新年あけましておめでとうございます。

1)18年11/2に公開された『華氏119』は、04年の『華氏911』に続くマイケル・ムーア監督の問題提起作。01年の9.11世界同時多発テロは全米に衝撃を与え、03年3月にはイラク戦争が始まったが、フセイン政権が大量破壊兵器を保有していると言うブッシュ大統領は嘘つき!それがカンヌでパルムドール賞を受賞し、“華氏9.11論争”を巻き起こした同作の主張だった。しかして、数字をひっくり返した『華氏119』とは一体ナニ?それは初の女性大統領の誕生確実と言われていた16年11/8の大統領選挙でヒラリー・クリントンを破ったドナルド・トランプが勝利宣言をした日だ。当時胃ガンの手術で入院し、連日TV報道を観ていた私は、そこで大手マスコミのインチキ性を痛感すると共に、木村太郎氏等ごく一部のジャーナリストの見識に感服した。ブッシュのみならずトランプにも手厳しいM・ムーア監督の最新作はその2年後の“中間選挙”に照準を当てて公開されたが、その影響力は?

2)“米国第一主義”を掲げたトランプ大統領は、@TPP(環太平洋経済連携協定)の離脱、A大型減税の実施、Bオバマケアの廃止、C移民抑制(メキシコの壁建設)、等の公約に次々と着手し、緊張をはらむ米中、米ロ首脳会談の他、何と史上初の米朝首脳会談までやってのけ、次々と話題提供を続けてきた。イスラエルの米大使館をテルアビブからエルサレムへ移転したのも公約実行の一つだが、不公平な関税撤廃を理由とした“米中貿易戦争”の勃発は新たな“米中冷戦”の始まりかと心配されている。米国民はもちろん、中国・ロシアを含む全世界がそれらに振り回されながら、それぞれ賛否の決断を余儀なくされているうえ、反トランプの声は高まっているが、不思議なことに下がらないのがその支持率。常に40%を超えているからすごい。中間選挙の結果は、上院は共和党勝利、下院は民主党勝利と出た。“議会のねじれ”は政権の足かせになるはずだが、「とてつもない成功だ」とツイートしたのはなぜ?下院で大量に生まれた民主党の若手女性議員は本当に活躍できるの?新たな党内対立の要因になるかも?2年後の大統領選挙の行方は?今後のトランプの政権運営と米国の動きを分析し、日米同盟のあり方をしっかり考えたい。

3)10月には突然米ロの“中距離核戦力(INF)全廃条約”の破棄を表明したことに全世界はビックリ!とりわけ、平和と核に敏感な日本の大手マスコミは、東西冷戦を終結に導いた核軍縮条約に背を向ける姿勢は言語道断!と反対した。しかし、地上発射式の中距離核ミサイルだけを制限し、しかも次々にそれを開発している中国を除外しているその条約が、現在どこまで有効有益かという論点をきちんと勉強すれば、彼の問題提起はあながち米国の身勝手ではなく、検討すべき点が多いことがわかる。今後の米ロ、米中首脳会談の重要なテーマになるはずだ。また、イランに対する原油の輸出禁止等を盛り込んだ最強の制裁再発動にもビックリ!中東問題は複雑で難解だが、サウジアラビアやイスラエルがこれを歓迎したのは当然。ガソリン代が高止まりしていた日本も要注意だが、日本はイラン産原油の限定的取引を認めてもらえたから一安心。他方、イランを支援するロシアと中国は苦い顔だ。さあ中東情勢の今後の展開は如何に?

4)トランプの登場と人気上昇に伴って、全世界で“自国第一主義”やポピュリズムが抬頭し、フィリピンのトランプ(=ロドリゴ・ドゥテルテ)、ブラジルのトランプ(=ジャイル・ボルソナロ)等も登場した。逆にドイツではG8を牽引してきた最古参のメルケルが落ち目となり、10月の州議会選挙では与党が敗北。彼女は首相の座には留まるものの、党首を辞任することに。その他、世界情勢の変化は急速で、中国ネタやロシアネタは書ききれないほど多い。

5)日本では、16年7月の参院選で圧勝した安倍晋三自民党が、“もりかけ問題”を乗り切り、18年9月の総裁選挙でも石破茂に圧勝。第4次安倍改造内閣を発足させ、10/24からは国会が始まった。そこでは、入管法改正案等がテーマだが、小池百合子新党がポシャリ、一強多弱ぶりを一層強めている日本の政界はいかにもお粗末。出来の悪い大臣の資質不足を並べ立ててクビを取ることくらいはできるかもしれないが、野党再編、二大政党制、政権交代は夢のまた夢だ。憲法改正問題にどこまで踏み込めるかが最大の焦点だが、メルケル退陣後その存在感が増大している安倍総理には、外交での一層の頑張りが期待される。

6)プロ野球では広島カープと西武ライオンズが優勝し、日本Sでは下剋上でCS戦を勝ち上がった福岡ソフトバンクが4勝1敗1分で広島を制した。全試合をTV観戦した私は、かつて広岡達朗監督から“坊や”と呼ばれていた工藤公康監督の第二先発構想や最終戦でのスクイズの戦法に感服。鉄砲肩(甲斐キャノン)で広島の盗塁を100%阻止し、MVPに選出された甲斐拓也捕手に代表される選手育成システムにも感服した。阪神タイガースとは大違い。これでは何年経っても差は縮まらず、阪神の優勝も日本一もここ数年はムリ?

7)将棋界では16歳の高校生棋士・藤井聡太7段の快進撃が続き(10/17現在の公式戦通算97勝17敗)、平成最後の新人王も獲得した。羽生善治竜王と広瀬章人8段が激突している竜王戦では、羽生が前人未到の通算タイトル100期を達成するか、それともかつて保持していた7冠をすべて失い無冠になるかの岐路に立っている。他方、中村太地王座の初防衛を阻止した斎藤慎太郎7段が新王座に就いたため、8つのタイトルのうち4つを関西勢が占めたのは久しぶり。史上最年少の21歳で名人を獲得し“光速流”と呼ばれた関西出身の谷川浩司9段の通算1300勝達成とともに、関西勢の健闘に拍手を送りたい。

8)囲碁界では、AIの強さと三々戦法に目を奪われがちだが、やはり人間同士の対決の方が面白い。井山裕太6冠に、復活なった張栩9段が挑戦した名人戦は、全7局ともすごい激戦の末に4勝3敗で張が勝利。新名人の自信復活と、5冠に後退し国際戦でも負けが込んでいる井山の復調を期待したい。

9)30年間続いた平成に続く新しい元号の公表は改元1か月前の4/1だが、新年号は如何に?そして、2025年の大阪での二度目の万博開催はあるの?その審判は11/23に決まる。70年万博で建てられた故岡本太郎作の“太陽の塔”は、内部公開やドキュメンタリー映画の上映もあって今なお人気が高い。クソ暑い8月に開催される2020年の東京五輪はTV観戦で十分だが、大阪湾に造られた人工島・夢洲周辺のベイエリア開発を伴う55年ぶりの大阪万博に、私の期待は大。ロシアやアゼルバイジャンに負けるな!もう一度「世界の国からこんにちは」を聞こう!さあ、その夢の実現は?

                       2019(平成31)年元旦(2018年11月9日記)
                          坂和総合法律事務所
                           所長  弁護士 坂 和  章 平