洋15-49(ショートコメント)

「ラスト5イヤーズ」
    

                  2015(平成27)年4月29日鑑賞<シネ・リーブル梅田>

監督・脚本・製作:リチャード・ラグラヴェネーズ
原作・音楽:ジェイソン・ロバート・ブラウン
キャシー(女優の卵)/アナ・ケンドリック
ジェイミー(小説家)/ジェレミー・ジョーダン
アライズ/ナタリー・ネップ
2014年・アメリカ映画・94分
配給/ブロードメディア・スタジオ

◆出会ったから瞬間から恋に落ち、互いの夢を追いかけながら結婚。しかし、作家を目指す夫ジェイミー(ジェレミー・ジョーダン)は夢を実現し、急速に階段を駆け上がっていくのに対し、ブロードウェイ女優を目指す妻のキャシー(アナ・ケンドリック)は下積みから抜け出せないまま。そんな2人の波長が最高に合ったのは、プロポーズと結婚式の時だけだ。
 それは、出会いから別れまでの5年間を時系列的に振り返るジェイミーと、逆に別れから出会いまでの5年間を振り返るキャシーの、「逆行する時間軸」で見つめなおせば、明らかになるのでは・・・?本作はそんな発想の、画期的(?)なブロードウェイ・ミュージカルの映画化だが、少し単純すぎる感も・・・?

◆冒頭、キャシーは出て行ったジェイミーへの未練いっぱいに、自分の心がいかに傷ついているか歌い上げる。その直後に、「異教徒の女神と出会えて最高!」と歌い上げ、ウキウキとベッドインを楽しむジェイミーの楽しげな歌声が・・・。なるほど、時間軸を逆にして、女の視点と男の視点で5年間を振り返っていけば、こんな冒頭シーンになるのかも・・・。
 そもそも、ストーリーの途中で急に歌い始めるミュージカルに不自然さや違和感がつきまとうのは当然だが、それでもミュージカルに人気があるのは、セリフ以上に歌に説得力のあるケースが多いため。しかし、本作のように、互いに服を脱がせ合いながらベッドインする時も歌いながらというのは、いくら何でもちょっと・・・。

◆待てよ、待てよ。よく考えれば本作と同じ発想の映画があったはず。それが、妻のエリナーが川の中に身を投げるシーンから始まる『ラブストーリーズ エリナーの愛情』(13年)(『シネマルーム35』未掲載)と、ニューヨークのレストランで「食い逃げ」にチャレンジするシーンから始まる『ラブストーリーズ コナーの涙』(13年)(『シネマルーム35』未掲載)だ。2本別々に上映された同作では、中盤のハイライトとなる雨の中のカーセックス(?)に至るか至らないかというシーンだけが共通だったが、それ以外は同じ事実でも、夫コナーの言い分と妻エリナーの言い分が全く違うのが大きなポイントだった。
 しかして、本作のジェイミーは原作のブロードウェイ・ミュージカルの作詞・作曲を担当した人物で、本作は彼の体験談らしい。その結果、どうしても男のジェイミーの方が贔屓目に・・・。そのためか、本作を見ていると、私にはどうしても夫ジェイミーの方が正当で、妻キャシーの方がワガママと映ってしまったが、さてあなたは・・・?
                                  2015(平成27)年5月1日記