新年あけましておめでとうございます。

1)202011/3の大統領選挙まで1年を切ったアメリカでは、再選を目指すトランプと政権交代を目指す民主党との厳しく長い戦いが始まっている。とは言っても民主党は指名候補争いの段階で、17名の男女が中道VSリベラル、ベテランVS若手に分かれて論争している。対する共和党は、「米国第1」を掲げるトランプ崇拝が根強いラストベルト地帯を中心に支持層の確保に躍起だ。胃ガンの手術直後だったため、201711月のヒラリーVSトランプの息詰まる開票風景を連日TVで観ていた私は、大番狂わせの結果にビックリ!あの時から、トランプの当選を予想していたフリージャーナリスト・木村太郎氏への信頼が一気に高まった。

 公約にしていた移民制限政策の展開、中国製品への関税強化による米中貿易戦争の開始、イスラエル・シリア・イラン・トルコ等に絡む中東政策等はもとより、地球温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」からの正式離脱もトランプ流だが、その根強い支持とは裏腹に反発も強い。中国の習近平国家主席は20183月の全人代で憲法を改正して任期制を撤廃したから、トランプがそれに対抗するには少なくともあと4年間は頑張る必要がある。米国の真の経済状況はわからないが、株価が上昇していることは確か。さあ、そんなトランプの再選は?

2)昨年10/1に建国70周年を迎えた中国は、大規模な軍事パレードで世界の度肝を抜いた。米全土を射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)「東風41」や極超音速飛翔体兵器「DF17」の真の威力は?他方、習近平が進める個人崇拝と報道やネットへの締め付けの強化は急速で、ペンス米副大統領は「比類なき監視国家」とまで決めつけた。

 201710月の第19回党大会で2049年の建国100周年までを見据え、「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想」を党規約に明記させた習氏が、米中貿易戦争に長期戦で臨むのは毛沢東の戦略と同じ。そのためには習思想の学習と党規律の確立が不可欠だが、記者たちに「習氏忠誠心」テストを義務づけるのは如何なもの?国賓としての来日と日中関係の改善はうれしいが、ひょっとしてこれも最悪になっている日韓関係下での長期的な国家戦略?日中の政治・外交・軍事を巡る多くの問題は未解決のままだから、安倍首相はあくまで是々非々の立場で春の日中首脳外交に臨むべきだ。ちなみに、「反スパイ法違反」で9月に北京で拘束された北大教授が「犯行の一切を認め、後悔の念を示した」ために11/15に保釈され帰国できたのはうれしいが、ひょっとしてこれも「国賓待遇での来日」約束の見返り?

3)『乱世備忘 僕らの雨傘運動』(16年)で描かれた2014年の雨傘運動は79日間で終息したが、昨年の香港では中国本土への犯罪人の引渡しを可能とする逃亡犯条例改正案を巡る大規模デモが続いた。市民の要求が「普通選挙の実現」を含む「五大要求」に拡大する中、林鄭月娥行政長官は改正案を正式撤回したが、収束の気配はない。また4中全会を10/31に終えた中国は香港長官の任免性見直しや法執行の強化等の統治関与を強める方向性を示している。民主派の立候補が制限された中で実施される11/24の区議会選挙を含む今後の香港情勢は?

4)台湾では、無所属での立候補が有力視されていた鴻海精密工業の創業者、郭台銘氏と柯分哲台北市長の2人が出馬を見送ったため、1月の総統選挙は、再選を目指す民主進歩党の蔡英文総統と野党・中国国民党の韓国瑜・高雄市長の一騎打ちに。急落していた蔡氏の支持率が香港の大騒動によってV字回復したのは中国にとって大皮肉だ。事実上失われようとしている香港での「一国二制度」が台湾ではなお継続できるか否かが最大の焦点。台湾の自由と民主主義は何とかキープしたいものだが・・・。

5)20196/4が天安門事件30周年なら、11/9はベルリンの壁崩壊30周年。米ソ首脳が198912月に東西冷戦の終結を宣言した後は、東西ドイツの統合、チェコ・ポーランド・ハンガリー・ルーマニア等の東欧諸国の民主化が次々と進んだ。しかし、現在EUの価値は大きく低下し、各国で内向き志向とポピュリズム(大衆迎合主義)が抬頭している。ドイツはもはや「欧州の盟主」たる地位を失ったし、イギリスのEU離脱も時間の問題だ。

6)20166月の国民投票でEUからの離脱を決めたにもかかわらず、その後も離脱派と残留派に二分して揺れ続けているイギリスでは、201910月末での「合意なき離脱」も辞さないと主張してメイ首相の後を継いだジョンソン首相が、11/6下院を解散し、12/12投開票の総選挙に踏み切った。与党、保守党が定数650の単独過半数を確保できるか否かが焦点だが、私には議会制民主主義の先進国だと思っていたイギリスのこの迷走は理解しがたい。20155月に実施した大阪都構想の是非を問う住民投票の結果を考えても、国民の真意を問う総選挙や住民投票は水もので、ふたを開けてみるまでわからない。近時、真剣に議論されている「独裁制と民主制の優劣」という視点からも、その是非を考えかつ結果を見守りたい。

7)一強多弱体制が続く中で、安倍晋三首相は9/11に第4次安倍内閣(第2次改造)を発足させたが、菅原経産大臣と河井法務大臣の辞任問題と、萩生田文科大臣の「身の丈」発言、河野防衛大臣の「雨男」発言問題に揺れている。“辞任ドミノ”が続けばヤバイ。それは総理のトラウマだから、天皇陛下の即位を祝うパレード「祝賀御列の儀」を快晴の11/10に終えた今、そして衆院議員の任期残が2年を切った今、念願の憲法改正に道筋を立てるためにも「追い込まれ解散」ではなく、新しい時代の方向性を示す衆議院の解散・総選挙を水面下で模索中?さらに、東京都知事の投開票が207/5予定と報じられる中、ひょっとして同日選挙も?年末年始はそんなシナリオもじっくり考えたい。

8)昨年のプロ野球は予想通り(?)セ・リーグでは巨人の優勝、日本シリーズでも予想通りソフトバンクの勝利だった。想定外の阪神のCS戦出場は「あわや!」の期待を持たせたが、所詮巨人との実力差は仕方なし!?今年も矢野阪神の優勝は夢のまた夢?他方、ゴルフ界の話題は、8月の全英女子オープンでの渋野日向子の優勝と10月のZOZOチャンピオンシップでのタイガー・ウッズの優勝。渋野がメジャー初優勝なら、ウッズはサム・スニードの歴代最多82勝に並ぶ43歳での快挙だ。囲碁会の話題は、10歳で史上最年少プロとなった仲邑菫(すみれ)の活躍と19歳で張栩名人から名人位を奪取した芝野虎丸の活躍。囲碁は将棋以上にAIの活用が進んでいるから若い人の方が有利。将棋界では99期のタイトルを誇る羽生善治が無冠になったし、囲碁界でも2度の7冠王だった井山裕太が苦戦中だ。そんな現状をみると勝負の世界の厳しさがよくわかる。囲碁も将棋も十代の活躍はうれしいが、老はともかく壮と青の世代には、再び輝いてもらいたい。

2020(令和2)年元旦(20191115日記)

坂和総合法律事務所

所長 弁護士 坂和 章平