弁護士 坂和章平による
   「独断」と「偏見」にもとづく

                映 画 評 論
                  
                         更新日 2017(平成29)年1月24日

 〔目 次〕
               注) タイトルの後ろの(年)の表示は映画の製作です。
                  本文はネタバレを含みます。

洋17-1 ヒトラーの忘れもの(2015年) 

        <テアトル梅田>                  2017年1月3日鑑賞
        (デンマーク、ドイツ映画)             2017年1月11日記
  ・・・アメリカ軍の日本本土への上陸を阻止するための作戦の1つが地雷の敷設だっ
   たが、ナチス・ドイツはそれを現実に!元の邦題を『地雷と少年兵』とされた本作
   は、デンマーク本国でもあまり知られていないドイツの少年兵による強制的な地雷
   除去作業を描く中で、ギリギリの人間性を問うもの。性善説?性悪説?約束は約
   束?しかし、命令はそれより上位に?
    作業を終えればドイツに戻れる。そんな約束を信じて危険な作業に従事した少年
   兵たちの運命は・・・?そして『人間の條件』(59~61年)の梶と同じように苦悩し
   た、ラスムスン軍曹の最後の決断とは・・・?


日17-2 竜馬暗殺(1974年) 

        <シネ・ヌーヴォ>                 2017年1月3日鑑賞
        (日本映画)                       2017年1月10日記
  ・・・オーソドックスでカッコ良い坂本竜馬もいいが、本作のような女たらしでだらしなく
   ハチャメチャながら、理想を語らせれば時々まともそうな竜馬も面白い。しかし、盟
   友中の盟友・中岡慎太郎も「内ゲバ仲間」だったとは、何とも意外!
    暗殺直前の3日間にフォーカスしたスクリーン上は濃密で、竜馬が逃げ込んだ狭
   い土蔵の中は息がつまりそう。これでは向かいの娼婦・幡に入れあげるのも無理は
   ないが、日本の夜明けはホントにこんなところから生まれたの?
    学生運動が下火になる中、黒木和雄監督は竜馬の革命性と革新性をどこに見い
   出そうとしたのだろうか?平成の時代も末期となり、少子高齢化が急速に進む今、
   そんなことを考えながら今日的坂本竜馬の出現を期待したい。


日17-3 泪橋(1983年) 

        <シネ・ヌーヴォ>                 2017年1月9日鑑賞
        (日本映画)                       2017年1月13日記
  ・・・過激派学生の10年後は、しがない英語の百科辞典のセールスマン!いかにも薄
   っぺらなそんな設定だが、まずは「泪橋」に注目!
    鈴ヶ森の刑場、白井権八と小紫伝説の「故事」をしっかり学びながら、スクリーン
   上に登場する女優・佳村萠(愛川欽也の娘)の幻想的かつエキセントリックな雰囲気
   を堪能したい。
    佐藤忠男著『黒木和雄とその時代』(06年)では、「失敗作」としての本作に黒木
   和雄の特質を見て取っているそうだが、さてあなたの評価は?
    原田芳雄との兄妹の近親相姦まで登場すると、あまりにごった煮だが、ラストは意
   外とシンプルに・・・。


日17-4 浪人街(1990年) 

        <シネ・ヌーヴォ>                 2017年1月9日鑑賞
        (日本映画)                       2017年1月13日記
  ・・・「日本映画の父」と呼ばれるマキノ省三監督の1928年のサイレント映画『浪人
   街』は、「反権力の映画作家」黒木和雄には絶好の“リメイク”素材!
    見どころは、原田芳雄をはじめとする四浪人のキャラの濃さだが、他方では「武士
   (侍)は任官してナンボ」というサラリーマン社会の厳しさも・・・。17分間にも及ぶク
   ライマックスの「集団殺陣」は圧巻だが、そこでの勝新太郎の「死にザマ」には賛否
   両論が・・・。
    何はともあれ、平成末期の安心安全な時代では絶対に見られない、平成初期の
   いかにも反権力でアナーキーな映画づくりに拍手!


洋17-5 海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~(2016年) 

        <ビジュアルアーツ大阪試写室>        2017年1月10日鑑賞
        (イタリア、フランス映画)               2017年1月12日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-6 アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男(2015年) 
                                            

        <シネ・リーブル梅田>              2017年1月14日鑑賞
        (ドイツ映画)                      2017年1月18日記
  ・・・アウシュヴィッツ裁判でナチス・ドイツの元親衛隊中佐アドルフ・アイヒマンが見せ
   た「悪の凡庸さ」は『ハンナ・アーレント』(12年)によって一躍有名になったが、その
   裁判の実現に執念を燃やしたのは誰?それがフリッツ・バウアー検事長だが、戦後
   ドイツの良心を代表する存在となった彼も、『顔のないヒトラーたち』(14年)と本作
   によって一躍有名に!
    戦後の経済復興に熱心だったのは日本も西ドイツと同じだが、日本の戦犯とナチ
   スの残党やアイヒマンに対する取り扱いの差は一体どこに?
    それを勉強しながら、本作に見るバウアーと架空の若手検事2人のアイヒマンを
   追う執念をしっかり感じ取りたい。


洋17-7 若者のすべて デジタル完全修復版(1960年) 

        <シネ・リーブル梅田>              2017年1月14日鑑賞
        (イタリア、フランス映画)               2017年1月18日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-8 彷徨える河(2015年) 

        <シネ・リーブル梅田>              2017年1月14日鑑賞
        (コロンビア、ベネズエラ、アルゼンチン映画) 2017年1月16日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-9 皆さま、ごきげんよう(2015年) 

        <テアトル梅田>                 2017年1月21日鑑賞
        (フランス、ジョージア映画)             2017年1月25日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-10 バイオハザード:ザ・ファイナル(2016年) 

        <TOHOシネマズ西宮OS>          2017年1月22日鑑賞
        (アメリカ映画)                    2017年1月24日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-11 ザ・コンサルタント(2016年) 

        <TOHOシネマズ西宮OS>          2017年1月22日鑑賞
        (アメリカ映画)                    2017年1月25日記
  ・・・盟友のマット・デイモンが『ボーン』シリーズなら、俺だって新シリーズを!そんな狙
   いでベン・アフレックが、「表はしがない会計士、裏は殺し屋・・・」。そんな突出した
   キャラの主人公に挑戦!
    数字とにらめっこするのが商売の会計士に、こんな裏の顔があるなんて!「そんな
   バカな!」と思ってしまうとダメ。そこは空想の世界、映画の世界に入り込まなけれ
   ば・・・。
    賛否がまっ二つに分かれるのは当然で、それは想定の範囲内だが、いただけな
   いのは邦題。こりゃ誰がどう見ても誤訳だ。ちなみに、ネット上には「金融コンサルタ
   ント」と書くバカ者まで・・・。


洋17-12 アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場(2015年) 

        <TOHOシネマズ西宮OS>           2017年1月22日鑑賞
        (イギリス映画)                    2017年1月26日記
  ・・・今や写真撮影から宅配まで市民生活に入り込んだ小型のドローンは今後も飛躍
   的な活用が見込まれているが、大型のドローン・無人攻撃機からのミサイル攻撃に
   よる敵要人やテロリストの暗殺の可否は?
    対テロ戦争で地上軍を大幅に削減したオバマ前大統領がドローン攻撃を多用し
   たのは周知の事実だが、ライフルによる狙撃と違い、そこに発生するコラテル・ダメ
   ージ(周辺被害)の確率は?しかして、「罪なき少女を犠牲にしてまでも、テロリスト
   を攻撃すべきか」。そんな本作の問いに対する、あなたの答えは?
    軍人と政治家、命令する人間と命令を実行する人間、さまざまな立場と役割が交
   錯する中、ドローンからのミサイル発射の命令は下されるの?その結末は?そんな
   現実を、本作からしっかり勉強したい。


洋17-13 スノーデン(2016年) 

        <TOHOシネマズ西宮OS>          2017年1月28日鑑賞
        (アメリカ、ドイツ、フランス映画)         2017年1月31日記
  ・・・将棋界も囲碁界もAI(人工知能)の脅威にさらされている昨今、世界は目に見え
   ないサイバー戦争の真っ只中にあるらしい。するとそこでは、東西冷戦時代と同じよ
   うな諜報機関による情報収集戦争は必至!
    それは仕方ないが、そんな国益のためと称して電話の盗聴はもちろん、国民一人
   一人のパソコンやスマホまで国家に管理されているとしたら・・・?2013年6月に米
   国国家安全保障局(NSA)による大量の個人情報収集を内部告発したスノーデン
   は英雄?それともスパイ?
    スノーデンは現在ロシアに亡命しているが、ロシアとえらく親密な(?)トランプ新大
   統領は彼をどう評価?そんな視点も忘れずに、本作をしっかり鑑賞し、しっかり考え
   たい。


洋17-14 沈黙 -サイレンス-(2016年) 

        <TOHOシネマズ西宮OS>           2017年1月28日鑑賞
        (アメリカ映画)                     2017年2月3日記
  ・・・1966年に発表された遠藤周作の『沈黙』はすごい小説。その映画化を希望した
   マーティン・スコセッシ監督が28年間も温めてやっと完成させた本作のすばらしさを
   見ても、大江健三郎より先にノーベル賞を受賞すべき作家だった。
    もっとも、2時間40分にわたって拷問シーンを見続けるのは正直しんどい。また、
   英語で交わされる棄教をめぐる論争もメチャ難しい。そのため集客力では『君の名
   は。』(16年)やハリウッドの「ドンパチ大作」が勝るのは仕方ないが、真剣に映画か
   ら学ぼうと考える人には本作は必見!
    本作がアカデミー賞監督賞・作品賞にノミネートされずして、一体どの作品が候補
   に?ひょっとして窪塚洋介、塚本晋也、浅野忠信の3人や井上筑後守を演じたイッ
   セー尾形もアカデミー賞助演男優賞候補に?
    ちなみに、いつまでも沈黙を保っている神は、トランプ新大統領の「入国制限令」
   に見る異常さにもなお「沈黙」を保ち続けるのだろうか?


洋17-15 TOMORROW パーマネントライフを探して(2015年)
                                            

        <シネ・リーブル梅田>              2017年1月29日鑑賞
        (フランス映画)                    2017年1月31日記
  ・・・少子化が進行する日本では「消滅可能性都市」の警鐘を鳴らした2014年5月の
   「増田レポート」が反響を呼んだが、2012年6月の『ネイチャー』誌における警鐘は
   それ以上!
    地球の生態系の変化によって水も食糧も石油も不足し、人類は滅亡する。そんな
   シナリオに危機感を持ち、1人1人が今できることを実際にやらなければ!
    とは言っても、具体的に何をやればいいの?それを農業、エネルギー、経済、民
   主主義、教育という5つのテーマに分けて徹底的に勉強しよう!池上彰氏の教え方
   もわかりやすいが、本作から学べるものは多い。本作は勉強のネタとして必見!


洋17-16 天使にショパンの歌声を(2015年) 

        <シネ・リーブル梅田>             2017年1月29日鑑賞
        (カナダ映画)                     2017年1月31日記
      ショートコメントのとおり。


日17-17 ジムノペディに乱れる(2016年) 

        <シネ・リーブル梅田>             2017年2月1日鑑賞
        (日本映画)                    2017年2月3日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-18 郵便配達は二度ベルを鳴らす デジタル修復版(1942年)
                                             

        <シネ・リーブル梅田>             2017年2月1日鑑賞
        (イタリア映画)                    2017年2月3日記
      ショートコメントのとおり。


日17-19 島々清しゃ(2016年) 

        <テアトル梅田>                 2017年2月5日鑑賞
        (日本映画)                      2017年2月7日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-20 エゴン・シーレ 死と乙女(2016年) 

        <テアトル梅田>                 2017年2月5日鑑賞
        (オーストリア、ルクセンブルク映画)      2017年2月7日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-21 未来よ こんにちは(2016年) 

        <ビジュアルアーツ大阪試写室>       2017年2月7日鑑賞
        (フランス、ドイツ映画)               2017年2月9日記
  ・・・自分の映画の脚本は必ず自分で!若くして今やフランスを代表する女性監督に
   成長したミア・ハンセン=ラブは、日本の西川美和監督と同じようにそれにこだわっ
   ているらしい。
    両親共に哲学者という設定はそんな監督の体験に基づくものだが、50代の哲学
   教師のヒロインに未来はあるの?彼女にとっての、老いと死と新たな生命とは?
    少子高齢化が進む日本では年寄りの未来はあまり明るくないが、本作のヒロイン
   はまさに「未来よ こんにちは」!そんな前向きの物語だからこそ、第66回ベルリン
   国際映画祭で銀熊(監督)賞をゲット!


洋17-22 ショコラ 〜君がいて、僕がいる〜(2015年) 

        <テアトル梅田>                 2017年2月8日鑑賞
        (フランス映画)                    2017年2月10日記
  ・・・リュミエール兄弟が発明したシネマトグラフが大阪で一般公開されてから120
   年目の今年2017年は、ショコラ生誕100周年の年。そんな年に、日本人は誰も知
   らない黒人道化師ショコラの物語が公開!
    一方の芸へのこだわりと相方の酒、女、バクチへの溺れ方は、日本の漫才界を席
   巻した「やすきよ」こと横山やすしと西川きよしコンビとよく似ている(?)が、黒人差
   別の悲哀は「あの時代」特有のものだから、それは本作でじっくりと!
    『マルコムX』(92年)も『アミスタッド』(97年)もすごかったが、本作のアピール度
   もすごい。本作の原題は『CHOCOLAT』だが、本作に限っては「君がいて、僕がい
   る」という邦題のサブタイトルもグッド!2人の友情と、愛と涙に満ちた感動の実話を
   じっくりと!


洋17-23 マリアンヌ(2016年) 

        <TOHOシネマズ西宮OS>          2017年2月11日鑑賞
        (アメリカ、イギリス映画)             2017年2月17日記
  ・・・南北に二分された朝鮮半島では「二重スパイ」が常に暗躍しているが、第二次世
   界大戦中のナチス・ドイツの占領下にあったフランス領カサブランカでは?
    夫婦共にスパイだった『Mr.&Mrs.スミス』(05年)は少しマンガじみていたが、本
   作導入部でにわか仕立ての夫婦役を演じる2人のスパイの能力はすごい。しかし、
   結婚後、妻に二重スパイの疑惑がかけられると、夫の苦悩は・・・?
    二重スパイは殺せ!そんな任務を忠実に?それとも愛に忠実に?本作ラストに見
   るハラハラドキドキの展開に注目しつつ、美男美女の織り成す説得力ある展開を心
   ゆくまで楽しみたい。


洋17-24 マグニフィセント・セブン(2016年) 

        <TOHOシネマズ西宮OS>         2017年2月11日鑑賞
        (アメリカ映画)                   2017年2月17日記
  ・・・黒澤明監督の『七人の侍』(54年)は『荒野の七人』シリーズとして過去4度リメイ
   クされているが、オバマ大統領在任中にリメイクされた本作では、まずリーダー像と
   7人のガンマンの構成に注目!
    次に、西部開拓時代に「強盗貴族」と呼ばれた新興財閥の力とカネの源泉に注
   目!その点は『七人の侍』で見た単なる「野盗」とは大違いだ。続いてガトリング・ガ
   ンに注目!これさえ退治すれば勝利はマグニフィセント・セブンのものだが、さ
   て・・・?
    そして最後は、定番の誰が死に、誰が生き残るのか?真の勝者は誰なのか?そ
   れをじっくりと考えたい。


洋17-25 ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男(2016年) 

        <シネ・リーブル梅田>             2017年2月11日鑑賞
        (アメリカ映画)                   2017年2月15日記
  ・・・映画鑑賞は、今まで知らなかった歴史上の人物を知る絶好のお勉強!本作は
   まさにそれだ。
    アメリカの南北戦争の時代に「ジョーンズ自由州」と称して南部から独立し、「ジョ
   ーンズ自由州4原則」を宣言したニュートン・ナイトのような男がいたとは!もっとも、
   彼が長い間「知られざる白人のリーダー」とされてきたのは、若くして殺されてしまっ
   た織田信長や坂本竜馬に比べて彼が85歳まで長生きしたのが原因かも・・・?
    またそれは本作後半の間延び感、詰め込みすぎ感の原因にも・・・?


洋17-26 たかが世界の終わり(2016年) 

        <テアトル梅田>                  2017年2月16日鑑賞
        (カナダ、フランス合作映画)            2017年2月17日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-27 揺れる大地 デジタル修復版(1948年) 

        <シネ・リーブル梅田>             2017年2月18日鑑賞
        (イタリア映画)                   2017年2月24日記
  ・・・第二次世界大戦後の1948年に、ルキーノ・ヴィスコンティ監督がイタリア共産党
   の資金を受けて完成させた160分の「階級闘争映画」を鑑賞!「ネオリアリズモ」の
   徹底ぶりに驚くとともに、仲買人への抵抗=銀行融資による独立=階級闘争の視
   点をしっかり勉強することに。
    もっとも、「赤い侯爵」と呼ばれたヴィスコンティ監督だから、階級闘争の視点は小
   林多喜二の『蟹工船』ほど徹底せず、やはり人間性や家族そして恋模様を描くこと
   に興味があるようだ。そして、それが私には好印象。貴族趣味丸出しの大作『山猫』
   (63年)と全く違う壮大な叙事詩に感激!拍手!


洋17-28 ブラインド・マッサージ(推拿)(2014年) 

        <シネマート心斎橋>              2017年2月19日鑑賞
        (中国、フランス映画)              2017年2月24日記
  ・・・社会問題提起作を次々と発表するロウ・イエ監督作品は必見!もっとも、盲人マ
   ッサージ師たちの青春群像劇たる本作は、『パープル・バタフライ(紫蝴蝶)』(03
   年)や『天安門、恋人たち(頣和園)』(06年)とは違い政治問題とは無縁で、性と愛
   の欲望を赤裸々に描いたもの。
    盲人だって、若い男の欲望は健常者と同じ。それを彼らはどのように処理を?ま
   た盲人の男女にとって、「美人」とは一体どんな意味が?
    そんなこんなのテーマを、あえて焦点をボヤかした盲人向けのスクリーン(?)でし
   っかり鑑賞し、じっくり考えたい。


洋17-29 エリザのために(2016年) 

        <シネ・リーブル梅田>              2017年2月23日鑑賞
        (ルーマニア、フランス、ベルギー映画)     2017年2月27日記
  ・・・1980年代の「中国ニューウェーブ」を牽引した陳凱歌(チェン・カイコー)監督、
   張藝謀(チャン・イーモウ)監督と同じように、今ルーマニアではクリスティアン・ムン
   ジウ監督が「ルーマニアン・ニューウェーブ」を牽引中!『4ヶ月、3週と2日』(07
   年)はチャウシェスク独裁政権末期の「ある問題」をえぐり出したが、1989年のル
   ーマニア革命によって民主国家に生まれ変わったはずのルーマニアも実は腐った
   国に・・・?
    娘の将来のためにはそんな国を脱出し、イギリスのケンブリッジ大学へ留学を!
   そんな願いは中国の共産党幹部や政府高官たちの願いと同じだが、受験の前日、
   ある事件でショックを受けた一人娘エリザの合格のためなら、俺はどんなコネや口
   利きだって・・・。
    2016年の第69回カンヌ映画祭で監督賞を受賞した本作の、そんな問題提起と
   その結末に注目!


洋17-30 ラ・ラ・ランド(2016年) 

        <TOHOシネマズ西宮OS>           2017年2月26日鑑賞
        (アメリカ映画)                   2017年3月2日記
  ・・・第89回アカデミー賞は「『ラ・ラ・ランド』の独走か?」「やっぱり!」「いや、間違
   い」という前代未聞のハプニングの他、「白人偏重」が一変し、「トランプ風刺」が満
   載に!
    今は不遇でも、自分の夢を持ち、その実現のために努力を重ねる若者の生きザ
   マはすばらしい。そんな男女が出会い恋に落ちる物語は多いが、そこでは、ぶつか
   り合いがベスト?それとも妥協がベスト?本作は明るく楽しいだけのミュージカル映
   画ではなく、夢のようなシーンの合い間に(?)そんなシリアスな物語が展開していく
   のでそれに注目!
    しかして、本作の結末は悲恋ものに?それとも達成ものに?そこらをじっくり楽し
   みながら、本作がアカデミー賞6部門を受賞した意味をしっかり考えたい。


洋17-31 素晴らしきかな、人生(2016年) 

        <TOHOシネマズ西宮OS>           2017年2月26日鑑賞
        (アメリカ映画)                   2017年3月2日記
  ・・・『メン・イン・ブラック』シリーズでの喜劇俳優のイメージが強いウィル・スミスが、大
   スターたちとの夢の共演の中で超シリアスな演技を!
    人生は愛と時間と死。主人公のモットーは前向きだったが、彼は6歳の娘の死亡
   をきっかけに人生観を180度転換!そこから展開していく難解なストーリーを、あな
   たはどう理解?
    原題と邦題の意味を対比させながら、本作の難解なテーマにしっかり切り込みた
   い。


洋17-32 ラビング 愛という名前のふたり(2016年) 

        <大阪ステーションシティシネマ>        2017年3月4日鑑賞
        (イギリス、アメリカ映画)             2017年3月8日記
  ・・・1月27日にトランプ大統領が署名した大統領令である「入国制限令」でも、連邦
   政府といくつかの州の立場の違いが鮮明化したが、60年前には「異人種間結婚禁
   止法」の合憲性を巡ってこんな裁判闘争と夫婦愛の物語が!
    黒人差別を巡っては1960年代のキング牧師やマルコムXの公民権活動が有名
   だが、『ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男』(16年)と同じように、本作によ
   って新たなアメリカ史のお勉強を!
    連戦連敗の闘いの中での最後の連邦最高裁判所の勝利は画期的だが、その感
   動をこの夫婦はいかに受け止めるの?映画は勉強!あらためて、そんな感動
   を・・・。


日17-33 ケンとカズ(2016年) 

        <おおさかシネマフェスティバル2017>    2017年3月5日鑑賞
        (日本映画)                     2017年3月8日記
  ・・・韓国映画『息もできない』(08年)の若き債権取り立て屋もかなりのワルだった
   が、本作で覚醒剤の密売をしているチンピラ「ケンとカズ」の暴力性とワルぶりも相
   当なもの・・・。
    韓国にはキム・ギドクやパク・チャヌクら、あっと驚くインパクトの強い映画を作る
   巨匠がいるが、日本ではせいぜい北野武監督くらい・・・?そう思っていたが、何の
   何の!30歳の小路紘史監督に注目!そして、ホンモノはイケメンだが、本作でカズ
   を演じた毎熊克哉のワル顔と凶暴性に注目!
    製作費は300~350万円。それでもキャラクターを徹底的に掘り下げれば、近時
   の邦画界にはめずらしいこんな問題提起も可能!本作を見れば、絶望気味だった
   邦画界にも少し希望が・・・。


洋17-34 はじまりへの旅(2016年) 

        <松竹試写室>                   2017年3月9日鑑賞
        (アメリカ映画)                    2017年3月13日記
  ・・・子育ては大自然の中で元気に丈夫に!そう願っても現実は難しいが、アメリカ北
   西部のワシントン州の大森林の中で過ごすベンと6人の子供たちのサバイバルぶり
   は?風変りなロードムービーが始まるのは、遠くニューメキシコ州で行われる母親
   の葬儀に参加し、とある「ミッション」を達成するためだが、そのミッションとは?
    旅の途中で次々と描かれるベンと子供たちの「特異性」に注目!その是非
   は・・・?
   義務教育なんかクソくらえ!一種、そんな快感を覚えるが、でもホントにそれでいい
   の・・・?
    日本でも『サバイバル・ファミリー』(17年)が公開され、学校法人「森友学園」の籠
   池泰典理事長の教育方針が国民の注目を集める中、ベンが本作で見せる教育方
   針に注目しながら、そのハッピーエンドぶりをしっかり見届けたい。 


日17-35 牝猫たち(2016年) 

        <シネ・リーブル梅田>             2017年3月11日鑑賞
        (日本映画)                    2017年3月15日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-36 哭声/コクソン(2016年) 

        <シネ・リーブル梅田>              2017年3月11日鑑賞
        (韓国映画)                     2017年3月17日記
  ・・・韓国の政治はパク・クネ(朴槿恵)大統領が憲法裁判所の弾劾裁判で「罷免」宣
   告されるという非常(異常?)事態だが、2017年春の韓国映画は『哭声/コクソ
   ン』(16年)、『アシュラ』(16年)、『お嬢さん』(16年)が大人気!
    本作はタイトルの意味が不明なら、冒頭の「ルカによる福音書」の朗読も理解困
   難。さらに、日本人としてはじめて青龍映画賞の男優助演賞と人気スター賞を受
   賞した國村隼演じる「よそ者」の尋常ならざる姿とその生態に唖然!しかして、韓国
   版エクソシスト?セブン?ゾンビ?と言われる本作のテーマは?
    日本ではあまり聞かない祈祷師の登場とその判断ミスによって凶悪な連続殺
   人事件の犯人捜しは予想もつかない展開になっていくが、さてその結末は?その読
   み解き方もあなたの解釈次第だから、本作はよほど心して鑑賞しなければ・・・。


洋17-37 お嬢さん(2016年) 

        <大阪ステーションシティシネマ>        2017年3月12日鑑賞
        (韓国映画)                     2017年3月17日記
  ・・・パク・チャヌク監督最新作は、英国の小説『荊の城』を大胆に脚色し、舞台を193
   9年の日本統治下の挑戦半島に移したもの。そう聞くと、チェ・ドンフン監督の『暗
   殺』(15年)を思い出すが、韓国人俳優がしゃべる日本語の違和感は大きい。しか
   し、それを差し引いても本作の面白さは抜群だし、エロ度(?)とサド度(?)も突
   出!
    もっともそれはサブ的なテイストで、本作のエッセンスはあくまで、お嬢様、侍女、
   インチキ伯爵3人の騙し合い。それを第1部、第2部、第3部と「視点」を分けて「分
   析」されると、真実を見抜くのがいかに大変かを再認識できるはずだ。
    さあ、あなたは如何に騙される?パク・チャヌク監督の映画づくりの構想力と騙し
   のテクニックに脱帽!


日17-38 ANTIPORNO アンチポルノ(2016年) 

        <シネ・リーブル梅田>              2017年3月14日鑑賞
        (日本映画)                     2017年3月17日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-39 マン・ダウン 戦士の約束(2015年)  
 
        <シネ・リーブル梅田>              2017年3月14日鑑賞
        (アメリカ映画)                     2017年3月17日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-40 楊貴妃 Lady Of The Dynasty(王朝的女人・杨贵妃)(2015年)                                        
 
        <シネ・リーブル梅田>              2017年3月15日鑑賞
        (中国、韓国、日本合作映画)           2017年3月24日記

  ・・・古代の中国四大美人は楊貴妃・西施・王昭君・貂蝉の4人だが、楊貴妃の知名度
   と美人度は群を抜いている。しかし、2001年の西安旅行の際、華清池で見た楊貴
   妃の像の美人度は?これなら范冰冰(ファン・ビンビン)のほうがよほど美人だが・・
   ・。
    そんな「美人比べ」も面白いが、本当のポイントは紀元740年当時の玄宗皇帝が
   治める唐の全盛時代の政治状況。「政治とカネ」と共に「政治と女」はいつも政局の
   不安要素になるが、さて玄宗皇帝と楊貴妃の場合は・・・?そこは当時の「節度使」
   の理解と、節度使だった安禄山が起こした「安史の乱」の学習が不可欠だ。
    そんな権力闘争をリアルに描く中で、男女の恋愛ドラマを濃密に描いて欲しかった
   が、いかんせん本作はファン・ビンビンの美しさが全面に・・
・。

      


洋17-41 アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発(2015年) 
 
        <シネ・リーブル梅田>              2017年3月19日鑑賞
        (アメリカ映画)                    2017年3月23日記
  ・・・『ハンナ・アーレント』(12年)以降多くの「アイヒマンもの」映画を学んだが、ミルグ
   ラム博士による「アイヒマン実験」とは?その立証テーマは?
    実験のやり方には多少の問題があるかもしれないが、それによって「人間はなぜ
   権威に服従してしまうのか?」が明らかになるから、なるほど人間は「個が全体に同
   調する動物」だということにも納得!
    しかし、そんなことをホントに納得していいの?ホントにそうなら「ミルグラム博士の
   恐るべき告発」のとおり、私たち人間はすべて「アイヒマンの後継者」になってしまう
   のでは・・・?



洋17-42 家族の肖像(1974年)  
 
        <シネ・リーブル梅田>              2017年3月19日鑑賞
        (アメリカ映画)                    2017年3月23日記


  ・・・「家族の肖像」とは、18世紀の画家たちが描いた家族の団欒図のコレクションの
   こと。広大なお屋敷で、孤独に過ごすバート・ランカスター扮する老教授の家族はそ
   の絵の中だけだったが、ある日「闖入者」が登場してくると・・・?
    「大阪のおばちゃん」的な伯爵夫人の口うるささには辟易させられるが、美青年の
   闖入者の絵画、音楽、政治の知識は相当なもの。その結果生まれてくる、父子にも
   同性愛にも似た不思議な感情とは?
    終生、家族をテーマとし、デカダンスあふれる映画を作り続けたルキーノ・ヴィスコ
   ンティ監督晩年の名作を、たっぷり堪能したい。


洋17-43 雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(2015年 

        <テアトル梅田>                 2017年3月20日鑑賞
        (アメリカ映画)                   2017年3月23日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-44 草原の河(河/River)(2015年) 

        <ビジュアルアーツ大阪試写室>        2017年3月24日鑑賞
        (中国映画)                     2017年3月28日記
  ・・・北京電影学院を卒業したチベット映画人の「第一世代」となる若手監督によるチ
   ベット映画を劇場公開前に試写室で鑑賞!
    6歳の子供と母親との関係、父親と祖父との関係に焦点を当てた「家族の物語」
   は、日本で大人気の中国映画『初恋のきた道(我的父親母親)』(00年)や『山の郵
   便配達』(99年)と同じように、シンプルかつ素朴で味わい深い。
    チベットが中国との関係で政治的に大変な状況にあることをしっかり勉強しつつ、
   こんな素朴なチベット語による中国映画とその監督をしっかり応援したい。


日17-45 グッバイエレジー(2016年) 

        <ビジュアルアーツ大阪試写室>        2017年3月24日鑑賞
        (日本映画)                     2017年3月29日記
  ・・・近時の邦画は観る気がしないものが多いが、故郷、映画館、赤木圭一郎という3
   つのキーワードと「残りの人生をどう生きるか」というテーマ、三村順一監督が私と同
   学年であること、『グッバイエレジー』というタイトルに魅かれて本作を鑑賞!そし
   て、観てよかった!としみじみ実感!
    還暦を過ぎ、人生の結末を考えた映画監督が40年ぶりに故郷・小倉へ戻ったき
   っかけは、中学時代の親友の死亡。あの時に夢を語り合った親友は、その後どんな
   生きザマと死にザマを?旧友と会い、親友の死にザマを知っていく中、映画監督で
   ある主人公にはそれを映画化する意欲がふつふつと・・・。
    エピソードを少し詰め込みすぎた感はあるが、監督と同学年の私は、松山の故郷
   と友人たち・両親を思い出しながら、私なりの「グッバイエレジー」を実感!小倉発の
   小さな物語だが、地方出身の同世代の人達は必見!そして、現在制作中(?)の『
   花と龍』の三村順一監督版にも期待!


洋17-46 俠女(A Touch of Zen)(1971年) 

        <シネ・ヌーヴォ>               2017年3月25日鑑賞
        (台湾映画)                   2017年3月30日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-47 残酷ドラゴン 血斗竜門の宿(龍門客桟/Dragon Inn) (1967年)  

        <シネ・ヌーヴォ>               2017年3月25日鑑賞
        (台湾映画)                   2017年3月30日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-48 パッセンジャー(2016年) 

        <TOHOシネマズ西宮OS>          2017年3月26日鑑賞
        (アメリカ映画)                   2017年3月28日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-49 汚れたミルク あるセールスマンの告発(2016年) 

        <テアトル梅田>                2017年4月2日鑑賞
        (インド、フランス、イギリス映画)       2017年4月5日記


  ・・・某巨大企業がパキスタンで大量販売していた粉ミルクで、乳幼児たちが下痢、脱
   水症状を起こし、次々と死亡!こりゃ、「森永ヒ素ミルク事件」のパキスタンでの再
   来!私は一瞬そう思ったが、それは誤解だった。しかして、あるセールスマンは一体
   ナニを告発したの?何が論点なの?
    ボスニア・ヘルツェゴヴィナ出身のダニス・タノヴィッチ監督の問題提起は貴重だ
   が、『スノーデン』(16年)に観た元CIAのスパイ、スノーデンと同じように、本作のセ
   ー
   ルスマンの評価は難しい。世界に先駆けて日本で本作を初公開した関係者の英断
   に拍手しつつ、本作の問題提起の意味をしっかり検証したい。


洋17-50 モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由(2015年)    
        <シネ・リーブル梅田>         2017年4月2日鑑賞
        (フランス映画)              2017年4月6日記
      ショートコメントのとおり。

洋17-51 私はダニエル・ブレイク(2016年) 

        <シネ・リーブル梅田>         2017年4月2日鑑賞
        (イギリス・フランス・ベルギー映画)  2017年4月6日記

  ・・・引退宣言を撤回してまで英国のケン・ローチ監督が挑んだのは、従来の「英国病
   」が更に悪化した、格差の広がりと貧困の告発!常に労働者階級や移民の目線で
   映像を作り続けてきた巨匠による、現代版「スパルタカスの反乱」とは?
    妻に先立たれた59歳の頑固ジジイという設定は、スウェーデン映画の傑作『幸せ
   なひとりぼっち』(15年)と同じだし、ストーリー展開上の共通点も多いから、ぜひ両
   者を比較検討したい。
    民進党のように野党の立場から現行制度の矛盾や問題点を告発するだけなら簡
   単だが、そこに人間の絆や温かさ、そして希望や再生を感じさせる映画にするのは
   難しい。そう考えると、まさに本作はケン・ローチ監督の最高傑作!

日17-52 雪女(2016年)    
        <シネ・リーブル梅田>         2017年4月2日鑑賞
        (日本映画)                2017年4月6日記
      ショートコメントのとおり。


洋17-53 キングコング(2017年) 

        <TOHOシネマズ西宮OS>         2017年4月8日鑑賞
        (アメリカ映画)                  2017年4月12日記


  ・・・ハリウッド版『GODZILLA』(14年)のハイライトはゴジラVSムートーの戦いだっ
   たが、キングコングの対決相手は?そもそも髑髏島とは?また「巨神」とは?
    日本版『シン・ゴジラ』(16年)はシリアスさが魅力だったが、本作にみる「モナーク
   」という組織や「地球空洞化説」もそれなりにシリアスな設定。しかし、「原住民」や太
   平洋戦争の生き残りが登場してくると、ストーリーは俄然エンタメ調に・・・。
    それも悪くはないと割り切ってメインイベントたる巨大生物同士の対決を楽しみ、
   かつ2020年に予定されている『ゴジラVSキングコング』の頂上決戦にも期待した
   い。