洋15-21(ショートコメント)

「カイト/KITE」
    

                      2015(平成27)年2月20日鑑賞<GAGA試写室>

監督:ラルフ・ジマン
原作:梅津泰臣『A KITE』
サワ(幼くして組織に両親を殺された女性)/インディア・アイズリー
オブリ(サワの言動を影から監視する謎の青年)/カラン・マッコーリフ
アカイ(サワの父親の親友で相棒だった刑事)/サミュエル・L・ジャクソン
2013年・南アフリカ、メキシコ映画・90分
配給/アスミック・エース

◆本作は日本で生まれたR-18指定のアニメ作品らしいが、もちろん私は全く知らなかった。しかし、プレスシートのイントロダクションには、「1998年に梅津泰臣が手掛けた『A KITE』と題するこのアニメは、性と暴力の過激な描写に加え、独創的なアクションをスタイリッシュな映像で描き、日本国内に留まらずハリウッドをも席巻!あのクエンティン・タランティーノ、ロブ・コーエン、デヴィッド・R・エリスを熱狂させ、世界中の映画監督・クリエイターたちの心を鷲掴みにした」と書かれている。しかも、その主人公サワに扮するのは何と、今なお『ロミオとジュリエット』(68年)でのみずみずしい演技が鮮明に印象に残っている、オリビア・ハッセーの娘インディア・アイズリーとのこと。こりゃ必見!そう思って試写室に赴いたが・・・。

◆金融危機によって経済が崩壊し、社会が腐敗した近未来。そんな「世界観」は面白い。しかし、『イキガミ』(08年)(『シネマルーム21』149頁参照』)や『バトル・ロワイアル』(00年)、『バトル・ロワイアルⅡ/鎮魂歌(レクイエム)』(03年)(『シネマルーム3』313頁参照)、『TOKYO TRIBE』(14年)や『ハンガー・ゲーム』(12年)(『シネマルーム29』234頁参照)で観た明快な世界観に比べると、その世界観には、今ひとつ具体性がない。したがって、「無法状態と化した街ではストリートギャング集団“ナンバーズ”による少女の誘拐が横行し、エミール率いる人身売買組織へと売られた彼女たちは、性の奴隷として扱われていた」という設定にも、イマイチ迫力がないから、ちょっと退屈・・・。

◆もっとも、本作のような映画ではあまりそんなことに目くじらをたてず、ヒロイン・サワの美しさとハードなアクションを楽しめばいい。そう思っていたが、サワのキャラクターはそれなりの設定になっているものの、そのアクションの魅力はイマイチ。しかも、殺されたサワの父親のパートナーだったという警官アカイ(サミュエル・L・ジャクソン)が例によって重厚な演技を見せるものの、どうもこいつが怪しそうだという気配が最初から見え隠れしてしまう。また、途中から突如登場する謎の青年オブリ(カラン・マッコーリフ)も、こいつはいい奴だとわかる反面、イマイチその存在感が薄い。まあ、ケチばかりつけても仕方ないのだが・・・。

◆私はアニメの実写版自体が悪いとは思わないし、「美少女戦士」というイメージはおじさん的には大好き。しかし、ケバい化粧をし、ミニスカートを穿いた女の子が次々と大の男をやっつけていくには、それなりの説得力とアクション能力がなければ・・・。つまり、本作にみるサワがなぜあんなに強いのかがサッパリわからないから、途中から少しバカバカしさも・・・。
 とりわけ、遂に悪の総元締の部屋に到達できた時、サワは囚われの身になってしまい絶体絶命のピンチに陥っていたのに、そこからどうやって起死回生の挽回を・・・?多分これなら、現在公開中の『マッハ!無限大』(13年)を観た方が充実感があって良かったのでは・・・?
                                  2015(平成27)年2月24日記