弁護士 坂和章平による
   「独断」と「偏見」にもとづく

                映 画 評 論
                  
                         更新日 2017(平成29)年1月24日

 〔目 次〕
               注) タイトルの後ろの(年)の表示は映画の製作です。
                  本文はネタバレを含みます。

洋17-1 ヒトラーの忘れもの(2015年) 

        <テアトル梅田>                  2017年1月3日鑑賞
        (デンマーク、ドイツ映画)             2017年1月11日記
  ・・・アメリカ軍の日本本土への上陸を阻止するための作戦の1つが地雷の敷設だっ
   たが、ナチス・ドイツはそれを現実に!元の邦題を『地雷と少年兵』とされた本作
   は、デンマーク本国でもあまり知られていないドイツの少年兵による強制的な地雷
   除去作業を描く中で、ギリギリの人間性を問うもの。性善説?性悪説?約束は約
   束?しかし、命令はそれより上位に?
    作業を終えればドイツに戻れる。そんな約束を信じて危険な作業に従事した少年
   兵たちの運命は・・・?そして『人間の條件』(59~61年)の梶と同じように苦悩し
   た、ラスムスン軍曹の最後の決断とは・・・?


日17-2 竜馬暗殺(1974年) 

        <シネ・ヌーヴォ>                 2017年1月3日鑑賞
        (日本映画)                       2017年1月10日記
  ・・・オーソドックスでカッコ良い坂本竜馬もいいが、本作のような女たらしでだらしなく
   ハチャメチャながら、理想を語らせれば時々まともそうな竜馬も面白い。しかし、盟
   友中の盟友・中岡慎太郎も「内ゲバ仲間」だったとは、何とも意外!
    暗殺直前の3日間にフォーカスしたスクリーン上は濃密で、竜馬が逃げ込んだ狭
   い土蔵の中は息がつまりそう。これでは向かいの娼婦・幡に入れあげるのも無理は
   ないが、日本の夜明けはホントにこんなところから生まれたの?
    学生運動が下火になる中、黒木和雄監督は竜馬の革命性と革新性をどこに見い
   出そうとしたのだろうか?平成の時代も末期となり、少子高齢化が急速に進む今、
   そんなことを考えながら今日的坂本竜馬の出現を期待したい。


日17-3 泪橋(1983年) 

        <シネ・ヌーヴォ>                 2017年1月9日鑑賞
        (日本映画)                       2017年1月13日記
  ・・・過激派学生の10年後は、しがない英語の百科辞典のセールスマン!いかにも薄
   っぺらなそんな設定だが、まずは「泪橋」に注目!
    鈴ヶ森の刑場、白井権八と小紫伝説の「故事」をしっかり学びながら、スクリーン
   上に登場する女優・佳村萠(愛川欽也の娘)の幻想的かつエキセントリックな雰囲気
   を堪能したい。
    佐藤忠男著『黒木和雄とその時代』(06年)では、「失敗作」としての本作に黒木
   和雄の特質を見て取っているそうだが、さてあなたの評価は?
    原田芳雄との兄妹の近親相姦まで登場すると、あまりにごった煮だが、ラストは意
   外とシンプルに・・・。


日17-4 浪人街(1990年) 

        <シネ・ヌーヴォ>                 2017年1月9日鑑賞
        (日本映画)                       2017年1月13日記
  ・・・「日本映画の父」と呼ばれるマキノ省三監督の1928年のサイレント映画『浪人
   街』は、「反権力の映画作家」黒木和雄には絶好の(リメイク)素材!
    見どころは、原田芳雄をはじめとする四浪人のキャラの濃さだが、他方では「武士
   (侍)は任官してナンボ」というサラリーマン社会の厳しさも・・・。17分間にも及ぶク
   ライマックスの「集団殺陣」は圧巻だが、そこでの勝新太郎の「死にザマ」には賛否
   両論が・・・。
    何はともあれ、平成末期の安心安全な時代では絶対に見られない、平成初期の
   いかにも反権力でアナーキーな映画づくりに拍手!


洋17-5 海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~(2016年) 

        <ビジュアルアーツ大阪試写室>        2017年1月10日鑑賞
        (イタリア、フランス映画)               2017年1月12日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-6 アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男(2015年) 
                                            

        <シネ・リーブル梅田>              2017年1月14日鑑賞
        (ドイツ映画)                      2017年1月18日記
  ・・・アウシュヴィッツ裁判でナチス・ドイツの元親衛隊中佐アドルフ・アイヒマンが見せ
   た「悪の凡庸さ」は『ハンナ・アーレント』(12年)によって一躍有名になったが、その
   裁判の実現に執念を燃やしたのは誰?それがフリッツ・バウアー検事長だが、戦後
   ドイツの良心を代表する存在となった彼も、『顔のないヒトラーたち』(14年)と本作
   によって一躍有名に!
    戦後の経済復興に熱心だったのは日本も西ドイツと同じだが、日本の戦犯とナチ
   スの残党やアイヒマンに対する取り扱いの差は一体どこに?
    それを勉強しながら、本作に見るバウアーと架空の若手検事2人のアイヒマンを
   追う執念をしっかり感じ取りたい。


洋17-7 若者のすべて デジタル完全修復版(1960年) 

        <シネ・リーブル梅田>              2017年1月14日鑑賞
        (イタリア、フランス映画)               2017年1月18日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-8 彷徨える河(2015年) 

        <シネ・リーブル梅田>              2017年1月14日鑑賞
        (コロンビア、ベネズエラ、アルゼンチン映画) 2017年1月16日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-9 皆さま、ごきげんよう(2015年) 

        <テアトル梅田>                 2017年1月21日鑑賞
        (フランス、ジョージア映画)             2017年1月25日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-10 バイオハザード:ザ・ファイナル(2016年) 

        <TOHOシネマズ西宮OS>          2017年1月22日鑑賞
        (アメリカ映画)                    2017年1月24日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-11 ザ・コンサルタント(2016年) 

        <TOHOシネマズ西宮OS>          2017年1月22日鑑賞
        (アメリカ映画)                    2017年1月25日記
  ・・・盟友のマット・デイモンが『ボーン』シリーズなら、俺だって新シリーズを!そんな狙
   いでベン・アフレックが、「表はしがない会計士、裏は殺し屋・・・」。そんな突出した
   キャラの主人公に挑戦!
    数字とにらめっこするのが商売の会計士に、こんな裏の顔があるなんて!「そんな
   バカな!」と思ってしまうとダメ。そこは空想の世界、映画の世界に入り込まなけれ
   ば・・・。
    賛否が真っ二つに分かれるのは当然で、それは想定の範囲内だが、いただけな
   いのは邦題。こりゃ誰がどう見ても誤訳だ。ちなみに、ネット上には「金融コンサルタ
   ント」と書くバカ者まで・・・。


洋17-12 アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場(2015年) 

        <TOHOシネマズ西宮OS>           2017年1月22日鑑賞
        (イギリス映画)                    2017年1月26日記
  ・・・今や写真撮影から宅配まで市民生活に入り込んだ(小型)ドローンは今後も飛躍
   的な活用が見込まれているが、大型の無人攻撃機(ドローン)からのミサイル攻撃
   による敵要人やテロリストの暗殺の可否は?
    対テロ戦争で地上軍を大幅に削減したオバマ前大統領がドローン攻撃を多用し
   たのは周知の事実だが、ライフルによる狙撃と違い、そこに発生するコラテル・ダメ
   ージ(周辺被害)の確率は?しかして、「罪なき少女を犠牲にしてまでも、テロリスト
   を攻撃すべきか」。そんな本作の問いに対する、あなたの答えは?
    軍人と政治家、命令する人間と命令を実行する人間、さまざまな立場と役割が交
   錯する中、ドローンからのミサイル発射の命令は下されるの?その結末は?そんな
   現実を、本作からしっかり勉強したい。


洋17-13 スノーデン(2016年) 

        <TOHOシネマズ西宮OS>          2017年1月28日鑑賞
        (アメリカ、ドイツ、フランス映画)         2017年1月31日記
  ・・・将棋界も囲碁界もAI(人工知能)の脅威にさらされている昨今、世界は目に見え
   ないサイバー戦争の真っ只中にあるらしい。するとそこでは、東西冷戦時代と同じよ
   うな諜報機関による情報収集戦争は必至!
    それは仕方ないが、そんな国益のためと称して電話の盗聴はもちろん、国民一人
   一人のパソコンやスマホまで国家に管理されているとしたら・・・?2013年6月に米
   国国家安全保障局(NSA)による大量の個人情報収集を内部告発したスノーデン
   は英雄?それともスパイ?
    スノーデンは現在ロシアに亡命しているが、ロシアとえらく親密な(?)トランプ新大
   統領は彼をどう評価?そんな視点も忘れずに、本作をしっかり鑑賞し、しっかり考え
   たい。


洋17-14 沈黙 -サイレンス-(2016年) 

        <TOHOシネマズ西宮OS>           2017年1月28日鑑賞
        (アメリカ映画)                     2017年2月3日記
  ・・・1966年に発表された遠藤周作の『沈黙』はすごい小説。その映画化を希望した
   マーティン・スコセッシ監督が28年間も温めてやっと完成させた本作のすばらしさを
   見ても、大江健三郎より先にノーベル賞を受賞すべき作家だった。
    もっとも、2時間40分にわたって拷問シーンを見続けるのは正直しんどい。また、
   英語で交わされる棄教をめぐる論争もメチャ難しい。そのため集客力では『君の名
   は。』(16年)やハリウッドの「ドンパチ大作」が勝るのは仕方ないが、真剣に映画か
   ら学ぼうと考える人には本作は必見!
    本作がアカデミー賞監督賞・作品賞にノミネートされずして、一体どの作品が候補
   に?ひょっとして窪塚洋介、塚本晋也、浅野忠信の3人や井上筑後守を演じたイッ
   セー尾形もアカデミー賞助演男優賞候補に?
    ちなみに、いつまでも沈黙を保っている神は、トランプ新大統領の「入国制限令」
   に見る異常さにもなお「沈黙」を保ち続けるのだろうか?


洋17-15 TOMORROW パーマネントライフを探して(2015年)
                                            

        <シネ・リーブル梅田>              2017年1月29日鑑賞
        (フランス映画)                    2017年1月31日記
  ・・・少子化が進行する日本では「消滅可能性都市」の警鐘を鳴らした2014年5月の
   「増田レポート」が反響を呼んだが、2012年6月の『ネイチャー』誌における警鐘は
   それ以上!
    地球の生態系の変化によって水も食糧も石油も不足し、人類は滅亡する。そんな
   シナリオに危機感を持ち、1人1人が今できることを実際にやらなければ!
    とは言っても、具体的に何をやればいいの?それを農業、エネルギー、経済、民
   主主義、教育という5つのテーマに分けて徹底的に勉強しよう!池上彰氏の教え方
   もわかりやすいが、本作から学べるものは多い。本作は勉強のネタとして必見!


洋17-16 天使にショパンの歌声を(2015年) 

        <シネ・リーブル梅田>             2017年1月29日鑑賞
        (カナダ映画)                     2017年1月31日記
      ショートコメントのとおり。


日17-17 ジムノペディに乱れる(2016年) 

        <シネ・リーブル梅田>             2017年2月1日鑑賞
        (日本映画)                    2017年2月3日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-18 郵便配達は二度ベルを鳴らす デジタル修復版(1942年)
                                             

        <シネ・リーブル梅田>             2017年2月1日鑑賞
        (イタリア映画)                    2017年2月3日記
      ショートコメントのとおり。


日17-19 島々清しゃ(2016年) 

        <テアトル梅田>                 2017年2月5日鑑賞
        (日本映画)                      2017年2月7日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-20 エゴン・シーレ 死と乙女(2016年) 

        <テアトル梅田>                 2017年2月5日鑑賞
        (オーストリア、ルクセンブルク映画)      2017年2月7日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-21 未来よ こんにちは(2016年) 

        <ビジュアルアーツ大阪試写室>       2017年2月7日鑑賞
        (フランス、ドイツ映画)               2017年2月9日記
  ・・・自分の映画の脚本は必ず自分で!若くして今やフランスを代表する女性監督に
   成長したミア・ハンセン=ラブは、日本の西川美和監督と同じようにそれにこだわっ
   ているらしい。
    両親共に哲学者という設定はそんな監督の体験に基づくものだが、50代の哲学
   教師のヒロインに未来はあるの?彼女にとっての、老いと死と新たな生命とは?
    少子高齢化が進む日本では年寄りの未来はあまり明るくないが、本作のヒロイン
   はまさに「未来よ こんにちは」!そんな前向きの物語だからこそ、第66回ベルリン
   国際映画祭で銀熊(監督)賞をゲット!


洋17-22 ショコラ 〜君がいて、僕がいる〜(2015年) 

        <テアトル梅田>                 2017年2月8日鑑賞
        (フランス映画)                    2017年2月10日記
  ・・・リュミエール兄弟が発明したシネマトグラフが大阪で一般公開されてから120
   年目の今年2017年は、ショコラ生誕100周年の年。そんな年に、日本人は誰も知
   らない黒人道化師ショコラの物語が公開!
    一方の芸へのこだわりと相方の酒、女、バクチへの溺れ方は、日本の漫才界を席
   巻した「やすきよ」こと西川きよしと横山やすしコンビとよく似ている(?)が、黒人差
   別の悲哀は「あの時代」特有のものだから、それは本作でじっくりと!
    『マルコムX』(92年)も『アミスタッド』(97年)もすごかったが、本作のアピール度
   もすごい。本作の原題は『CHOCOLAT』だが、本作に限っては「君がいて、僕がい
   る」という邦題のサブタイトルもグッド!2人の友情と、愛と涙に満ちた感動の実話を
   じっくりと!