハンガーゲーム」の元ゲームメイカーであるプルタークを演じたフィリップ・シーモア・ホフマンが、2014年2月に急逝したとのニュースにはビックリ。しかし、映画とはありがたいもので、彼は本作にも第4作となる「レボリューション」にも出演し、コイン首相の重要な腹心役を務めるから、それに注目!
 本来、彼にはアカデミー賞主演男優賞を受賞した『カポーティ』(05年)(『シネマルーム11』350頁参照)や、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた『ザ・マスター』(12年)(『シネマルーム30』213頁参照)のような「深みのある役」がピッタリだが、そんなフィリップ・シーモア・ホフマンは第4作ではどんな役割を?

第二次世界大戦中、チャーチル首相率いるイギリスがナチス・ドイツによる激しい空からの爆撃に耐え抜いたのと同じように、本作後半では地下深くに建造された第13地区のシェルターの国民たちがコイン首相のリーダーシップの下、スノー大統領の命令によるパネムからの激しい空爆に耐え抜く姿が描かれる。一次は反撃を試みたコイン首相だったが、反撃すると逆に攻撃目標が察知されるとわかったコイン首相は、チャーチル首相と同じようにとにかく我慢、また我慢・・・。
 もっとも、コイン首相が空爆への備えにいち早く取りかかれたのは、パネムのプロパガンダ番組出演していたピータがとっさの機転で空爆の危機を警告してくれたため。これによってピータにはひどい拷問が待っていることが明らかだったため、ゲイルら6人の志願兵はその救出に向かったが、さてその攻防は?スクリーン上に観るこの攻防戦はいかにもゲーム感覚だが、スリル満点だから、手に汗を握る面白さは十分だ。
 ピータ救出作戦の成功によって本作はジ・エンドとなるが、カットニスが見た治療室に入れられたピータの姿は・・・?これにてすべてのお膳立ては整った。さあ、あとはいよいよ第4作の『ハンガー・ゲーム FAINAL:レボリューション』へなだれ込むことに!

                                  2015(平成27)年6月19日記